日本の気配

著者 :
  • 晶文社
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レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794969941

作品紹介・あらすじ

「空気」が支配する国だった日本の病状がさらに進み、いまや誰もが「気配」を察知することで自縛・自爆する時代に? 「空気」を悪用して開き直る政治家たちと、そのメッセージを先取りする「気配」に身をゆだねる私たち。一億総忖度社会の日本を覆う「気配」の危うさを、さまざまな政治状況、社会的事件、流行現象からあぶり出すフィールドワーク。

感想・レビュー・書評

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  • いま、最も勢いのあるライターさんではないでしょうか。
    3年前、「紋切型社会 言葉で固まる現代を解きほぐす」を読んで、結構打ちのめされました。
    本作も楽しく読みました。
    山本七平の「空気の研究」は有名ですが、空気以前の「気配」を読むというのですから尋常ではありません。
    切れ味鋭い文章で、常人ならスルーする諸問題に突っ込みを入れていくのが痛快。
    政治家や著名人、それにコミュニケーション至上主義に、独自の切り口で「それは違うぞ」と異議を唱えます。
    たとえば、トランプの数々の女性蔑視を放置してきたイヴァンカの講演を聴いた後、安倍首相は「世界中の女性たちが立ち上がれば、世界のさまざまな課題はきっと解決できる」と述べた件。
    「この方々の女性活躍のイメージが、引き続きドリーミングであることがわかる」とは、何という皮肉でしょう。
    既に忘れ去られた存在になってしまいましたが、ショーンKについては、こんなふうに述べています。
    「私たちが日頃眺めているものは、常に『ショーンK』状態であると認識する必要がある。流行りの『マスゴミ』批判をいくつか覗くと、そこで規定されている正しいマスコミ像があまりにもピュアで、その理解のほうが危ういのではないか、という気にもさせられる。ショーンKは異分子ではなく、分子が可視化されただけなのである」
    卓見と思います。
    個人的なことですが、自分は、いつ、どこで、道を踏み外すか分からないといつも考えています。
    だって、世に数多ある小説を読めば、いつ自分が道を踏み外すか分かったものじゃありません。
    どんなに自分が気をつけていても、環境によっては容易に転落します。
    ですから、SNSなどで「自分こそ正義」みたいな投稿を読むと、ひやひやしてしまいます。
    武田さんは、通信傍受の拡大が盛り込まれた刑事司法改革関連法について、こんなふうに言います。
    「なぜ『あ、どうぞどうぞ、監視してください』と体を差し出すのか。自分は絶対に正義の側に居続けるという自覚を捨てるべきである。そんなものは些細なきっかけで反転する。『どうぞ監視してくれ』は誰にとっても稚拙な態度である。」
    我が意を得たりです。
    このたび、ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑さんではありませんが、「簡単には信じない」ということを、今一度、肝に銘じたいと、本書を読んで思ったのでした。

  • 意見に賛否はあるが、作者の気付く違和感には自分も敏感でありたいと思う。

  • ザザッと流し読み。現行の政治家批判が多く、面白く読んだ。

  • 社会

  • さまざまなことについての評論。
    一見、読み易そうなテーマ…と思いきや読むのにけっこう頑張らないとだめだった。
    でも、ほとんど理解できなかったかも…。
    著者が秋元康が嫌いってのはわかったけど。

  • 武田砂鉄さんのエッセイ。政治家の発言や、それを報じるメディアの姿勢、芸能人が使う言葉や、ファンとの距離感など、いまの日本に漂う「気配」の不気味さについて論じている。やはり世間に対して常に怒ってるくらいがちょうどよく自分を保てるのかもしれない。気配を感じとりすぎるとどうしても無理がでてくる。反骨精神を忘れないようにしたい。

  • すっきり する!
    「快刀乱麻を断つ」という言葉が
    そのまんま 鮮やかに当てはまる

    なんだ こいつ!
    もおーっ ええ加減しろ!
    あんたは 何様だ!

    この国に存在する
    魑魅魍魎のような輩を
    ばった ばった と
    なぎ倒していく感じが
    たまらなく 快感である

    ームカつくものに
     ムカつくというのを
     忘れたくない

    本当に その通りだ

    ー個人が物申せば 
     社会の輪郭はボヤけない

    「記憶は弱者にあり」
    マルセ太郎さんがよく
    おっしゃっていた言葉だ

    この時代だからこそ
    ますます 黙ってしまっては
    いけない

  • いろんなことにいちいち違和感や怒りを感じ、「ちょっとおかしいのではないか」といちいち言うことは、もしかしたらうるさがられるのかもしれない。
    でも、日々違和感や怒りを感じるセンサーみたいなものを研ぎ澄ませておかなければ、この国で自分の生きたいように生きられなくなってしまうような気がする。
    わたしはわたしの生きたいように生きたいし、わたしにとって大切な人たちにも生きたいように生きてほしい。

  • 「空気」に支配され「空気」を読むことから「気配」を気にするようになった現在。政治、社会、流行それぞれに漂う「気配」とは? その違和感や不誠実さを執拗に突き詰めて「気配」に流されないよう考え気づかされる。メディアがするべきことをしっかりと論じている。‬

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著者プロフィール

1982年東京都生まれ。出版社勤務を経て、2014年秋よりフリーライターに。
著書に『紋切型社会──言葉で固まる現代を解きほぐす』(朝日出版社、第25回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞)、『芸能人寛容論──テレビの中のわだかまり』(青弓社)、『コンプレックス文化論』(文藝春秋)などがある。

「2018年 『日本の気配』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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