- Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794970336
作品紹介・あらすじ
中国や韓国は儒教によって国が統治され、儒教は服装や冠婚葬祭のやり方まで、社会のすみずみに行きわたっていた。日本では、朱子学や陽明学は、武家の間に広まり、その儒教的教養の水脈は、水戸光圀、大塩平八郎、吉田松陰、西郷隆盛、伊藤博文……と受け継がれ、日本の近代化を用意した。中国哲学の専門家が、東アジアの中の日本を俯瞰して論じる、あたらしい明治維新論。
感想・レビュー・書評
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“儒教が日本の近代化を支えた”というとかつて森嶋通夫氏が『なぜ日本は「成功」したか?―先進技術と日本的心情』(1984年)で提起した問題を想起させられるが、こちらは日本がなぜ近代化に成功したかを中国哲学受容の長期的視点から論じたもの。
著者は「はしがき」において「19世紀には儒教の教義内容が武士の間に広く浸透して国政改革への志を育んでいた。明治維新はこれを思想資源としている」(p.9)と述べ、たとえば丸山真男などに批判される江戸時代の体制教学としての朱子学などはむしろ近代西洋の学術体系を移入するさいの「培養基」となった点を重視するべきと主張している。慧眼だと思う。朱子学的教養に支えられた能吏なしには明治維新の革命は成し遂げられなかっただろうから。
ただ本書は著者の講演やら何やら色々寄せ集めてきたものなので、長期的な東アジアの思想史の流れのなかでその日本的受容と変質を論じていると言えば聞こえは良いが、その難易度にはかなり差があり、読みにくい。もうちょっと何とかならなかったのかと思う。その点が残念。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
231117-1-4
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必ずしも明治維新の話題に限定されるものではなく、(儒教の話題を中心にしつつも)漢代から現代に至るまでの日中の交流史に関する文章を多く含む。内容は一般向け講演からやや専門的内容まで雑多。各章末に注、参考文献あり。
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東2法経図・開架 121.53A/Ko39j//K
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17/11/30。