虚構の楽園 (現代アジアの女性作家秀作シリーズ)

  • 段々社
3.75
  • (1)
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 8
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784795265158

作品紹介・あらすじ

旧ソ連で働くベトナム女性ハンが、モスクワ行き列車の中で回想する故国での哀切の物語。ベトナム50年代の土地改革は、ハンの身内に深い傷あとをのこした。当時、改革隊長の母方の叔父は、父方一家を地主として糾弾。父、祖母、伯母は告発集会でいわれのない辱しめをうけた…。不運な家庭に生まれ育った少女ハンと、悲憤を糧に富を築く伯母、共産党幹部の叔父など、時代の波に巻きこまれ翻弄されていく親族間の葛藤と人生を描く。歴史的タブーとされた土地改革を正面から見すえ、生活感あふれるハノイ郊外、伝統風俗のベトナム農村、広大なロシアの情景などを巧みにまじえて綴る社会主義国ベトナムの問題小説。日本図書館協会選定。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 社会主義ベトナムの夢見た楽園は「虚構の楽園」だった。理想郷が奪っていく、「持つ者」が失っていく、静かな残酷な物語。


     理想郷の住人が人間である以上、理想は叶わない。そんな現実のお話。


     1950年代のベトナムの土地改革のひどさを描いた。

     この土地改革は毛沢東主義に基づくものだった。この頃はホーチミンは毛沢東と仲良かったので、中国共産党のように土地の公有と農民の集団化による生産量の増大を目指してみた。

     しかし、そこで発生するのが持つ者もたざる者の格差、それを無理に是正しようとするから起きる不公平な簒奪。平等を目指す過程で起きる不公平の物語。

     元地主の娘だったはずの主人公ハンは、持つものだったはずなのに、次々に失っていく。そこにあるドラマ。

  • 独立後の北ベトナムの生活状況、共産主義体制の矛盾、そしてベトナム人の生き方、価値観がよく分かる物語であった。

  • ベトナム革命とは何であったのかということが良く分かる小説である。ベトナム賛歌ばかりの評論が多いがそうではない、ということを書いたために党籍剥奪、逮捕拘禁を受けたという理由がわかる小説である。

全3件中 1 - 3件を表示

加藤栄の作品

虚構の楽園 (現代アジアの女性作家秀作シリーズ)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×