自死: 現場から見える日本の風景

著者 :
  • 晶文社
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本棚登録 : 79
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794969248

作品紹介・あらすじ

日本は先進国のなかで、飛びぬけて自死の多い国である。それは、なぜなのだろうか。学校で、職場で、家庭で、人を死にまで追い込むのは、どのような状況、心理によるのだろうか。また遺族は、親しい人の死をどのように受け入れていくのか。借りていた部屋の損害賠償の問題や生命保険の取り決め。向精神薬の薬害、貧困、ギャンブル依存症など、複雑に絡み合う自死の人の問題点を読み解き、自死をした人の家族会、医師、弁護士、宗教家など、問題にかかわっている多くの人びとを取材しながら、実態を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 自死だけでなく今の日本社会の本質ってどうなのかなと捉えられるので、他の人にもおすすめしたい。

    自死について、さまざまなところから説明があって分かりやすかったしとても納得した。自死のそれぞれのエピソードはとてもむごい。だからこそ、自分で命を止める行動に向かわせてしまったんだなと実感できた。自死や鬱は、その人の耐性や特徴よりも周りの環境の影響の方がずっと大きいだろうなと私は思った。また自死を阻む風潮は個別的な思想と、宗教的な思想が組み合わさってるからなんだと知れた。
    薬害によって亡くなってしまう事例についてもそこを規制しないところもとても驚いた。ただ、それがただ悪いよねと正論を振りかざすのではなくて、背景を捉えることで全体が見えたと感じた。医師にも仕方がない部分はあるだろうけど咎められる部分もある。

  • 読んで良かったと思う。
    具体的な例も示しながら、自死の原因を様々な観点から考えていく内容。

    タイトル通り、日本における事例をよく取り上げているが、丁寧に解説考察がなされており、とても素直な気持ちで読むことができた。人に寄り添った文章だった。

    こういった本は、なかなか手に取ろうと思う機会はないかもしれないが、もし誰かが自死について学びたいと思えたならば、手にとってみて欲しいと思った。

  • 先進国の中で日本は飛び抜けて自死が多い。実例の取材なども含めて、その背景に迫る。

    遺族への取材の中でその無念や理不尽への闘いに寄り添うことで、日本社会の仕組みや人々の差別意識への義憤が高まっているのが伝わってくる文面。しかし、時に感情的になってやいないかという箇所もあり、申し訳ないと思いつつも一歩引いた目線で読んだ方が良いと思える。

    過労自死に関する章で、過労だけで衰弱して死を選ぶのではなく、過労の中でパワハラなど他の要素が重なって精神を病んだ結果、死を選ぶようになってしまうのだという指摘が印象に残った。また、自死した人に対する戒名を、「自死は殺生と同じこと」との考えから、その人を貶めるようなひどい名前をつける僧侶がいるというのには驚いた。

  • メモ:pp.124.125に救われた。

  • 実例が書かれており、大変参考になった。

  • 知らなかった事実、新しい観点が満ちている本である。 自殺をする人は心は弱いなどと軽々しく思ってはいけないということを強く認識させてくれる本である。

  • 2019年8月28日読了

  • げっそりと読後感の悪い本。なんだが。おそらく日本的なるもの(韓国もこれに近いんじゃないだろうか)が、うっそりと見えてくる。寛容さがやせ細るなかでどうやって生きていくのか。特に下の世代にどう接すればいいのか。

  • 生きるために必要なものは「希望」
    他人事ではない、そうなってしまった、そうならざるをえなくなった背景。
    その前に、そうなる前に、ずぶずぶ行く前に、
    小さくても何かしら希望を持っていようと思った。
    なかなかむずかしかったりするのだけど。

  • 自死、その多さや理由についての本。若者の、また過労からの、薬のえいきょうからの、、、
    いろいろわかりやすい。、

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著者プロフィール

ノンフィクションライター・映像ジャーナリスト。1978年早稲田大学卒。80年代より映像作家として、アジア文化、マイノリティ、教育問題などを中心にドキュメンタリーや報道番組を手がける。
著書に『ヌサトゥンガラ島々紀行』『ビルマとミャンマーのあいだ』(凱風社)、『老いて男はアジアをめざす』『若者たち―夜間定時制高校から視えるニッポン』『六〇歳から始める小さな仕事』(バジリコ)などがある。

「2012年 『アジアの辺境に学ぶ幸福の質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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