新装版 洗脳の楽園

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  • 情報センター出版局
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レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784795847828

作品紹介・あらすじ

ヤマギシ会という悲劇。 カルト・ドキュメンタリーの金字塔!人間はかくも壊れやすいのか!?対立や争いごとのない、金の要らない幸福な農村ーユートピア社会の実現をめざしたはずの共同体は、いかにして崩壊に至ったか。人間の脆さとノンフィクションの底力を証明した、色あせぬ大宅賞候補作!

感想・レビュー・書評

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  • わたし自身、ヤマギシ会のような農業コミューンに憧れるところがあっただけに、内部の実情には驚きました。特に村人の性の問題については…。予め知っていれば、入らない女性はたくさんいたのではないでしょうか…。洗脳により、善良な人々が多くのものを失ったことを思うと、やりきれない気持ちでいっぱいです。
    言うまでもない事ですが、うまい話には裏がありますし、どのような意味においても、人は他者からの支配を許してはいけないんだと改めて思いました。大変勉強になりました。

  • 船井幸雄はスピリチュアル系で鶴見俊輔は進歩的文化人(=左翼)の筆頭である。資本主義に嫌気が差すと誰もが自給自足コミュニティを思いつくことだろう。トルストイも実際に行った(トルストイ運動)。人が集まる事実を思えば何らかの魅力があるのは確かだろう。目新しいものを好む著名人が評価することも決して珍しくはない。
    http://sessendo.blogspot.jp/2017/08/blog-post_31.html

  • Thu, 13 Nov 2008

    物事を一面からしか見ないのは良くない.特に良い面だけを見せられて,
    それのみを信じるようなバランス感覚はよくない.
    ということで,まとまった外部視点の情報が欲しくてこんな本を買って読みました.(ヤマギシ関連,この人の本くらいしかなかったので・
    ・・).

    見事に,3週間前に訪問した際に,残った疑問が晴れていった.

    特に問題の多かった90年代の取材に基づくものだが,
    ・完全に平等な社会  >> 実は見えにくいが階層構造があり,役員会のような組織もある.
    ・子供が親からはなされて生活  >> 組織的な児童虐待の常態化,ヤマギシから脱走しようとする子供達.一日二食の習慣で飢餓,
    及びストレス等で身長が伸びないなどの事件があった.(現在進行形かどうかは不明)
    ・入会の条件「特講」とはなにか? >> マインドコントロール的な成分を持っている合宿.精神科医 斉藤環の分析に寄れば解離性同一性障害,
    離人症などを引き起こす仕組みがあり,無気力や全能感に支配され,恍惚を味わってしまうことがあるそうだ.
    ・無所有なら結婚(パートナーの所有)はどうなるの? >> やはり,結構,性関係は荒れてる時代が多かったらしい.

    など,
    新宗教(ヤマギシは宗教団体では無いのでどうカテゴライズするかは難しい)に多いように,この手の集団は盛衰が激しい.

    この本で主に話題になっているのは97年頃までのヤマギシなのだが,実際にはこの本がかかれた後,
    オウム後のカルトに対する世間の関心の高まりの中で,日弁連の勧告や広島弁護士会からの警告などで危険性が認知され,
    さらに税務署からも追徴課税をくらう(これは村の人も言ってた).衰退の一途を辿る.
    http://www.lcv.ne.jp/~shtakeda/library/page005.html
    http://www.lcv.ne.jp/~shtakeda/library/page016.html
    その後,拡大路線を内部クーデターの後70年代~90年代続け「ヤマギシの天皇」と呼ばれた杉本利治が死去. その後の裁判でも敗訴が続く.

    本書の新装版に際した筆者の後書きにもあったが,現在のヤマギシは当時のヤマギシからすれば,見る影もなく,相当軟化しているのだそうだ.

    とはいえ,90年代のカルトなヤマギシの成分が抜けきっているとは予想しがたく,本書で指摘されていた内容の多くは,
    組織構造からある程度必然的に出てきそうに思われるので,現在も残っている点もあるだろう.


    しかしながら,この著者自体がカルト系ジャーナリスト業界では,カナリ脚色をするこまった人という風評もあるようで,
    実際に情報提供したカルト被害者を怒らせたりとか,いろいろあるらしい.

    ヤマギシを考える全国ネットワーク(←被害者の会みたいなもん?)

    http://www.lcv.ne.jp/~shtakeda/library/page085.html

  • 洗脳の脳科学的解析が興味深かった。そんなに簡単にできるのかと思うが、教育学には「教えないこと(により生徒の自主性を伸ばす)」を信奉する勢力があり、似たようなテクニックを使っていると思われる。

  • 古い版を読んだ。

  • [こちら行きの片道切符]急激に組織を拡大させ、多くの有識者からも一目置かれる存在となった一方、数々の法廷訴訟や児童虐待などが報じられた組織「ヤマギシ会」。その組織に入れられた少年の絶望的な瞳を目にした著者は、いったい何がヤマギシ会で行われているのかを調べるため、7泊8日の日程で組まれる謎の活動「特講」に参加したのであるが......。著者は、本作においてヤマギシ会による「洗脳」の一端を暴ききったライターの米本和広。


    背筋がぞわっと寒くなりました。自らもヤマギシ会の活動に参加しながら確認を進めていっただけあり、米本氏の筆は大変具体的であり、説得力に満ち満ちています。特に、「特講」の知られざる内幕をあぶり出した箇所は、「洗脳」と呼ばれる事態がどのように進められていくかを示す例示としても非常に参考になるのではないでしょうか。初版からだいぶ時間が経過していますが、米本氏のヤマギシ会に対する指摘は、今から振り返ってみるからこそさらに的を射たものであったことがよくわかります。


    本書で再確認させてもらったのは、矢印が自分から他人だけにしか向いておらず、決してその逆の矢印を受け入れない閉じた世界のおそろしさ。さらにはその中で純粋培養的に育てられていく観念がいかに危険なものになるかという点もしっかり指摘されており、集団と思考の関係を考える上でもオススメです。

    〜ほんとうはどうか<検べて>みようか〜

    それにしても、米本氏はよくあの「特講」に耐えられたな......☆5つ

  • 農業を軸としたカルト集団とも呼べるヤマギシ会の内部に潜入したルポルタージュ。所有を排し集団の一体性を強調するユートピアを構築しようとした彼らが会員になる際に必ず通過する7泊8日の特別講習研鑽会の潜入を通じて、いかにヤマギシ会の理念に人が洗脳されるかを、内部の克明なルポと精神科医の齋藤環による分析で明らかにする。加えて、ヤマギシ会の会員の子供が送り込まれる施設での児童虐待により、如何に多くの子供たちの将来が破壊されたかなど、迫真の内容。

    ヤマギシ会では、「~しなさい」ではなく、主体の自発的な意思に基づく「~します」という表現が目立つとのことだが、このことからも、いかに独立した自我を持つ1人の人間が自我の放棄にいたり、命令を自発的な意思によるものと混同していくのかというプロセスに恐ろしくなる。つまるところ、そうした態度は自らの頭で思考することを究極的には放棄していることに他ならない。「~します」とは、命令をソフトな表現に変えただけで、その意味するところは同じだからだ。ヤマギシ会は理念がソフトになり未だ健在だが、ヤマギシ会がなくなってもカルトの存在は思考するという人間の業から逃れたいという人がいる限り消えることはないのかもしれない、そんなことを感じた一冊。

  • 洗脳とは恐ろしいものだ。
    そして、どうしてこういうことが日本で起こるのか。そういう議論は社会学者に任せるとしても、どうも日本全体が歪んでいるのではないのかな。

  • 洗脳を甘く見てはいけない。
    自分は大丈夫と思わない。
    近づいてはいけない。

  • 本当にこういう団体があるのだとしたらすごいことだなと思った。

    なかなかすぐには整理し切れない。

    特講はそれほどまでに強烈な体験なのだろう。

    しかし、結果として人の痛みに気づかなくなってしまうというのは怖いことである。

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