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本 ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784794973078

作品紹介・あらすじ

少子化・人口減、気候変動、パンデミック……。国力が衰微し、手持ちの国民資源が目減りしてきている現在において「撤退」は喫緊の論件。にもかかわらず、多くの人々はこれを論じることを忌避している。
名著『失敗の本質』で言われた、適切に撤退することができずに被害を拡大させた旧・日本陸軍と同じ轍をまた踏むことになるのか?
「子どもが生まれず、老人ばかりの国」において、人々がそれなりに豊かで幸福に暮らせるためにどういう制度を設計すべきか、「撤退する日本はどうあるべきか」について衆知を集めて論じるアンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 現在のシステムの潮流でのカタストロフィの生じる前の方向転換を撤退論としている。
    コモンの再生と撤退ということで、斎藤幸平が、『資本主義から撤退して里山に行くだけでは不十分。何故ならそのままでは、資本主義が里山を含めた環境を破壊するから。』と言っていたところに納得。彼はだからこそ資本主義は止めなければならないという。当方はまだ、サステナビリティは社会という形での対応が必要と思っている。戦争、技術進化などに対応する上で、経済を止め切ることはできないと思うため。

    撤退とは、単に行くか戻るかの二者択一を意味しない。そのような二者択一を自分に迫っている世界観とは、全く異なる世界観へのパラダイムシフトを意味しているということである。

    難しいと考えているシステムの転換は、現代のシステムの思考の中て考えているから。

    そのためには、イメージから先に変われ。かえ?とは、目標わ着地点をへんこうすることではなく、現在流通している思考や、言葉遣いそのものを変えるということに他ならない。

  • 「撤退のために」 - 内田樹の研究室
    http://blog.tatsuru.com/2021/10/27_0940.html

    撤退論 内田樹(著/文 | 編集) - 晶文社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794973078

  • 衰退する日本をいかに撤退させるかについて、多様な論者たちが論じる一冊。
    サンクコスト、責任追及、同調圧力・・・撤退判断を妨げる要因はいくらでもあるが、どこで撤退の決断に踏み切るのか。
    最後の論者である平川氏の「撤退とは、行くか戻るかの二者択一ではなく、パラダイムシフトなのだ」というメッセージが一番ささった。

  • 撤退論。例によって内田樹から寄稿依頼された面々が思い思いに「撤退論」を論ずる。勢い、流れで私も持論を述べたくなるが、テーマ幅広し。一人一人に割かれるページ数が少なく浅い。興味深いのだが〝好奇心のインデックス“程度の本だ。

    切り口がそれぞれ。女性疫学者の三砂ちづるが、撤退の英訳withdrawalを、これは膣外射精という意味にもなるが、人口問題に絡めた性行為の撤退として私感を述べていた。少子化問題に対し、避妊を教育する自らへの疑問、近代化され、そもそも性行為の数が減っている事への警鐘。映画やドラマは見るもので、情報化・計画社会により、日常の起伏が減るように、恋愛や性行為がバーチャルのファンタジーに封じられ、自ら演じるものではなくなっていく。

    『マニフェスト選挙を疑え』堀内勇作が示した政党名を隠して政策支持を問うた場合の結果と、自民党の政策と記して同内容の支持を問うた場合、自民党補正がかかり、支持率は政策に関係なく上昇する。民主主義からの撤退に触れた、白井聡。成田悠輔の論説を見聞きして以来、民主主義の膠着化は私の中で決定的になりつつある。成田悠輔と言えば、斎藤幸平(私の中では)。本著でも、資本主義からの撤退に軽く触れる。

    想田和弘。映画監督らしい、がどんな映画かはよく知らない。本著に書かれた内容が胸打つ。
    ー 直進する文明の時間に生きるのではない。猫は毎日毛づくろいして生きていく。効率よく毛づくろいするための工夫をするわけではない。循環する時間だけが流れていく。直進する文明の時間から撤退し、循環する自然の時間と共に生きていきたいと、無意識にせよ、体のどこかで感じていたからなのだ。

    文明からの撤退。加速しないで欲しい、毎日の合理性や経済。意識低い系で世界全体、談合しながら滅びていければ、そこに幸福の真理が見出せないものだろうか。晴耕雨読。昨日と変わらぬ毛づくろいをしながら、日々、生きていきたいのだが。

  • 面白いのに、読みきるのに時間がかかってしまった。
    総じて皆様が仰っているような、ユルい撤退を早いところ社会全体で開始したいと思うのだけど、
    いったいどうすればよいのか。方向転換せずにいたら、みんなで崖から落ちることになるのに。

  • 内田樹さんの寄稿の依頼文をネットで読んで「撤退論」を手にした。岸田総理らの相変わらずの成長「必至」論は具体策も展望も欠くが、国民の側に立つはずの経済学者金子勝さんでさえ成長を説く。なんで目をつぶっているんだろうかと思う。
    16人の中では初めて知ったユウヘイキョウさんのプランBがよかった。探して読んでみたい。

  • 仲野徹さんの理系的撤退論は、すんなり読めて、色々なことに応用して考えられて、興味深く読みました。

  • 内田師範のお話以外あまり面白くありませんでした。面白くないのは、たぶん、書いてる人たちの表現力が頭良すぎて何がいいたいのかケムに巻かれたような気持ちになるからかもしれません。

    わかりやすすぎるのも、あれだし難解すぎるのもちょっと。

    正直に申し訳ございません。

  • 読む前は、日本の「撤退論」と思っていたが、読み終わった今、自分の人生の「撤退」について考えることになった。
    ものすごく自分勝手な解釈なのかもしれないが、そんなに、昨日よりも今日の自分が進歩していなければいけないみたいなことは考えなくていいのではないかと、とても落ち着いた。そもそも下降が当然の年齢になっているのに「いや体力、健康、外見等は落ちていっても、また別の部分で進化、成長をしなければ」と感じていたような気がする。のんびりダラダラした性格なのに。

    いろいろな分野の方々の、それぞれの立場から、特にご自分の体験からの「撤退論」であったが、何人かの方たちは同じことを言ってらっしゃるように思った。ということはそこが大きなポイントだと思う。そこから上記の自分の「一直線に前へ前へ進歩しなくていいんだよ」という思いが心に残った。

  • 涙あり、衝撃あり。15通りのメガネをかけさせてくれる、とても有意義な一冊。
    一人ひとりの論考をじっくり味わいたい、でも面白すぎるし文章の量も程良いのでもう1人読みたい、もしくはこの人の別の著書を早く読みたい、そんな気持ちになった。
    新しい時代がそこまで来ている、そんな予感がしてくる。

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著者プロフィール

うちだ・たつる:1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)、思想家、神戸女学院大学名誉教授。東京大学文学部仏文科卒。2011年11月、合気道の道場兼私塾「凱風館」を開設。『寝ながら学べる構造主義』『日本辺境論』『下流志向』をはじめ多くのベストセラーをもつ。 近著に『勇気論』(光文社)、『小田嶋隆と対話する』(イースト・プレス)、『だからあれほど言ったのに』(マガジンハウス)、『凱風館日乗』(河出書房新社)があるほか、『困難な結婚』『もういちど村上春樹にご用心』(アルテスパブリッシング)、『街場の米中論』(東洋経済新報社)など著書・共著多数。

「2024年 『図書館には人がいないほうがいい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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