その悩み、古典が解決します。

  • 晶文社 (2024年7月25日発売)
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  • 本 ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794974341

作品紹介・あらすじ

古典の教える〝解決法〟って本当に役に立つの……⁉ 
遠くの古典に手が届く、斬新すぎる「けったいな」自己啓発教養書、誕生。

▼読書猿氏[作家、『独学大全』]
「こんな本が欲しかった。
 というか、自分が書きたかった」
▼ロバート キャンベル氏[日本文学研究者]
「陰キャも奥手も三日坊主も
 治す鍵が「遠くの古典」にあったのかも!

現代の生活で起こるさまざまな問題について
古典を読んできたおかげで「解決」できた著者が、
数々のお悩み相談に対して
古典が役に立つことを実践解説!

[主な目次内容]
・たったひとつの選択肢が世界を変える――井原西鶴『西鶴諸国ばなし』
・私たちは失敗できる権利を持っている――上田秋成『雨月物語』
・あてのない旅が与えてくれるもの――勝小吉『夢酔独言』
・「すごい」ということがわかることはすごいこと
 ――後水尾天皇と「禁中幷公家諸法度」
・大事なのは雑念を消すことではなく、手がかりを手放さないこと
 ――本居宣長『排蘆小船』
・ネコが説く無の境地――佚斎樗山『田舎荘子』
・燃せばわかる、燃せば変わる?――橘南谿『西遊記』
・江戸時代のロビンソン・クルーソーが教えること――『無人島談話』
・自分のからだで試してみたら――人見必大『本朝食鑑』
・言葉以外に思いを伝える方法――井原西鶴『好色五人女』[ほか]

感想・レビュー・書評

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  •  著者の菱岡憲司氏は、1976年生まれで、山口県立大学国際文化学部教授。
     『現代の生活で起こるさまざまな問題について古典を読んできたおかげで「解決」できた著者が、数々のお悩み相談に対して古典が役に立つことを実践解説!』とある。

     お悩みを解決するために引用される古典は、井原西鶴、上田秋成、近松門左衛門、曲亭馬琴、本居宣長といった近世のものが多い。
     そして、お悩みに対しては基本的に相談者を否定せず、相談者の背中を押す回答を古典の中から探し出してきてくれる。それは、あたかも有能な弁護士が依頼人に有利になる判例を見つけ出してくれるのに似ている。「確か良いのが、あたかも」みたいな。(失礼)

    200年前の文豪・国学者の言葉に説得力がないはずもなく、相談者は大船に乗ったつもりで前に進むことができる。
     回答のもととなった古典は現代語訳され、そして原文も載せてくれている。まあ、この原文の五七調リズムが心地よいこと。こんな文章書いてみたいと思わせるほどキレが良い!
     近世の文章は、中古・中世に比べると、語彙も現代の意味に近く、係り結びや尊敬表現も捉えやすい。分かりにくい箇所は飛ばし読みしても大意は理解できる。原文を味わうと回答の有り難みが倍増するような気がするのでオススメである。

     天の下に新しきものなしという。温故知新ともいう。先達はあらまほしきことなりともいう。

     頼りになる先輩に相談するつもりで、この本を通して古典に悩みを投げかけてみてはいかがだろう。
     (図書館で借りて読んだのだけど、購入して座右に置きたいと思っています。)

  • 910-H
    詩歌・古典コーナー

  • 「◯◯で問題解決」を謳うビジネス書などのメタ的な立ち位置のような、他愛もない人生相談に対して故事もとい古典を引くというスタイル。

    「今も昔も人々の考えることはそう変わらない」という身も蓋もない話でもあるが、古典の知識はいくらか蓄えられたか。

  • はじめに

    1:たったひとつの選択肢が世界を変える――井原西鶴『西鶴諸国ばなし』

    2:私たちは失敗できる権利を持っている――上田秋成『雨月物語』

    3:あてのない旅が与えてくれるもの――勝小吉『夢酔独言』

    4:「すごい」ということがわかることはすごいこと――後水尾天皇と「禁中幷公家諸法度」

    5:大事なのは雑念を消すことではなく、手がかりを手放さないこと――本居宣長『排蘆小船』

    6:ネコが説く無の境地――佚斎樗山『田舎荘子』

    7:燃せばわかる、燃せば変わる?――橘南谿『西遊記』

    8:江戸時代のロビンソン・クルーソーが教えること――『無人島談話』

    9:自分のからだで試してみたら――人見必大『本朝食鑑』

    10:言葉以外に思いを伝える方法――井原西鶴『好色五人女』

    11:無知は純情を殺す――『恨の介』

    12:本気に対しては本気で――近松門左衛門『心中天網島』

    13:からだで伝える愛は、痛い――『誹風柳多留』

    14:精気を保ちつつ情を遂げる方法としてのスキンシップ――貝原益軒『養生訓』

    15:○○らしさを超えて生きる――曲亭馬琴『馬琴書翰集成』『兎園小説余録』

    16:江戸のシスターフッドたち――曲亭馬琴『傾城水滸伝』、小津久足『ぬさぶくろ日記』

    17:一度死んだら、生きかえってはいけない――浅井了意『伽婢子』

    18:作者の意図を超えたところに価値がある――向井去来『去来抄』

    19:「オリジナルはダサい」のが古典の世界だった――大田南畝『狂歌百人一首』

    20:新しい価値観を認めさせる方法――文化の雅俗観と外圧

    21:感動を伝える原理としての「もののあわれ」――本居宣長『紫文要領』

    22:他人の葬式を見に行って泣いていた人が、家族の危篤をネタにして笑うまで――江島其磧『世間娘気質』

    23:当たり前のことを言っただけで感心される方法――伴蒿蹊『近世畸人伝』

    24:使う言葉がその人の心となる――契沖

    25:面接の達人――坂田藤十郎、三世八文字自笑(編)『役者論語』

    26:備えあれば……より備えが欲しくなる!――井伊直弼と埋木舎

    27:騙される、裏切られることを含んで「信じる」――貝原益軒『東路記』、伴蒿蹊『近世畸人伝』

    28:「何かあったら俺が責任を取る」はどう作るか――三世並木五瓶「勧進帳」

    29:なくても困るし、あっても気になるもの――唐来参和『莫切自根金生木』

    30:死ぬまでは人生が続く――曲亭馬琴『南総里見八犬伝』

    あとがき

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著者プロフィール

1976年福岡県生まれ。九州大学大学院博士後期課程単位修得退学。博士(文学)。
有明工業高等専門学校准教授などを経て、現在、山口県立大学国際文化学部
教授。『大才子 小津久足』(中央公論新社、2023年)にて第45回サントリー学芸
賞(芸術・文学部門)受賞。著書に 『小津久足の文事』(ぺりかん社、2016年)、
『石水博物館所蔵 小津桂窓書簡集』(編著、和泉書院、2021年)など。

「2024年 『その悩み、古典が解決します。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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