文字を作る仕事

著者 :
  • 晶文社
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本棚登録 : 177
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794969286

作品紹介・あらすじ

本や新聞、PCやモバイルなどで毎日、目にする文字。当たり前のように存在しているが、じつは読みやすさや美しさを追求するデザイナーの手によって生み出されている。
フォント制作会社「字游工房」の代表にして、書体設計士の著者は、どのように文字作りの道を目指し、歩んできたのか? これまでに制作した文字。その文字に込めた思想。理想の文字。影響を受けた人たちとの交流……。
「水のような、空気のような」書体を目指して活動してきた37年間を振り返り、これからの文字作りにつなぐ思いをつづる。

感想・レビュー・書評

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  • 「水のような、空気のような」本文書体をつくりたい。という言葉がどんどんしみこんできた。

    書体設計士という稀な職業の方のエッセイ集。もっと硬派なデザイン指南書を想定して読み始めたのだけれど、著者の生まれ故郷や書体デザインを志すきっかけとなった出来事、出逢い、別れ、これからのことなどが非常にやわらかい語り口でつづられるエッセイであった。文字に対する専門家の考えを読めることはもちろん有り難いのだが、読み物としても味わい深くおもしろい。著者のキャラクター性もあってか茶目っ気があり飾らない言い様はなんだか「信頼できる」と思う。

    これから本を読む目がちょっと変わってしまいそうだ。というか、本を読みながら活字に目がいってしまって、「この書体はいい書体だと思うけど、どうかな」と考えてしまった。あとがきに自社の製作物であると書かれており、なんというか、ほっとした。

    自分も手を動かしたくなる。

  • (図書館員のつぶやき)
    ちかっとだけ、日ごろ目にしと文字ば浮かべてもろて良かろうか。本でもよか、テレビ、町の看板、案内、なんでんよかよ。今でない、こがんどっさいの書体があっとは当たり前ばってん、この本ば見たら、ほぅ!と思うたさ。面白とおもうばい、よかぎん読んでんしゃい、この道一筋のとりのうみさんの本たい。そうそう、外さんご飯食べに行こかーてなって、なんにすぅ?て悩むぎん、外れのなかまあまあの店の看板ば目指すさ、あいも文字書体とぴっしゃってくっけんさね。(道ばはずれた!)

    訳:少しだけ、日ごろ目にしている文字を浮かべてみてください。本でも良いし、テレビ、町の看板、案内、何でも良いですよ。今なら、こんなにたくさんの書体があるのは当たり前ですが、この本を見たら、なるほど!と思いました。面白いと思います、良かったら読んでみてください、この道一筋の鳥海さんの本です。そうそう、外にご飯でも食べに行きましょうとなり、何にする?と悩んだら、いい感じのお店の看板を目指します、あれも文字書体とぴったりくるから不思議ですね。(道がはずれました!)

  • 「水のような、空気のような 本文書体を作りたい。」熱い思いを胸に書体づくりを仕事にして37年! それでも自分はまだまだだから、もっと努力しなければというエネルギーは一体どこから来るのか。鳥海さんのように一生をかけて、情熱を持って仕事に取り組んでいる人に憧れます。

  • 冒頭から引き込まれる感じで鳥肌がたった。
    文章もとても上手なんだけど、なぜ文字をデザインするのか、という鳥海さんの考え方に震える。
    今まで自分の気づいてなかった文字の魅力に気づかされる。(まだ文字の見方はわからないけど)

  • 残念ながら微妙な文字の違いはわからないが、それでも貴重な職人仕事だということは伝わってくる。

  • HUMICでの請求記号「749.41/To67」

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784794969286

  • 図書館の新刊コーナーで見かけて。フォント大好きなので借りて読んでみた。

    書体ベンダー「字游工房」の鳥海修さんの生い立ちや、自身の書体作りに関わる経験や影響を受けた人々について著した本。けっこう書体マニア向け。

    私はフォントというと、個性が光る美しいものに惹かれるんだけど、著者は「空気のような、水のような」書体を目指すことが根本にあるみたい。デジタルなフォントの黎明期から活躍している著者だからこそなのかな。

    時代ものの小説を組むための游明朝。游明朝や游ゴシックはWindows10に搭載されてこれから広く目にするようになっていくフォント。新しさよりどことなく紙の時代っぽさを感じるのはそのためかも。

    古い文献に触れたり、明朝の元となる筆の運びを考えたりという姿勢が一番印象的だった。私も書を始めたくなった。

    著者意外のデザイナーや書家の名前も多い。祖父江慎さんはいろんなところで面白い話を聞くけど、本書でも面白い。今回知ったところで一番興味を持ったのは書家の石川九楊さん。どんな文字を書くのか調べてみようと思う。

    全体的な文章は、時系列が行ったり来たりして、前の章で触れたが〜といった言い回しがあったりで、少々まどろっこしかった。

  • 鳥海修「文字を作る仕事」を読む。

    「七〇歳になるまで(納得できる)明朝体は書けない」p.234

    ヒラギノシリーズを開発した「書体設計士」の半生を描いた本書。工業高校から浪人をして多摩美に入学。在学中に既に「水のような、空気のような本文書体を作りたい」と志向していたというから、これはもう筋金入りだ。

    また平野甲賀、鈴木勉、祖父江慎、石川九楊といった当代をリードするタイプデザイナーの交感が克明に記されていておもしろい。

    杉浦康平が平野甲賀に向かって、講演の壇上から「まだあんなくだらないことをしているのか」と罵ったというエピソードには驚いた。嗜好が正反対とはいえ、杉浦さんは完璧主義ゆえに、かなり排他的だったのかもしれない。

    どこを見ても金太郎飴のような書体ばかりが目に付く現代から見れば、歯に衣着せぬ物言いで各々が競い合ったあの時代は、社会全体が多様でありつつ、そして推進力も持っていたのだろう。

    そして「よい書体」を作るには、旨い酒と肴を常に探し求めなければならない……というのは冗談で、たった一本の線を磨く不断の努力が必要だ。いや、であれば逆に息抜きとしての「旨いもの」も必須なのかもしれないな、と思いながら最後までさらりと読んだ。ああ、おいしいお蕎麦とおでんが食べたい。

    あの小塚シリーズを作った小塚雅彦さんは「日本人にとって文字は水であり、米である」と言ったらしい。「書体設計士」はけっして気取らないし、目立とうとしない。毎日コツコツと、迂遠に続く地道な作業をひたすらこなしていく。

    アーティストやアートディレクターとは友達になれそうにないが、タイポグラファーとは友達になれるかな、と思った。

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著者プロフィール

1955年山形県生まれ。多摩美術大学卒業。書体設計士。79年株式会社写研入社。89年に有限会社字游工房を鈴木勉、片田啓一の3名で設立。現在、同社代表取締役。大日本スクリーン製造株式会社のヒラギノシリーズ、こぶりなゴシックなどを委託制作。一方で自社ブランドとして游書体ライブラリーの游明朝体、游ゴシック体など、ベーシック書体を中心に100書体以上の書体開発に携わる。2002年に第一回佐藤敬之輔顕彰、ヒラギノシリーズで05年にグッドデザイン賞、08年に東京TDCタイプデザイン賞を受賞。京都精華大学特任教授。

「2016年 『文字を作る仕事』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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