ポストコロナ期を生きるきみたちへ (犀の教室)

著者 :
  • 晶文社
3.70
  • (24)
  • (21)
  • (35)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 517
感想 : 52
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794970428

作品紹介・あらすじ

コロナ・パンデミックによって世界は変わった。グローバル資本主義の神話は崩れ、医療や教育などを「商品」として扱ってはならないことがはっきりし、一握りの超富裕層の一方で命を賭して人々の生活を支える多くのエッセンシャルワーカーが貧困にあえぐ構図が明らかとなった。私たちは今、この矛盾に満ちた世界をどうするかの分岐点にいる。この「歴史的転換点」以後を生きる中高生たちに向けて、5つの世代20名の識者が伝える「生き延びるための知恵」の数々。知的刺激と希望に満ちたメッセージ集。

こんなに誠実な大人たちから、地球を引き継げるワクワクをあなたへ。
──山邊鈴(長崎県立諫早高校3年/「この割れ切った世界の片隅で」作者)

「ウイルス一つによって、わずか数ヵ月の間に、ほんの昨日までこの世界の「常識」だと思われていたことのいくつかが無効を宣告されました。それがどのような歴史的な意味を持つことになるのか、人々はまだそのことを主題的には考え始めてはいません。日々の生活に追われて、そんな根源的なことを考える暇がありませんから。でも、中高生たちはこの「歴史的転換点」以後の世界を、これから長く生きなければなりません。彼らに「生き延びるために」有益な知見や情報を伝えることは年長者の義務のひとつだと僕は思います」(まえがきより)

【目次】
まえがき 内田樹

■1 Letters from around 30
ポストコロナにやってくるのは気候危機 斎藤幸平
楽しい生活──僕らのVita Activa 青木真兵
これからの反乱ライフ えらいてんちょう

■2 Letters from over 40
君がノートに書きつけた一編の詩が芸術であること 後藤正文
技術と社会──考えるきっかけとしての新型コロナ危機 白井聡
「タテ、ヨコ、算数」の世界の見方 岩田健太郎
支援の現場から考える、コロナ後の世界 雨宮処凛
「大学の学び」とは何か──「人生すべてがコンテンツ」を越えて 増田聡

■3 Letters from over 50
コロナで明らかになった日本の最も弱い部分──対話・エンパシー・HOME 平田オリザ
コロナ禍と人間──私たちはどう生きるのか 想田和弘
台風とコロナ・パンデミックは同じか? 俞炳匡
図太く、しぶとく、生きてゆけ──誰も正解を知らない問題にどう答えを出すか 山崎雅弘

■4 Letters from over 60
医療が無料であること 三砂ちづる
人生100年時代、ポストコロナはダブルメジャーで 仲野徹
メメント・モリ──思いがけない出会いに開かれているために 中田考
ディレンマの知性 釈徹宗

■5 Letters from over 70
ポストコロナ期における雇用について 内田樹
自分に固有の問題を考えること 池田清彦
コロナと価値のものさし 平川克美
マスクについて 鷲田清一

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • コロナ特措法について - 内田樹の研究室
    http://blog.tatsuru.com/2021/02/21_0908.html

    ポストコロナ期を生きるきみたちへ | 晶文社
    https://www.shobunsha.co.jp/?p=5917

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      第72回「コロナ鬱」にどう対処するか?──内田樹の凱風時事問答舘 | GQ Japan
      https://www.gqjapan.jp/cu...
      第72回「コロナ鬱」にどう対処するか?──内田樹の凱風時事問答舘 | GQ Japan
      https://www.gqjapan.jp/culture/article/20210614-professor-speak
      2021/06/14
  • 釈徹宗のロゴスではなく、レンマという考え方が紹介されているとのことで、読んでみたいと思う。

  •  内田樹さんんが呼びかけて「中高生向き」に書いてもらった,オムニバス本。わたしが知っていた人は6~7人だが,それぞれの呼びかけが面白かった。
     本書のメッセージは,30代~70代の年代別に分かれていて,70代なんて,中高生が大人になった頃はほとんど現役ではないわけで,だからこそ,なにを呼びかけているのかが,気になる。
     新型コロナによって暴き出された現代社会の矛盾は,コロナ禍が過ぎ去ったとしても,なんらかの修正を迫られるはずだ。会社に行かなくても仕事ができる…と分かったからには,満員電車に乗って会社へ行くこと自体が,すでに「必要なこと」ではなくなってしまった。密を避けることは,過疎地域では当たり前であり,過疎であるわたしの地域で影響を受けたのは「年に一番密になる地元のお祭」ぐらいだ。
     指導者たちは,巨大な経済システムの中で,無駄を省くことを第一条件として進めてきたことのツケが,あまりにも大きかったことにやっと気づいたのだろうか。もっとも,10年前の東日本大震災の津波による原発事故のときにも気づいたはずだったのだが…それが,いつのまにか,どっかへいってしまっていた。今回,また,違う形で自然が教えてくれたんだが。
     内田さんがいうように,今後の社会は決して楽観的に過ごせるわけではないだろう。高齢化率や出生率などを見ても,その大変さがよく分かる。
     じゃあ,今後はだれがどんな社会を作ってくれるのか…いや,君が作っていくんだよ,それは君がやりたいことを選んでやっていくんだよ…というメッセージが,少しだけ勇気を与えてくれる。
     60代のお爺ちゃんは,孫たちの世代に何を残せるのだろう。まだわたしにできることはたくさんありそうだ。

  • 中高生を想定読者とした、現在30代〜70代の20名からのメッセージ。今回のパンデミックであらわになった日本社会の欠陥について、こんなに不出来な社会を後続世代に遺すことになってしまった責任を感じ、補正しきれなかった悔しさがにじむ。

    世代が変わると考え方や行動も変わる。是非、現状を反面教師として欲しいです。

  • 豪華な面々がコロナ禍を思い思いに語る。それぞれの自己紹介から始まり、時勢に対する持論を。19人分掲載されているので、内容が浅いのが惜しい。まるで1時間特番のテレビ番組に豪華ゲストを呼び過ぎて中身がなくなってしまったような感じだ。更に、中学生向けにという内田樹氏から各人にオファーが出ていたらしい。なるほど、対象外である。

    斎藤幸平にもいつもの切れ味はないし、雨宮処凛はお馴染みペット連れのホームレス話。えらいてんちょうは全共闘の親の話。岩田健太郎はコロナ感染者の統計話。中田考だけは面白いなと思ったが、後の著者は、ダイジェスト版を更に噛み砕いたような中身で、歯ごたえも味もしない。まるでコロナの味覚障害がポストコロナを語りし、皮肉である。

  • めちゃくちゃ面白かった。
    中高生向けに書かれている本らしくて、私はずいぶんと年を取りすぎているというか、むしろこの本で言うと書き手側の年齢になりつつあるんやけども、それでもしっくり来たり、はっとしたり、書き手の方々の想いを感じたりした。。
    私が中高生のときに、これを読んだとして、どうおもったかなあと思う。衝撃を受けたかもしれないし、難しいと感じたかもしれない。
    けれど、もしこういう本に出会っていたらまた価値観は全然違ったものになっていたかなぁと思うと、
    もっと本を読んだり、勉強したりすればよかったなあと今になって思う。。けどまあ仕方ない。

    新型コロナウィルスがいろんなものを変えてしまったというよりも、もうすでに変わっていたもの、がたがたになってしまっていたものを新型コロナウィルスがあらわにした、というのが正しいんやろうなあ。

    私自身が、成長とか合理性とか経済を回すとか、そういうことにすごく違和感があって。資源も限られている、人口も減っていく。そんな中でそういう価値観には限界があるのではないかと思っていて、この本を読んで、やっぱりそうなんだろうなあという気づきを得た。

    なにが正しいのかなんてだれにもわからない。ばちっと「これ!」という正解があるわけではない。
    過去の知見や歴史から学びつつ、新しい社会のあり方をみんなで手探りで考えていくしかないのだと思う。考え続けることが大事。

    書き手の方々の本をいろいろと読んでみたくなった。本当にいろんな人たちがいろんな文章を書いていて面白かった。私もこういう書き手の方々のような歳のとり方ができるようにいきたいなと思いました。

    ぜひとも若い人たちに読んでほしいなあ。
    オススメです。

  • 増田聡 大学の学びとはなにか
    が最もおもしろかったし、論の展開がスッキリしていた。

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/661124

  • 2020年、COVID-19が席巻した世界では次々と社会の歪みが露呈した。そのコロナ期とポストコロナ期に、次世代の若者たちがどう生きるべきかを内田樹をはじめとした様々な年代の言論人たちが語る。

    内田さんが声をかけて集まった様々な分野の今をときめく著名人たちがコロナとコロナ後の世界をテーマに執筆しました。内田さんのセレクトだけあってみんなけっこう尖っていて(偏っていて)どれも読み応えのある内容でした。中学生向きということで平易な文章で一編が短いのも読みやすくていいと思います。そしてみんな分野が違うので、コロナ期というものを違う角度から見ているのも面白い。また、分野が違っても結局、多くの著者が今世紀に入ってからの日本の教育が間違っていると言及しているところが内田さんセレクトらしくていいし、実際にその通りだと感じます。
    近代に入ってから特徴的なのは膨大な富を得た後に残る負債を残らず次世代に押し付けるところ。これを明確にあぶり出したのがコロナで、コロナがあってもなくても次世代の若者たちは老人たちのケツを拭きながら生きる羽目になります。そのことに若者たちと、おそらく現役世代に含まれる私たちがどう向き合って生きなければならないのか、時代のまさに転換点に生きているということを感じさせる本でした。
    特にキューバを例とした無料医療に言及した三砂ちづるさんの章が勉強になりました。ということでゲバラの若き日の旅路を描いた「モーターサイクルダイアリーズ」も併せてお楽しみください。この映画はすごくよかった。本も出てる。
    あ、あとバランスを取るために武田邦彦の「君が地球を守る必要はありません」もどうぞ。

全52件中 1 - 10件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×