こわいもの知らずの病理学講義

著者 :
  • 晶文社
3.82
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本棚登録 : 558
レビュー : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794969729

作品紹介・あらすじ

ひとは一生の間、一度も病気にならないことはありえません。ひとは必ず病気になって、死ぬんです。だとすれば、病気の成り立ちをよく知って、病気とぼちぼちつきあって生きるほうがいい。書評サイト「HONZ」でもおなじみ、大阪大学医学部で教鞭をとる著者が、学生相手に行っている「病理学総論」の内容を、「近所のおっちゃんやおばちゃん」に読ませるつもりで書き下ろした、おもしろ病理学講義。脱線に次ぐ脱線。しょもない雑談をかましながら病気のしくみを笑いとともに解説する、知的エンターテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • いろんな身近な病気を平易な言葉で分かりやすく説明されているのかと思ったらそうではありませんでした。本書の最初に説明があるのですが、「病理学」というのは、病気の理(ことわり)、原因を調べる学問とのこと。ということで本書で説明されていることはかなり研究より。50年ぐらいで急速に進歩した分子生物学的な解説がメインで、動物の体はを作る細胞の話しから始まり、その細胞の設計図たるDNAとその変異によって発生する「がん」の解説と進みます。病気とは結局は細胞の生死に還元できるようです。著者の大学での講義でもそうらしいのですが、ところどころ脱線して雑談がちりばめられているのが本書の面白いところだと思います。でも、肝心の「病理学」の解説は、分かりやすくはなっているものの専門用語が多くて1度読んだくらいで理解するのは門外漢には難しいと感じます。前半の知識を踏まえて後半はほとんど「ガン」についての説明。多くの「がん」は結局は「運」によるようです。DNAの複製の際に確率的に入ってしまう突然変異が積み重なって、それがたまたまガンをドライブする遺伝子のいくつかに入ると癌化するとのこと。だからいわゆる「がんもどき」はほっといても大丈夫なことがあるかもしれないけど、変異が積み重なれば悪性のガンとなる可能性は高いらしい。そういうことを理解して、自分で治療を選択できるようになるのことは必要だと感じました。

  • こちらを読了。
    色々な本を読んでいると「あまりにささっと作られた感じの本だなぁ…」というのも多い一方で、逆に「この本はとても丁寧に書かれた本だなぁ…」と感心する本というのに出会うことがありますが、こちらがまさにそのような本。
    とにかく内容が濃い。門外漢向けなのに手を抜いていない。よって、正直一度読んでイマイチ理解出来ない箇所もある。でも全体としては限られた書面の中で極力内容レベルを下げずにそれでいて専門外の人にも分かりやすく書かれており、ときにかなりのユーモアも盛り込まれていて読み手を飽きさせない。恐るべし。
    いや、とても勉強になりました。

  • HONZでいつもお世話になっている仲野さん。いつか著書を拝読したいものだと思っていた。
    で、大願叶って初仲野。結果は想像以上でもあり、以下でもあり。

    内容は、間違いなくめちゃくちゃ面白く、かつためになるものである。
    ただ、ターゲット層とアプローチ法が間違っている。間違っているというか、読み誤っている。著者は本書を「一般のおっちゃんおばちゃん向け」に書いたらしいが、それとしては明らかに不適当だ。書かれている内容が高度にして煩瑣すぎるし、それを「一般のおっちゃんおばちゃん」にとってわかりやすく書くこともできていない。
    喩えて言うなら「易しいレシピ」とかいう本で、「砂糖をほんの少し、かくし味に入れます」だけでなく、「なぜ砂糖を入れるかというと、塩味と対照的な甘味という味を足すことで〜」などと、長々と説明を加える感じ。それは確かに事実だし重要な情報ではあるけれど、とにかくメシが作れりゃいいという「易しい」レシピに必須の記述ではないだろう。
    ここらへんの齟齬は、著者の知識レベルが一般人に比してあまりに高度であることと、それに対して著者の「作家力」が低いことに原因がある。著者はプロの作家ではなく医者なのでもちろんかまわないのだが、ちょっと筆致がとりとめもないし(合間に挿入される「雑談」を指しているのではない)、比喩が効果を上げていないところがある。ここはこういうふうに喩えてもらえたらもっとわかりやすくなるのになあ、というところがいくつかあった。
    読んでいて思ったのが、そのへんを指摘・調整するのが編集者ではないのか、ということだ。そういう意味では、理系テーマの本だからといって「理系の編集者を!」というのは、必ずしもいいことではないのかもしれない。

    長々と腐すみたいになってしまったが、個人的な感想としていちばん大きなものは「著者に申し訳ない」だった。私にもう少し知識があったらめちゃめちゃ面白く読めただろうに、バカですみません、と。
    何人か書いている人がいたが、本書の真のターゲット層は、若い医学生だろう。こういう人たちにはめちゃめちゃ面白く、わかりやすく、ためになると思う。

    2018/5/7〜5/12読了

  • 前半でざっと病理学のおさらい。
    分子生物学の基礎のインターミッションを挟んで、先生の専門のガンの話に。

    先生の講義と同じく、雑談がちょいちょい挟まって来るのですが、むしろそっちのがおもろい!
    この本のおかげで授業中の雑談の効用がよく分かりました。
    無味乾燥になりがちな学術的な講義も、内容に関連のある雑談によって、奥行と彩りが加わります。
    結果、雑談のない講義よりも格段に記憶の定着率が良いはずです。

  • 話題になっていたようなので購読。しかしこれが意外なほど歯ごたえがあった(最近そんなことばかり言ってるような気がする)。もちろん分かりやすいところもあるし、著者お得意の脱線話はたいへん楽しいのだが、専門用語が羅列されるコーナーや分子生物学に深入りした部分になると「…」となってしまうところも多い。
    とは言え、そのような部分は流し読みしてしまっても、全体を通して読めば、病理学、とりわけ「癌」という病気の特性については確実に多くの知識を得ることができる。この手の本は、それだけでも大いに価値がある。特に本書は、身近な病気に関する知識が得られるので、実用性は極めて高い。もし癌にかかるようなことがあったら、この本を再読して癌の特質を理解し、正しい闘い方を選択することにしよう。

  • <図書館の所在、貸出状況はこちらから確認できます>
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=330417

  • 病理齧っていないと、少し難しいかもしれない。
    それでも、お医者さんが「この薬はここで○○を阻止するのに効いて…」とあーじゃこーじゃ言う言葉が、分かるかもしれない。
    結局は単純で、悪いものを増やしたくない。とか良いものを増やしたいとか、そんなことを言っているのだ。

  • 分子生物学の説明が非常にとっつき易かった。生物学を学ぶ人に非常にお勧めできる。
    ただ、内容が内容だけに基礎知識なしで読むにはやはり厳しいものがあるように思う。

  • 一通り臨床も勉強したが、依然として病理学が苦手な医学生に非常に向いている本だと感じました。
    短時間で概要をつかむことが可能です。

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プロフィール

1957年、「主婦の店ダイエー」と同じ年に同じ街(大阪市旭区千林)に生まれる。大阪大学医学部医学科卒業後、内科医から研究の道へ。ドイツ留学、京都大学医学部講師、大阪大学・微生物病研究所教授を経て、大阪大学大学院・医学系研究科・病理学の教授に。専門は「いろんな細胞がどうやってできてくるのだろうか」学。著書に、『幹細胞とクローン』(羊土社)、『なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』(学研メディカル秀潤社)、『エピジェネティクス』(岩波新書)など。趣味は、ノンフィクション読書、僻地旅行、義太夫語り。

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