同じうたをうたい続けて

著者 :
  • 晶文社
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本棚登録 : 12
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794966940

作品紹介・あらすじ

童話や絵本、詩など幅広い創作活動を行い、気がつけば半世紀がたちました。80歳を超えましたが、創作意欲が衰えることはありません-そんな神沢利子さんが、折々に綴ってきた創作、エッセイを一冊の本にまとめました。書き下ろし二本(「守護霊さま」「同じうたをうたい続けて」)を含めた21本の小品が並んでいます。神沢さんが描いた絵本も顔をのぞかせています。神沢さんの足音が、ページのあちらこちらから聞こえてきます。生きていることの喜びが伝わってきます。

感想・レビュー・書評

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  • 鎌倉文学館で開催されていた、『神沢利子の世界』展を見て手にとった本。

    「いまはただ、わたしのかくもの
    かいたものが、こどもたちのいのちの火に風を送る、鍛冶屋のふいごの役をつとめるものでありたいとねがっている」素敵な言葉だ。

  • 幼いころ、毎晩母が読んでくれた詩集がある。
    陽だまりのような温かさのある言葉、
    擬人化された野菜たちのかわいらしい仕草、
    植物に向けられた優しいまなざし。

    こっくりとした灰色のカバーがかけられた
    詩集「おやすみなさいまたあした」(神沢利子・詩)は今でも私の大切な一冊であり、お気に入りの書棚の片隅に大切にしまわれている。

    数々の絵本作品を発表してきた神沢利子さんのエッセイを読み、
    一つとても意外だったことがある。

    それは常に人生の傍らに絵本があったのではないということ。

    幼少期を過ごした樺太では絵本や子ども向けの童話にふれることは難しく、東京での学生時代に参加した同人誌は、戦況激化による応召で次々と解散してしまう。戦後まもなくの子育てでは生活が苦しく、美しい装丁の絵本などとても買い与えることができなかった。

    やがて童話作家としてスタートを切ったのも、不安定な家計を支えるためという理由からであり私が幼いころに親しんだ「ふらいぱんじいさん」や「はらぺこおなべ」にこんな人生はいやだ、という恨みが隠れていたとはまったくわからなかった。

    神沢さんが本格的に絵本と出会ったのは、17歳の時だったという。
    それまでは「小さな村と野山と川がわたしの絵本であり、おもちゃだったのだ」と語るように、すぐそばにある自然が、幼少期の彼女の想像力を大きく膨らませていたのだ。
    本著に収められた短編「川のうた」に登場する、生活のすぐそばに寄り添う川は、こうした幼少時代の記憶から描き出されたのだろう。

    苦しい生活の中で自らの思いを吐き出すように生み出された作品においても、自身の中の問題意識を書き起こした作品においても、
    そこには欠けることなく、自然への優しいまなざしがある。

    亡き母が詠んだ俳句を通して、母の人柄に思いをはせる「枯野の母」という短編がいちばん印象に残った。ハイジに憧れた母の生き難さが切ない。

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プロフィール

1924年福岡県生まれ。文化学院文学部卒業。詩人・児童文学者。少女時代を樺太(今のサハリン)ですごす。日本児童文学者協会賞、日本童謡賞、路傍の石文学賞、モービル児童文化大賞などを受賞多数。作品に『くまの子ウーフ』(ポプラ社)『ふらいぱんじいさん』(あかね書房)『はけたよはけたよ』『あひるのバーバちゃん』(以上、偕成社)『たまごのあかちゃん』(福音館書店)など作品多数。

神沢利子の作品

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