ローカル線で地域を元気にする方法: いすみ鉄道公募社長の昭和流ビジネス論

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  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794969071

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  • いすみ鉄道公募社長のメルマガ再編集。
    著者曰く、地域の再生には「よそ者」の力が不可欠。
    しかし、「よそ者」にもマナーや節度がある。
    完全なるよそ者の著者はうまく地域に入り込んで街の象徴となった。
    マーケティング的な発想からすべてを考え、実行している。
    ターゲットを鉄道ファンに絞り、戦略を策定する。しかし、電車に乗らなくてもいいですよと地元の人にはハードルを下げ、活性化の参加を促す。
    企画だけではなく実行力・忍耐力もなければ成功することはなかっただろう。

    ■メモ
    ・ブランド化するには生活必需品じゃないものの方が楽。
    ・三丁目の夕日が懐かしいという世代は本当は存在しない。DNAに刷り込まれている。
    ・うちの鉄道は地域になくてはならないと思うのは独りよがり。マーケットインできていない。

  • 赤字ローカル線再生ぬ向けての第一声が「乗らなくてもいいです。車できていただいて、お土産だけ買っていただければ結構です。」目的地までお客様を運ぶという鉄道本来の役割をあえて放棄する奇策に打って出ている。ハードルを低くして顧客が簡単に来れるようにすることで潜在需要を開拓する戦略だ。矢継ぎ早の斬新なアイデアで赤字ローカル線は瞬く間に観光の柱となる。地域再生ひいては日本再生の秘策が随所にちりばめられている。

  • 千葉県のいすみ鉄道で働く公募社長、鳥塚氏のblogを再編集してまとめた一冊。blogでは季節や時事に応じてかかれていた内容が、再編集によって地域活性化の文脈で意味合いを持ってくるのが面白い。
    http://isumi.rail.shop-pro.jp

    国鉄から第三セクターへと生まれ変わり、地域の足となるも利用者数が低迷して存続が危ぶまれるローカル線は日本全国に存在している。一方で効果的な施策ができているかといえばそうではなく、大半が公務員出身の雇われ天下り社長によって緩やかに存在価値をなくしていくローカル線がほとんどだと思う。

    そのなかで異彩を放つのがいすみ鉄道の取組み。「乗りに来なくて良いです」と逆張り戦略で、コアな鉄道ファンを取り込むような旧国鉄時代の車両を導入し、リピーター客を増やしている。首都圏から日帰りできるエリアだからこそできる、10人に1人のマニアックな人向けのサービスを打ち出しているのだ。

    当然、より過疎地域を走るローカル線では別の戦略が必要となるだろうし、JRやバスなどの交通機関との連携も重要であろう。いずれにしても、第三セクターという存在は地域の個性を打ち出すにはピッタリな立場なのだということが理解できた。

著者プロフィール

1960年、東京都生まれ。子供の頃からの鉄道ファン。学習塾職員などを経て、27歳のときに大韓航空入社。30歳のときに英国航空(ブリティッシュ・エアウェイズ)に転職。英国航空に勤務しながら、副業として鉄道前面展望ビデオの販売を開始、「パシナ倶楽部」と冠されたビデオ、DVDはシリーズ総計で500本を超える。2009年、いすみ鉄道の社長公募に応募して採用される。社長として、ムーミン列車の運行、物販の拡充、訓練費用自己負担運転士募集などの営業努力で収支を改善し、いすみ鉄道の存続に筋道をつけた。著書に『いすみ鉄道公募社長』(講談社)がある。

「2013年 『ローカル線で地域を元気にする方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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