古本暮らし

著者 :
  • 晶文社
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本棚登録 : 182
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794967107

感想・レビュー・書評

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  •  書評を中心に活躍するフリーライターのエッセイ集。
     人気ブログ「文壇高円寺」で知られる人だそうだ。私は、『読売新聞』連載のベストセラーを俎上に載せるコラムで、この著者を知った。

     文章といい内容といい、すごく老成していて、私より5つも年下(1969年生まれ)だとはとても思えない本。でも、その“若くして枯れてる感じ”は悪くない。

     「部屋を掃除し、洗濯し、近所の商店街に食材を買いに行ったついでに、古本屋と中古レコード屋をまわって、酒を飲む」(あとがき)という、つつましくも平穏な暮らしを綴ったエッセイ集。合間合間に、愛読する古書を紹介するエッセイが混じる。

     役に立つ情報などほとんどなく、ドラマティックな出来事が起きるわけでもなく、読んで鼓舞されるような側面は薬にしたくもない。
     それでも、古本好きなら愉しく読める一冊。文章もうまい。

     気ままな「古本暮らし」をフィルターに、人生を語る本という趣。だが、著者の目線はあくまで低く、いわゆる「上から目線」の対極にある。
     それを「下から目線」と言ってしまうとたんに卑屈なだけのようだが、目線は低くとも著者は少しも卑屈ではない。むしろ、ある種の矜持をつねに感じさせる。 

    《長い人生、本がほしくてもお金がなくて買えないことがある。しかし、ものは考えようで、腹が減っているほうが、メシがうまいのと同じで、読書だって活字に飢えている状態で読んだほうが楽しい。》

    《珈琲、煙草、酒、古本、レコード、ぜいたくはこれくらい。もう少し外出しよう。用がなくとも電車に乗ろう。吉祥寺くらいまでは気軽に行けるようになりたい。
     ああ、野望はどこに行ったのか。このままこんなふうに齢を重ねていくのか。もう下り坂なのか。いつ上り坂だったのか。
     テキパキしていない。ハツラツとはほど遠い。体力がない。もし自分が機械だったら、とっくに廃棄処分だ。人間に生まれてよかった。》

     ……と、こんな調子でしょぼくれたことばかり書きつらねながらも、卑屈でも陰鬱でもないのだ。これはなかなかの芸だと思う。

  • 初めて萩原さんの作品を読みました。

  • 若い時はあと先考えず、学校中退したり、仕事をやめたり、危険な場所に行ったり、生活も性格も不安定だった、というのも私も同じようなものである。でも、そういう時期の方が本が読めたし、音楽も聴けた、と言うのも同じである。今は安全策ばかりとっている。すると本を読む必要も音楽を聴く必要もだんだん感じなくなり、すべて読み流し聞き流しするようになってしまった。

  • 「魚雷」つながりで読んでみた。取り立てて、面白いということはないなあ。

  • 初めて読んだ著者ですけれども、割かし面白かったですね! 自分もそこまで古本のファンというわけではないのですけれどもまあ、ブッ○オフは利用する方なので当作品を読んでみたわけなんですけれどもねぇ…これを読むとアレですね、ブッ○オフなんかよりも古来からある古本屋のが風情があって面白そうなんですよねぇ…しかし、古本屋というお店も今現在ではその規模をどんどん縮小させているというし…確かに僕の地元でもかつては古本屋とかあったんですけれども、すべて潰れましたねぇ…活字好きには辛い世の中です…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    著者は何というか…経歴を見てもアレですね、決しておつむが悪いわけではないのに何というか、フリーターという立場に甘んじているというか…まあ、サラリーマンができない人なんでしょうねぇ、きっと…もったいない…。

    けれどもまあ、日記みたいな当エッセイを読んでいますとそんなに稼げない暮らしも割かし良いんじゃないか、みたいな感じがそこかしこで感じられますねぇ…。奥様もいらっしゃるみたいですし…。

    僕も今現在、似たような暮らしですけれどもまあ、欲を言えばもう少し…給料の方を上げていきたいですね!

    おしまい…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 何故か長らく古本屋さんのエッセイだと勘違いしていました。違うんだと気付き、古本好きのがっつり古本語りなのかなと思ったら、それもまた違っていました。
    基本として古本が好き、読書が好きというのはありますが、そんな人物による四方山話という感覚が一番しっくりくるかも。好きとそうでないものとの熱量の違いが面白かったりもします。お酒でも飲みながら、だらりだらりと語り合うと楽しそうです。あくまでものんべんだらりと。

  • 古本が好き。生活は不安定。
    フリーライターである著者のエッセイは、本や作家の豊富な知識が伺えるが、敷居は低い。親戚のおじさんの話を聞くように読める。
    個人的に好きなのは、著者の自炊生活についてのエッセイ。生活の知恵が詰まっていて、参考になる。
    限られた予算、時間でどう満足させるか。家庭料理って、100点を1回取ってもダメ。60点取るのを毎日続けられるかが最初の試練だ、と思った。
    私は主婦だけど、ギリギリ?!という日もある…著者に教えを受けたい位だ。

  • 古本やお気に入りの作家・詩人らについて語る
    マイナーな分野が多い
     
    古本マニア、キンドルとかの電子書籍について
    どう思っているんだう
    絶版ってないわけだから、希少性とかの判断は出来ないだろうし

    本の署名入力のバイト
    フリーライター
    将来への不安なども

    22 大型ペットボトル用の箱、本の入れると引越しに便利
    コカコーラの烏龍茶、煌が特にいい
    177 作者の名前の読み、外人の時はスペルの無い本は駄目な本

  • 似たような低燃費生活に共感を覚えまくり。みょうに力づけられた。
    2013/12/30

  • 逗子図書館

    良さそう

    この人、おもしろいな。
    色んな日本の古典を教えてくれる。

    20121112 途中で返却
    p134から

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著者プロフィール

1969年、三重県鈴鹿市生まれ。文筆家。著書に『中年の本棚』『古書古書話』『日常学事始』『本と怠け者』『古本暮らし』ほか、編者をつとめた本に梅崎春生『怠惰の美徳』『吉行淳之介ベスト・エッセイ』尾崎一雄『新編 閑な老人』富士正晴『新編 不参加ぐらし』などがある。

「2024年 『新居格 随筆集 散歩者の言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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