子どもの人権をまもるために (犀の教室)

  • 晶文社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794970343

作品紹介・あらすじ

「子どもには人権がある」と言われるが、ほんとうにその権利は保障されているか。大人の「管理の都合」ばかりが優先され、「子どもだから仕方ない」で片づけられてはいないか。貧困、虐待、指導死、保育不足など、いま子どもたちに降りかかるさまざまな困難はまさに「人権侵害」。この困難から子どもをまもるべく、現場のアクティビストと憲法学者が手を結んだ。子どもたちがどんなところで困難を抱え、なにをすればその支えになれるのか。「子どものためになる大人でありたい」と願う人に届けたい、緊急論考集。

感想・レビュー・書評

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  • 様々な立場の方々が語る、子どもの人権。
    具体的な事例は胸の痛むものばかりだが、向き合って来た方々の言葉は力強く、変えていくことができるはずだと思えた。
    ハッとしたのは木村草太さんの、法律は実際に起きた問題から、どうしたらいいか考え抜いて作られたものだといった言葉。
    つい遠く無機質なものと思ってしまいがちな法律も、生きた判断材料にすることができるのだ。
    例えば、木村さんが挙げていた子どもの自由権。

    『保護と教育を理由とした子どもの自由の制限が許されるには、①自由を制限する目的が、子どもの最善の利益を図るためのものであること、②自由の制限が①の目的達成のために役立つものであること、③より制限的でない他の選びうる制限方法がないこと、④子どもの発達段階に応じたものであること、の四つの要件を充たす必要がある。』

    親として、自分の都合や世間の慣習に合わせて押しつけてしまいがちなことも、本当にそれは子どもの自由の制限に値するのか考え直せる良い基準になる。
    もちろん自分の子どもだけでなく、どの子どもも大人は守らなければならない。
    その時にも、法律を参考にすることは一つの手段になると実感できたのがとても良かった。

  • 子どもの人権をまもるというテーマに沿って……かな? けっこうそうそうたる人々が稿を寄せている。宮田雄吾(大阪共立病院・大村椿の森学園)、山野良一(名寄市立大学・専門社会調査士)、駒崎弘樹(認定NPO法人フローレンス代表)、仁藤夢乃(一般社団法人Colabo代表)、熊谷晋一郎(東京大学・当事者研究)、大塚玲子(編集者・ライター)、内田良(名古屋大学・教育社会学)、大貫隆志(「指導死」親の会共同代表)、大原榮子(「メンタルフレンド東海」世話人代表・名古屋学芸大学)、前川喜平(元文部科学省事務次官)、白濵洋子(佐賀女子短期大学・学校保健)、内藤朝雄(明治大学・社会学)、山下敏雄(弁護士)、村田和木(ライター・社会福祉士)、南和行(弁護士)、土井香苗(国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウオッチ日本代表)といった方々。
    一方で、どこか子どもの立場に立った活動なのだろうかと思わせもする。子どものためを思って考えての活動ではあるだろうけど、子どもの思いに直結できているだろうか。ほんとにほんとに子どもの人権をまもる活動といえるだろうか。厳密にいえば、たとえとして、大人が余裕をもって子どもを育てられるまちづくりのような活動は、子ども第一ではないと思う。そんなことを気にしながら、各人の稿を流し読んだ。
    なぜ木村草太氏が編集になっているのかちょっと疑問。それらしい人ではあるけど、これまた厳密にいえばそのものズバリな人って感じがせず、彼の知名度に頼って編者にしたのかなって勘ぐってしまう。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPAC↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/614845

  • たぶん3年くらい積ん読してたけど、早く読んどくんだった。
    子どもに関わる人は読んだ方がいい。

    「子どもの権利」って言ってもとっつきにくい感じがするが、
    こうして具体例を項目ごとに並べられ、
    しかもその分野の専門家が実例を挙げて書いているため、
    各分野の入門的な知識を得られる。
    実際、共著者の著作を改めて読みたくなったし。

    まぁ仕事柄、第二部「学校」をみんなに読んでほしい。
    この国でどれだけ「子どもの権利」がないがしろにされてるか、
    たくさんの人に知って欲しい。

  • 2021年4月期の展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00539178

  • 色々な分野で子どもと関わる人たちがそれぞれのテーマで書いたもの。こんなひどい状況におかれている子どもが存在するのかと、読んでいて涙が出そうになる部分も。小さなことでも、自分にできることは何があるかを考えるヒントにしようと思い読んだ。

  • は~なるほど、こういう問題があるのか
    的な要素としては気づきはあった
    ただ、私としては、
    解決策とか問題に対する批判?的なところとかが
    納得しがたいような印象だった気がする

  • 子どもを巡る、保育、養護、療育、貧困対策、性の多様性、居場所作りなどについて各テーマごとにコンパクトにまとめられており、第一線で活躍しマスコミにもよく登場する筆者たちが現場発の生の声で語っている。

    今保育士の受験勉強の途中で、児童養護や福祉について学んでいるので、乳児院や養護施設、里親、虐待からの保護などいろいろディープな環境にある子どもたちの事情に興味があって読んでみた。

    正直読んでいて辛くなる。
    一般人に縁がありそうなのは保育園の待機児童問題くらいで、その他は不幸にして家庭や親に恵まれなかった子たち、または、生まれつきの障害や性的マイノリティーなどの苦労を負った子たちだ。

    しかしその子たちに罪はないわけで、より傷つかず幸せな人生が送れるよう周りの大人や社会が配慮してあげる他ない。

    家庭というスタッフ差し替え不可能な閉鎖環境での子育てではなく、スペシャリストの介入を受け入れながら幅広い人たちに見まもられる成長が、普通の子にも苦境にある子にも与えられるとよい。

    江戸や明治の頃のように養子や里子が一般的だったり、住み込みのねえやや下働きなど家族と従業員の中間みたいな人がいた方が豊かだった気がする。
    夫婦を超えていく逃げ恥ではないが、もっと気楽に血縁を超えていけないものか。


  • 東2法経図・6F開架 369.4A/Ki39k//K

  • 【メモ】
    ・部分公開の記事
    https://synodos.jp/society/21210

    【版元】
    シリーズ:〈犀の教室〉
    四六判並製 352頁
    定価:本体1700円+税
    ISBN:978-4-7949-7034-3 C0036
    〔2018年2月〕

    □現場のアクティビストと憲法学者が協同して編んだ、子どもを支えるための論考集。

     「子どもには人権がある」と言われるが、ほんとうにその権利は保障されているか。大人の「管理の都合」ばかりが優先され、「子どもだから仕方ない」で片づけられてはいないか。貧困、虐待、指導死、保育不足など、いま子どもたちに降りかかるさまざまな困難はまさに「人権侵害」。この困難から子どもをまもるべく、現場のアクティビストと憲法学者が手を結んだ。子どもたちがどんなところで困難を抱え、なにをすればその支えになれるのか。「子どものためになる大人でありたい」と願う人に届けたい、緊急論考集。
    http://www.shobunsha.co.jp/?p=4584

    【簡易目次】
    序章 子どもの権利──理論と体系 木村草太(首都大学東京・憲法学)

    第1部 家庭
    第1章 虐待──乗り越えるべき四つの困難 宮田雄吾(大村共立病院・大村椿の森学園)
    第2章 貧困──子どもの権利から問う、子どもの貧困 山野良一(名寄市立大学・専門社会調査士)
    第3章 保育──待機児童問題は大きな人権侵害 駒崎弘樹(認定NPO法人フローレンス代表)
    第4章 10代の居場所──「困っている子ども」が安心できる場を 仁藤夢乃(一般社団法人Colabo代表)
    第5章 障害──障害をもつ子どもへの暴力を防ぐために 熊谷晋一郎(東京大学・当事者研究)
    第6章 離婚・再婚──子どもの権利を保障するために親が考えるべきこと 大塚玲子(編集者・ライター)

    第2部 学校
    第7章 体育・部活動──リスクとしての教育 内田良(名古屋大学・教育社会学)
    第8章 指導死──学校における最大の人権侵害 大貫隆志(「指導死」親の会 共同代表)
    第9章 不登校──再登校よりも自立の支援を 大原榮子(「メンタルフレンド東海」世話人代表・名古屋学芸大学)
    第10章 道徳教育──「道徳の教科化」がはらむ問題と可能性 前川喜平(元文部科学省事務次官)
    第11章 保健室──学校で唯一評価と無縁の避難所 白濵洋子(佐賀女子短期大学・学校保健)
    第12章 学校の全体主義──比較社会学の方法から 内藤朝雄(明治大学・社会学)

    第3部 法律・制度
    第13章 児童相談所・子どもの代理人──子どもの意見表明権を保障する 山下敏雅(弁護士)
    第14章 里親制度──子どもの最善の利益を考えた運用を 村田和木(ライター・社会福祉士)
    第15章 LGBT ──多様な性を誰も教えてくれない 南和行(弁護士)
    第16章 世界の子ども──身体の自由、教育への権利、性と生殖に関する健康 土井香苗(国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)

    終章 子どもの権利を考える──現場の声と法制度をつなぐために  木村草太

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著者プロフィール

木村草太(きむら・そうた)
1980年神奈川県生まれ。東京大学法学部卒業、同助手を経て、現在、東京都立大学大学院法学政治学研究科法学政治学専攻・法学部教授。専攻は憲法学。著書に『キヨミズ准教授の法学入門』(星海社新書)、『憲法の創造力』(NHK出版新書)、『集団的自衛権はなぜ違憲なのか』(晶文社)、『憲法という希望』(講談社現代新書)、『憲法の急所 第2版』(羽鳥書店)、『木村草太の憲法の新手』『木村草太の憲法の新手2』(共に沖縄タイムス社)など。共著に『ほとんど憲法(上下)』(河出書房新社)、『むずかしい天皇制』『子どもの人権をまもるために』(共に晶文社)などがある。

「2022年 『増補版 自衛隊と憲法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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