なぜ伝わらないのか、どうしたら伝わるのか―「双方向性」のコミュニケーションを求めて (発達障害を理解する)

著者 :
  • 大揚社
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本棚登録 : 20
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (162ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784795240834

感想・レビュー・書評

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  • 初めに断わっておくけれども
    現場で迷っている人にとって即戦力となる実践に支えられている本だと思う
    わかりやすい説明で参考になるとも思って読んだ

    しかしふと、鵜呑みにしてしまっている自分に気付きおかしいと思った
    全部がそうではないのだけれど結果を言い切っている部分が多い
    それが説得力を伴って読み手の思い込みにつながってしまったようだ
    コラム欄では様々な現実があることも伝えているのだけれど
    本文の結果に同調した後ではほとんど読み流してしまうだろう

    檻の外側の健常者側から見た都合のよい答えが
    並んでいるのではないかと言う疑いも起こってくる
    そうしてみると人類学者が一方的な価値観で観察をして出した論文が
    観察された本人たちから見れば陳腐でしかない答えだったりするのと
    似ているように思えても来る

    自閉症者は答えを一つしか持たないから嘘を付かないと
    言い切ってしまう所に無理があるように思える
    確かに多面的視野が得られていないと思える場合が多いいと
    思うけれども何と比較するかでしかないし
    社会を手玉に取る術に長けてしまった人もいる
    とっさの嘘や計画的な詐欺のうまい人や
    駆け引きや甘えの上手な人もいる
    場を読むことに長け上下関係にさとく
    それを盾にして肩で風を切る人もいる

    インドのカーストでエタ非人にあたる乞食をする人達には
    より乞食らしくするために産まれた子供の手や足を切ることがあるそうだ
    健常者と呼ばれる人々の決め付けや思い込みによる援助は
    自閉症のこだわりに似ていないだろうか?
    社会の権威に順応しきって依存している我々も
    自閉症者の本能性と似ていないだろうか?

    多勢に付いた者が本体に依存し
    はみ出した者が差別の憂き目にあう

    この状態を温存したままでパラダイスは創れないだろう
    一時しのぎを克服するには
    その目標に照準を合わせた上での目先の処理が必要になる
    処理から次の処理が実行されてしまうと
    枝道の袋に入り込んでしまうだろう

    2:110526
    この本には参考になる事例も少しはあるけれど
    基本的なスタンスがバラバラな経験の収集なので
    中心が揺れ動いていて矛盾だらけのように思う。

    キャッチボールのボールのように静的な「情報」と
    ボールをやり取りする事でお互いを理解していく
    動的な「コミュニケーション」の違いなどの説明は頷けるけれど
    意識の問題であるコミュニケーションを物的にとらえているので
    結局ボールとの違いが曖昧になっているように見える。

    自分を持つ事が大事だと言う一方で
    自分を殺してしまうだろう我慢する事や
    評価されるための行動が重要だとも言う。

    自分を大事にできるからこそその延長上の環境となる仲間も
    自分の一部として大事になると言うのが
    個意識と集合意識あるいは部分である自分と全体となる社会
    との関係だと思うし
    社会性もそこを基本にして謙虚でありたいと思う。

    自分の事に関する「決定」は権利の問題ではなく
    自分が自分に対して責任を持てるだけの心を養う事が大事なのだろう。
    しかしこの本ではまるで駆け引きのように
    ケースバイケースだと言っているようで
    先生が決めた授業にはいやでも出なければならないと言う。

    そこには肝心の何故嫌いなのか何故出なければいけないのかの
    双方の納得が必要だと言う事が欠けているように思う。

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著者プロフィール

言語聴覚士・精神保健福祉士。(社)発達協会王子クリニックリハビリテーション室、同協会常務理事。『『0歳~6歳 子どもの社会性の発達と保育の本』(学研プラス)など著書多数。

「2018年 『0歳~6歳 子どもの発達とレジリエンス保育の本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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