人は死ねない 超長寿時代に向けた20の視点

著者 :
  • 晶文社
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本棚登録 : 83
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794973054

作品紹介・あらすじ

医療未来学が描く「老い」と「死の未来」
人間と死の関係は、今まさに歴史的転換点を迎えている

寿命が延びて、死ななくなるというのは、大問題だ。納得のいく死に方を考えるよりも、定年退職後、30年、40年を一体どのように生きればよいのか。生き方の根本を大改革しなければならない。
――田原総一朗さん推薦!

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AI診断、ゲノム編集、手術支援ロボット、人工臓器、予防ビジネス……医療が完成形に近づき、人間が本当に120歳まで生きられる時代がすぐそこまでやってきた。しかし問題は、誰もが健康な状態で長生きできるわけではないということ。超長寿時代は、一人ひとりの人生の時間が長くなる一方で、体に致死的でない小さな不調を抱えながら生きる人が大量に増える時代でもある。そのとき世の中は? 個人の生き方は? 死のあり方は? 最先端の医学研究や医療予測に詳しい著者が、未来の医療のあり方とそこに生じる問題点を提示しながら、超長寿時代の死とは何かを考えてゆく一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 現在までとこれからの医学の進歩を、たいそう楽観的にとらえているかと思えば、公的医療制度の改変による金銭面での負担増に言及するなど、全体的に何を主張したいのかがはっきりしない印象であった。
    表題の内容については第4章に言い尽くされているので、第5章は蛇足であったろう。

  • ●無茶苦茶な生活をしなければ、自分の体がどのように衰えていって何歳位で死ぬかも、今は大体わかります。「死のあり方」すら計画的。生も死も、予測可能な概念になりつつあると言えるのです。

  • 490.14/オ

  • 第1章:あらゆる病気は克服されていく――人生120年が現実味を帯びる現代

    ・病気の克服が「生のあり方」を変え、「死のあり方」を変える
    ・人類が感染症の脅威から解放される日
    ・20世紀の半ばから、たたかう相手はがん
    ・心疾患・脳疾患に
    ・がんや神経難病も未来には克服される
    ・人工臓器も実現しつつある
    ・現代人の体力向上、救急医療体制の充実も「死なない」要因に
    ・遺伝子解析技術とセンシングで、予防医学がますます進歩する
    ・AI診断によって「誤診」が激減する
    ・人生100年、120年が現実味を帯びてきた

    未来のストーリー:100歳まで生きることなど珍しくも何ともない

    第2章:健康とお金の関係はこう変わる―─経済力が「長生きの質」を決める

    ・「多病息災」で、今以上に医療費がかかる
    ・老化を治療できても医療費はかかる
    ・医療費が「全額自己負担」になる可能性も
    ・経済力が「長生きの質」を決める?
    ・人間拡張技術によって老化がハンディでなくなる
    ・「死」は「幸せな区切り」になりうる

    未来のストーリー:経済力の有無で長生きの質に格差が生まれる

    第3章:ゆらぐ死生観─―自分なりの「死のあり方」を持つ

    ・シナリオどおりに生きられると「生のあり方」が変わる
    ・「典型的な死のプロセス」も変わっていく
    ・現代医療は患者さん個人の背景まで考慮できない
    ・安楽死について
    ・医師は医師として生きている
    ・同調圧力、自己決定、自己決定権
    ・新しい「死のあり方」に制度が追いついていない
    ・死生観を持つのは誰なのか
    ・自分なりの「死のあり方」を持ち、納得する死を迎える

    未来のストーリー:100歳を超えた私の「お迎え」はいつくる?

    第4章:誰が死のオーナーか─―死を取り巻く問題を考える

    ・「生」に自己決定権はなかったが「死の自己決定権」はある
    ・「脳死」の定義はあるのに「死」の定義はない日本の法律
    ・延命治療は「一度始めたらやめられない」は本当か
    ・「人間医師」はどこまで責任を負わされるのか
    ・医療に関する「意思表示」が不可欠な時代に
    ・未来には「積極的な死」が増えてくる?
    ・すでに安楽死が法制化されている国や地域も
    ・「死なない時代」に、安楽死は「一切れのパン」となる
    ・死体は誰のもの? 臓器提供をめぐる問題
    ・高齢者に歴史あり

    未来のストーリー:安楽死が法制化された未来

    第5章:未来の死を考えるための20の視点

    視点1 肉体がなければ、衰えることもない
    視点2 永遠の生:悪魔との取引
    視点3 医師を呼ばない息子の妻への怒り
    視点4 生涯独身の私は、独りで死んでいくのか
    視点5 人生をともにするパートナーと同じ気持ちを共有しているか?
    視点6 死の定義をあなたが決める立場ならどうする?
    視点7 臓器提供が「推定同意」になる前夜の夫婦の会話
    視点8 有限な貯金の使い道:高度な治療を取るか家族の団らんを取るか?
    視点9 死の間際までハイテクを使えるなら、何を使う?
    視点10 どんな医療制度を望むか
    視点11 子どもが脳死になったらどうするか
    視点12 早期定年の企業に息子が就職しようとしてら、親として反対するか
    視点13 自分の死について、医師にどんな役割を担ってほしいか。またその医師は具体的に決まっているか?
    視点14 死期を明確に早める新種の薬が開発された。不治の病に冒されているあなたはどうするか
    視点15 治療や延命に関する意思表示の情報を更新していなかった。どうするか
    視点16 そして誰もいなくなったら、自然に任せるか
    視点17 サルコを買った彼
    視点18 お迎えサービス
    視点19 価値のある人生なんて決められる? 命の再配分は冒瀆?
    視点20 何歳まで生きたいか

    おわりに――死のデザインという提案

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著者プロフィール

1962年大阪府生まれ。医療未来学者、医師、医学博士。東京大学医学部医学科卒。英レスター大学経営大学院修了。専門は医療未来学、放射線医学、核医学、医療情報学。東京大学医学部22 世紀医療センター准教授、会津大学教授を経てビジネスの世界へ。著書に『Die革命――医療完成時代の生き方』(大和書房)、『未来の医療年表――10 年後の病気と健康のこと』(講談社現代新書)、『未来の医療で働くあなたへ』(河出書房新社)など。

「2022年 『人は死ねない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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