メトロポリタン美術館と警備員の私 世界中の<美>が集まるこの場所で

  • 晶文社 (2024年7月25日発売)
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  • 本 ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794974372

作品紹介・あらすじ

全米+韓国で24万部突破!
知られざるメトロポリタン美術館の深奥に眠る秘密とは。ある男と美術館を巡る、静謐で感動的な物語。
ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ガーディアン、AP通信、激賞!
ニューヨーク公共図書館、ナショナル・パブリック・ラジオ、フィナンシャル・タイムズ紙、オーディブル、
サンデー・タイムズ紙(ロンドン)の年間最優秀書籍にセレクト!

秋田麻早子氏[『絵を見る技術』著者]、推薦!
「大好きな芸術作品と素直に向き合い、ただただ驚き、
惹きつけられることの喜びを思い出させてくれました。」

最愛の兄が26歳で亡くなったとき、彼が望んだのは「立ち去ること」だけだった。
彼はその通りに行動し、仕事を辞め、思いつく限りで最も美しい場所に避難する
ことにした。その場所は――ニューヨークのメトロポリタン美術館だった。

本書では著者が美術館の警備員として、同僚たちと共に最も偉大な美術作品たちを
静かに警備していたときのことを振り返り、知られざるメトロポリタン美術館の最
も深奥に眠る秘密について明らかにする。

はじめに

1:正面階段
2:窓
3:ピエタ
4:数百万年
5:異国の地
6:生身の人間
7:クロイスターズ美術館
8:番人
9:クーロス
10:ベテラン
11:未完
12:日々の仕事
13:持ち帰れるだけ

謝辞
参考文献
本文内に登場した芸術作品リスト

感想・レビュー・書評

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  • 大学を卒業後、雑誌「ニューヨーカー」に勤めていた著者は、兄のトムが自分の結婚式を予定していた日に病気が急変して亡くなってしまう。それを機に、著者は「ニューヨーカー」を退職しメトロポリタン美術館に警備員として勤務し始める。そこで出会う様々な警備員仲間、来館者、そして所蔵作品。結婚して5年、トムの死から5年後、2人の子どもに恵まれる。子育てを機に不規則な勤務時間の警備員を退職するまでに体験した事を綴る。

    作中に出てくる作品の細かいリストや、所々に掲載されている作品の模写スケッチも良かった。

  • パトリックの絵画への想いを読むたびに、自分がこの世界のほとんどを知らないということに気付かされる思いがした。メトロポリタン美術館の本物の芸術を前に、日々何時間も立っていることで見えてくるものを真摯に捉え、誠実に向き合うパトリックの姿はひとりの人間としてとても魅力的だ。芸術作品の見方、在り方、そして、人生。読む前と読んだ後では何かが変わっている気がします。なぜ芸術が素晴らしいのか、芸術作品を見ることの豊かさとは何なのかを、ここまで言葉にして教えてもらえたのは初めてかもしれません。世界の新しい見方をもたらしてくれた作者に感謝を述べたいです。また、この先の人生で繰り返し手に取り、その度に新たな何かをもたらしてくれるような深みのある一冊だと思います。

  • 某ビブリオバトルで、韓国人の方が紹介された本。全米+韓国で24万部突破、話題になっている本らしい。日本でも各新聞社が書評でとりあげたそうだが、恥ずかしながら私は知らなかった。紹介されたその日に、即Amazonでポチ。届いたその日に読了。感動で胸がいっぱいになった。まさに人との出会い、本との出会いに感謝のひとことに尽きる。
    美術館の警備員というお仕事に対するイメージがガラッと変わった。もちろん筆者の人柄や生き方そのものが反映されていることは確かだが、それでも芸術作品に対する考え方、仕事に向き合う姿勢、珠玉の言葉が煌めく、学びの宝庫だ。
    メトロポリタン美術館に行く機会はなくとも、次回美術館に足を運んだとき、作品を見る姿勢が変わることは間違いない。

  • 喪の作業とゆっくりとした回復とリハビリからの離陸と。割と最近の話なのだと気がついてちょっとびっくりした。

  • 「いつか行きたい場所」にメトロポリタン美術館が加わる本。
    メトロポリタン美術館の最高のガイドブックであり、ファンブックであり、ドキュメンタリーであり、そして何よりも喪失からのレジリエンスの記録だった。
    著者の芸術作品への敬意、仕事との向き合い方、仲間や家族への深い愛情が描写の中に優しい世界観を作り上げていて、読んでいてこちらまで癒される気がした。
    内省力と表現力のマリアージュがとても心地よい本だった。

  • 内容が面白いかどうかはさておき、美術館という場所は自分を見つめ直すきっかけになる場所だというところに共感した。

  • 尊敬する兄の死を悼みながら警備員の仕事についた人の物語。美術がどんな役割で、見る人の人生にどんな影響を与えるかを考察くだりがところどころあってそれがとても良い。
    展示品の解説もあり、博物館や美術館、世界史に興味がある人はそういう点でも楽しめそう。

    アメリカの美術館の警備員って日本の監視員と違うのかな。この人は趣味や専門知識、バックグラウンドにとても合ってて良さそう。

  • セントラルパークにあるメトロポリタン美術館に行ったのは随分前になる。警部員目線のこの本に出会っていれば見方、感じ方はまっこと違ったと思う。
    もう一度行ってみたくなった。

  • 盛期ルネサンス時代 木の床 大理石の床より足の疲れが少ない
    ビーテル ブリューゲル「穀物の収穫」
    ティツィアーノ ヴェチェッリオ「若い男の肖像画」
    ベルナルド ダッディ「キリスト架刑」
    「デンドゥール宮殿」800トンの砂岩
    「アスターコート」中国 明時代の学者の庭園  郭煕「樹色平遠図」1080年

    芸術作品への接し方  何もしてはいけない ただ見るだけ 目に吸収する機会
    200万点を所蔵 毎年700万人の来館者 半数が海外から 
    警備員300人 美術や警備の知識は不要 8時間立ちっぱなし 規定外勤務で給料2倍  

    フラ アンジェリコ「キリストの架刑」
    脚を動かす仕事  観光ガイドへ

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著者プロフィール

メトロポリタン美術館に警備員として10年間勤務していた。最初の著作である本書は、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ガーディアン、AP通信などの報道機関から賞賛され、ニューヨーク公共図書館、ナショナル・パブリック・ラジオ、フィナンシャル・タイムズ紙、オーディブル、サンデー・タイムズ紙(ロンドン)の年間最優秀書籍に選ばれている。サンデー・タイムズ紙は、本書を2023年度の優れたアートブックに選出した。
現在は、メトロポリタン美術館のツアーの案内人を務めるほか、全国の美術館やその他の会場で講演を行っている。

「2024年 『メトロポリタン美術館と警備員の私』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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