声をかける

著者 :
  • 晶文社
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本棚登録 : 183
感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (417ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794969699

作品紹介・あらすじ

ナンパは自傷。社会への復讐? あるいは救い?
会社員、美容部員、風俗嬢、大学院生、ダンサー……クラブで、路上で、女性たちに声をかけ続ける。ナンパは惨めな自傷行為だ。それでも、挑まずにはいられない。得体のしれない他者と一瞬つながり、離れていく。
人と分かりあうということはどういうことなのか。人との断絶やさびしさを、どのように抱えていけばいいのだろうか。ナンパを通して辿りついたコミュニケーションの小さな萌芽。

推薦文
セックスで最も大切なのは明け渡すことだと私はつねづね思っている。この物語の主人公は己のぶざまな内面すら飾ることなくさらけ出す。これは高石君自身の明け渡しでもある。 ――代々木忠(AV監督)

読み始めてすぐに、拒否感や怒りのような感情が湧いてきた。けれど、目をそらしてはいけない気がした。登場人物は、誰もが身勝手で寂しい人たち。それぞれが、ちゃんと歪な存在だった。 ――文月悠光(詩人)

感想・レビュー・書評

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  • 主人公は「ナンパ」という他人への行為を通して自分の世界を広げていき、自己分析も行っていきます。
    様々な女性をナンパすることによって自分の世界が広がると信じている主人公にはどこか虚しさを覚えましたが、ナンパする恐怖を抱えながらも、自分を変えるために女性に声をかける姿には勇気をもらい、感心させられました。
    自己分析がとても進んでいて、自分の「負」の部分からも目を逸らすことなく、静かに受け入れている姿も凄いと思いました。

  • 他人の弱さを受け入れることで、自分の存在意義を見出そうとすることはたぶんよくあることだと思う。

    ほとんどの人は、自分の弱さも他人の弱さも受け入れることなく、目をつむり、見えないものとして扱うことで、健康に生きている。たぶん著者は、自分の弱さを受け入れることができ、そして、弱さを埋めるために他人の弱さを受け入れようとしていた。

    もし著者(彼)に弱さを見せる彼女が、著者との関係の中で強くなることがあるなら、彼は存在意義を見つけることができるし、彼女もまたコナトゥスを強化するという相乗関係ができあがるだろう。それはとても強靭な関係なように思う。

    しかし、彼は彼女を変えることはできない。
    おそらく彼女が目指すべきなのは依存関係ではなく自律であり、彼の寛容さは自律のきっかけにはなってもその本質を構成しえないからだ。

    ナンパは自傷だと、帯にも書かれていたが、外界の自己への侵入の痕跡を望んだところで、弱さが本質的に消えるわけではない。

  • ナンパの体験本、を超えた、エッセー。

  • ナンパを通じて、人と繋がろうとする、わがままな主人公と、彼を取り巻く女性たちの話。彼の、感情とかけ離れたところで男女の関係を客観視する様子は、直感的に面白かったが、後半は彼と悠の内省が重たくて、読み辛くなった。とはいえ、コミュニケーションにおける自分自身の価値観について、考えさせられる本だった。

  • 街で女性に声をかける。
    気が合えば食事をしたり酒を飲んだり、体を重ねる。
    たくさんの人とつながっても、つきまとう悲しさ、寂しさ、虚しさ。ずっと救われない。

  • 2018/10/20購入
    2020/4/19読了

  • どこかたどり着く所までは書かれていないのね

  • 心に足りない何かを満たすため、六本木、渋谷、新宿等でナンパを繰り返す男。ナンパがうまくいった場合でも足りない何かは満たされず、次の相手を求めてまた街へ出ていく男。
    物語は静かなまま進んでいくが、自身のブログを通じて出会った大学院生、悠とは次第にお互いを気づけ合う関係に。
    ついつい読み進めてしまうが、心理描写の細かさゆえ、主人公のこじらせっぷりにちょっとイラつく。
    もっともこじらせているからこそ、小説になるんだけどね~。

  • 最後に収められたエピソードは、メンタル的にめんどくさい女性との相当にめんどくさいやりとりや心理描写が描かれていて印象深い。暴力が肯定されてはいけないと思う。しかしDVになってしまう構造が描かれていて、やはり自分も同じようなことになったら手を上げてしまい、巻き込まれるのかもと思った。いや、二人の相互作用な気がするので「巻き込まれる」という受動態で表現するのは違うかも。ここでは男の視点から女のめんどくささが描かれてる訳で、男のめんどくささを明らかにするには女の視点が必要かもしれない。このエピソードと、それ以外のエピソードはだいぶ手触りが異なっていて、もう別の本にしても良かったのではないか。

    この最後のエピソードはともかく、それ以外のエピソードでは大してやりたくもないナンパを繰り返す意味がわからなかった。ブレーキを踏んだままアクセスを踏んでいるように映ったけど、その切迫感や切実さは本人にだってわからないのかもしれない。そう考えるとわかるような気もする。

    ちなみにエロ描写は簡潔ながらイメージが沸く感じで、好きな描き方だった。

  • 痛々しくて生々しい。でもそこがよかった

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著者プロフィール

1980年生まれ。慶應大学文学部仏文専攻中退。在学中よりカウンセリングのトレーニングを受け始め、セミナー講師なども務める。その後スカウトマンを経てカウンセラーとして活動を開始。クライアントからの要望により、路上ナンパ講習も始める。2010年からコミュニケーションに関する独自のワークショップを開催、現在に至る。2012年には宮台真司氏とのトークイベント「愛の授業」に出演。また2013年には國學院大學にて催眠とコミュニケーションについての講演を行った。著書に『あなたは、なぜ、つながれないのか ラポールと身体知』(春秋社)がある。

「2018年 『口下手で人見知りですが、誰とでもうちとける方法、ありますか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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