教室を生きのびる政治学 (犀の教室 Liberal Arts Lab)

著者 :
  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794973597

作品紹介・あらすじ

国会でも会社でも商店街の会合でも、そして学校のなかでも、
人間の行動には同じ力学=「政治」が働いている……
いまを生きるわたしたちに必要なのは
半径5メートルの安全保障 [安心して暮らすこと] だ!

学校生活のモヤモヤを政治学から見てみると、
わたしたちはとっくに政治に巻き込まれていた!

◆自治:女子の靴下だけ黒限定のトンデモ校則
◆議会:かみ合わなくてイライラがつのる学級会
◆多数決:むりやり感あふれる過半数ルール
◆公平:不登校を「ズルい」と思ってしまう気持ち
◆支持:意見を言えない人はどうする?問題

心をザワつかせる不平等も、友だち関係のうっとうしさも、孤立したくない不安も……
教室で起きるゴタゴタには、政治学の知恵が役に立つ!
学校エピソードから人びとのうごめきを読みといて、社会生活をくぐりぬけていこう。
人が、社会が、政治が、もっとくっきり見えてくる。

「安全保障、といっても軍備や国家間の紛争の話をしようというわけではない。
半径五メートル、それは僕たちの日常の生活空間の話だ。
日常の生活空間(とくに教室内)で頭を抱えながらうずくまるのではなく、
少しでも心穏やかに、安心して過ごすために、
なにより政治学が役に立つ、ということを伝えたいのだ」(「はじめに」より)

感想・レビュー・書評

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  • 『政治学者、PTA会長になる』が面白かった(著者 オカケンの吠える声が今でも耳に残っている…)ので、同じ学校現場関連で本書をチョイス。

    PTAでは親御さん世代が対象であったのに対し、今回は(一応)中高生向けに執筆されている。「自分の身の安全を確保し、学校生活をサバイブしてほしい」というのが本書におけるメッセージだ。
    学校はいわば社会の縮図。政治学をその小さな社会に当てはめることで、身の回り半径5メートル以内の「安全保障」につながる、というわけだ。

    中高生対象なだけあって、今回のオカケンは超ノリノリ!
    ほぼ話し言葉だし、まるで階段教室に全国の中高生を集めた臨場感たっぷりの講義を行なっているみたい。(その分脱線したりとまとまりがないように感じることもあったけど)
    本文の主役とも言える若人の声・本音はあくまでオカケンが作り出したものだが、言い分はよく分かるしこれでもかとこだましてくる。

    何よりもここで大切にされていることは「分節化」だ。
    ビッグワード(「社会」など抽象度が高く汎用的な言葉)について、「そもそも〇〇(ビッグワード)」とは何かを分析し、必要とあらば何種類かに切り分けている。
    ・「友達」→「自分以外の区分け(クラスメート・違う組の知らない人….)」
    ・「意見を言わない人」→「彼らが意見を言わない理由」
    等を列挙・解析することで、大きな壁みたく立ちはだかるビッグワードを見極められるよう促している。ビッグワードを振りかざされるたびに立ちすくむこともなくなったりして。

    表向きは中高生向けだけど、中高生だった自分にも今の生活において共感できる点が多かった。「友達100人なんてもってのほか、友達よりも”仲間”を作る方が必要!」の話は心がほぐれる…。

    何かを取り決める時(本書では学祭の出し物を決めるクラス会議が引き合いに出されていた)、「みんなの心を一つに!一致団結!」の精神論がもてはやされがちだけど、「仲良くもない人たちに合わせたくない」というのが大体の本音である。
    でも人間関係が合わないのは自然なことだし(オカケン…ではなく哲学者フッサール曰く、「なぜかそうなっちゃう組み合わせにすぎない」)、協力する動機なんか正直何だって良い。意見が対立したら損得勘定で対応したって良い。
    心の安全さえ確保できれば、それくらいドライでも良いのか。過去の自分に教えてあげたい。

    「僕たちは弱くて小さくて助けが必要だ」
    「学校なんか命をかけて行くところじゃない」

    何のために学校へ行くのかを問われると、悔しいかな親や教師が吐いたような文言しか出てこない。そこで展開される教育の目的も然りだ。
    オカケン曰く(二度目の正直!)、その真の目的は「勇気と覚悟をもって自分で考えて決断できる頻度の高い人間を社会に送り出すこと」だという。「生きのびる=正しいと判断したことを実行できる」フィールドが教室でなくても良いのだ。

  • 政治家たちの不祥事が取り沙汰される昨今、教室を生きのびる政治学とは面白いタイトルだな、と思って手にした一冊。

    扱う内容はいいけれど、クセの強い口語文体で、読むのに苦労した。中高生だとこうした文体の方が読みやすいのかな……。
    政治学というのは身近に存在している。そのことを学校生活の一部を切り取って説明してくれるので、なるほどなと思う点は多かった。
    ただ、教室を生きのびるために政治学が役に立つとうたっている点に関しては、うまく理解できなかった。政治学の知恵というより、筆者の知恵は役に立つので、読んで損はしないけれど。

    まとめると、筆者からの中高生への熱いメッセージがつづられた本、という感じだ。
    友だち・話し合い・リーダーシップ・不平等・自己責任・民主主義……読めば、社会の仕組みへの理解やものの見方が豊かになるし、モヤモヤもスッキリするはずだ。

    中高生に読んでほしいけれど、なかなか読みづらい(そして政治学の繋がりがわかりにくい)ので星3つ。

  • 教室にいた頃に知りたかった内容で、そういうことを言ってくれる大人や本に早く出会いたかったなと思いました。

    話し合いの章を読みながら、世の中はキレイ事ばかりではないこもわとを改めて感じました。

  • 政治 というと、自分の生活からは遠い事のように感じていました。本書を読んで、とても身近な事なのだと学ぶ事ができました。くさらず、できる範囲で出来る事をやっていこうと思えました。

  • 正しいことを書いてらっしゃいます。
    高校生に伝えたいメッセージの内容も、重要で
    まっすぐな動機だとわかります。

    (以下、ネタバレです。)
    1「立派な人間になる」という目標は必要ないから、そんなもん捨てること。

    2 友達がいないことは気にするな。

    3 僕たちはひとり残らず弱くて小さい。

    4 すべての人間は、世界の歴史にたった一度しか登場しない。一人ひとりの人間は史上唯一の存在だからおのおの異なる。でも生き延びるための共通の条件をかかえている。

    5 学校なんて、人間が命をかけて行くところではない

    6 大切なのは、「誰にも迷惑をかけない人間になること」ではなくて、自分の非力と未熟と無力をきちんと受け入れて、その上で「他者に適切な助けを求める決断のできる人間になること」

    (以上)

    本当に そのとおり! 若者たちに
    届いてほしい。
    この著者のフランクな語りかけや、まわりくどい本書の構成のせいで、はっきり言って、ウザい!
    良書なのにウザいんです。苦笑
    読み切ってくれない読者が多数でる予感ですが、ほんの数パーセントの若者にだっていいから、
    響く本でありますように! ・・・と、祈りました。

  • 政治とは「権力を通じて、誰かの利益になるように他者の行動をコントロールすること」で、「選んで決める」という性質を持っている。
    議論や話し合いの目的は、「共有している部分と、別れてしまった部分の確認・記録すること」であるので、変わりうる自分を認められなかったり、論破してしまったりしては、目的から外れてしまっている。
    自分の意見を言えない理由は、①自分の経験の範囲を超えている②言い方がわからない③言えないのではなく、「言わない」などがある。それでも、言えない人にもフォロワーとして「ひたすら聞く」「記録する」「言えた人を励ます」などできることはある。
    日本では「リーダー」と「上司/キャプテン」の区別はないため、「リーダー」がただの責任者として忌み嫌われてしまう。「トップ」ではなく「仕事の種類」としての
    リーダーにとらえなおすことが必要で、「自分たちの状況を理解し、選択肢を考え、選択の結果とコストを提示し、どれを選ぶのか尋ねる」というタスクを言葉を使って表現する機能が求められる。
    「自己責任」が問題になるのは、「自由に選択できた場合」のみで、そうでない場合には、問う必要も意味もない。

  • もし、私が中高校生の立場で読むならば、この本みたいに若者言葉でタメ口&「俺は大学教授」という上から目線、
    もぉ絶対「ムーーーーリーーーー」なんだけど、、、

    同じ大人として、筆者が中高校生へ、人間は皆完全じゃない、それをわかって、なんとしてでも生き延びろよ、というメッセージを送りたくて書いたんだなということは、よくわかった。

  • 政治学者が中高生に向けて、政治とは主権者とは平等とは…と噛み砕いて伝える本。学校生活での出来事も、政治に参加することと繋がっているとを感じられる。

  • 学校というのは不思議な場所で、一人一人は心身の発達も家庭環境も違うのに、当人の知らぬ間に同学年に括られて流れ作業のように「均質化」され「品質向上」させられる。私自身を振り返ってみれば集団行動が苦手なのになぜか目立つ役割を振られる事が多くて、褒められたり妬まれたり気苦労が絶えなかったこと、中高時代は精一杯サバイブしていたこと‥黒歴史も含めて次から次へといろいろ思い出した。当時の私‥我ながら本当によく頑張ってたんだな。本書の想定読者は中高生とその保護者や現役学校関係者で、そこにダイレクトに届くのが理想だけど、「教室を生きのびた」ひとりとしてより多くの人々に著者のメッセージが届くことを願いつつ一気に読了。

  • 著者のことは「政治学者、PTA会長になる」で知った。
    今回も身近な出来事を政治学の知識を使って語ったもの。
    本書は中高生が対象なのだろうが、話し合っても正しい結論が出せるわけではない、自分の意見はみんな偏っている、意見が異なっていても、どこまで共通でどこで分かれたのかを確認するのが大切、論破しようとする人は何かを失うことを恐れている、など自分自身でも覚えておきたいな、という点がたくさん。
    著者は中高生に対して、そんなにがんじがらめにならなくてもいいんだ、決めつけることは何もないから、苦しかったら逃げてもいいんだ、と何度も呼びかける。
    現役の大学生と日々接し、中学生のお子さんをお持ちで、この間まで小学校のPTA会長をやられていた著者には、今の10代のつらさ、閉塞感がよく分かっておられるのだろう。今の若者に疎い身にはそれだけ深刻なのかと逆に驚いた。

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著者プロフィール

政治学者、専修大学法学部教授。1962年、東京生まれ。
著書に『政治学者、PTA会長になる』(毎日新聞出版)、
『なぜリベラルは敗け続けるのか』(集英社インターナショナル)、
共著に『転換期を生きるきみたちへ』(内田樹編、晶文社)など多数。
愛称オカケン。広島カープをこよなく愛する2児の父。


「2023年 『教室を生きのびる政治学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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