ミャンマーという国への旅

制作 : 大石 健太郎 
  • 晶文社
4.50
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本棚登録 : 33
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794966766

作品紹介・あらすじ

イギリスの作家ジョージ・オーウェルは、1920年代、若き日の5年間を、警察官として植民地ビルマで勤務している。80年後、オーウェルの足跡を追って、ひとりの女性ジャーナリストがビルマへと旅立った。待っていたのは、オーウェルの小説『一九八四年』さながらの、全体主義が社会を覆う悪夢が現実化した世界だった。『一九八四年』はビルマの未来を暗示していたとして、オーウェルはかの地で「予言者」とよばれているのだ。思想統制・密告・投獄・検閲が日常化し、人びとが圧政の恐怖にあえぐ、知られざるビルマの現在に迫るノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 例えば私たち日本人が海外赴任で5年間、全く文化や環境の異なる国へ行くとしよう。それが自己の思考に徹底的な影響を与え、光よりもむしろ影を心にもたらす様なことが果たしてあるのだろうか?
     
    George Orwellがいた1920年代のビルマは、実り豊かな国土と、仏教により高い識字率をもつ、物心両面で「豊かな国」であった。しかしオーウェルはビルマでの赴任を突然自らの意志で打ち切り、本国イギリスで作家となり“救いのない結末”の作品を多く世に出すに至る。なぜか?

    それは「孤独」が大きく影響したのではないか?
    オーウェルはビルマ赴任を自ら希望したという(通常の英国人ではありえない)。そこには自ら孤独を求め、未知の世界に飛び込もうとする若い矜持もあっただろう。
    だがビルマで彼が出会ったのは、自分を囲む目に見えない「壁」だったのではないか?人種の壁、文化の壁、言葉の壁…それらももちろんあった。しかしオーウェルを取り巻き見えない圧力をかけたのは「監視の目」だったと私は考える。
    自分は一挙手一投足を見られている。でも自分の方から見ようとすると、相手は逃げ水のように離れていく。誰が見ているかはわからない。でも確実に見られている。双方向の人間的なコミュニケーションがとれず、見られる一方の状況。まさに監獄だろう。

    でもよく考えると、残念ながら現代の日本でも、オーウェルを苦しめたような状況を作ろうとする人は多い。見た目や考え方が異なる人を、ヒソヒソ話や噂話で囲い込むような状況。シカトなんか、まさにそうだろう。
     
    でもオーウェルはただでは終わらなかった。自分を孤独に追い込んだ監視の目を、国家が国民を監視する世界=「1984年」にまで広げて発想した。彼は様々な形の“孤独”が描ける作家に成長したのだ。
    (2008/3/23)

  • ミャンマー旅行に携えて現地で読む。作者はビルマ赴任中のジョージ・オーウェルの跡を探る。2000年に作者がビルマで見たのはオーウェルの小説「一九八四」の世界そのものだった。ビルマの軍事政権は全体主義で人民を支配していた。2015年、私がビルマに来た時は軍事政権が少しは民衆かの扉を開けたばかりだった。ビルマの人は親切で控えめだった。飾ってはいけないはずのアウン・サン・スー・チーの肖像写真も食堂の壁に飾られていた。
    民主化の風は吹いているようだった。

  • 私はまず何よりもミャンマーという、日本と関わりがあまりなさそうな謎めいた国、日本とは違う国の人々の価値観や暮らしに興味があったので、タイトルにある「ミャンマー」という文字にのみ惹かれ、この本が「有名作家ジョージ・オーウェルのミャンマーでの足取りを辿ったジャーナリストの本」とも知らずに、かつジョージ・オーウェルという作家の事も全く知らない状態でこの本を読み始めました。

    しかし読んでみると、もちろん当時のミャンマー人やミャンマーという国について、その魅力についても沢山語られてるのですが、それよりも私の心に残ったのは、かつてのミャンマーの監視社会の閉塞感、これがひしひし伝わってきまして、そしてそれが日本の現状と何やらかぶるような気がしてきて…強い不安を感じさせられました。自由や権利が制限され、報道や情報も制限され、国民それぞれが相互に監視し合い、国に密告するようになる…北朝鮮という国のこともふと脳裏をよぎりました。ジョージ・オーウェルによる『1984』『動物農場』という作品についても触れられていて、勿論、読書に普段あまり親しんでいない私にはどちらも初見なのですが、この本を読んでいて、これらにもとても興味を惹かれました。なんとなくですが、いま日本が進んでいそうな未来と、この本に描かれていた「ミャンマー」とがかなり重なる気がするので、楽しく読むというよりは、興味深く色々考えさせられました。

    政治について真面目に考えるきっかけ、になったのかもしれません。…ともかく、読んで良かったです。

  • お茶はビルマ人の文化的生活には欠かせないもの。
    ビルマは常に高い識字率を維持してきた。
    伝統的にこの国では仏教の寺院が民衆を教育してきていたし、イギリス統治下にあって、読書が楽しみがごく一般的な娯楽となっていたから。印刷機導入に伴ってビルマ人作家も登場していた。
    ガイドは政治の話をしない。
    ビルマ国防情報局はあらゆるところに網をはっている。
    パゴダはビルマ人の生活の市中であり、人々の、町、村にある。
    ビルマ人は文章から行間を読むのが得意。ストレートにものを言えないから。自己啓発書がたくさん売っている。英訳の本。それはビルマ人の自立心を持つように教えるから。

  • ミャンマーの日常のなんとも言えない一コマを切り取っている表紙の写真がとてもいいと思った。

  • うわわわ

    やばい

    やばい

    みんなに読んでほしい!

    椎名誠さんが「すばらしい」と言ってたのがうなずける。

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