熱砂と月のマジュヌーン (GUSH NOVELS)

著者 :
  • 海王社
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本棚登録 : 316
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796404914

作品紹介・あらすじ

絶え間なく雄に穿たれ、心とは裏腹に快感に噎び悦ぶ体。この爛れた淫獄から逃れられるのはいつの日か-。石油王だった父親が倒産と同時に失踪し、寄る辺のないファウジはその美貌に目をつけられ、奴隷オークションにかけられてしまう。あられもなく恥部を晒され屈辱に震えるファウジを高値で買い取ったのは、見ず知らずの男。彼の紳士的な態度に安堵するが、連れられた館で待っていたのは耐え難い恥辱の日々だった。枷をつけられ服は与えられず、夜には淫らな狂宴で男達の性の玩具となり…!?

感想・レビュー・書評

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  • 木原さん渾身のアラブ物。同人ならではのあり得ない嗜虐の数々がラスト数ページで純愛に変わる奇跡。実は同人で読んで暫くそのままになっていて中々食指が伸びなかった一冊。
    美貌の割に性格が破綻している受ファウジと人を愛する感情が欠落した元奴隷で受の世話係ハッサン。二人の感情の行き違いがシリアスながら時々クスっと笑わせる描写が満載なので、数々の非人道的な仕打ちに打ちのめされながらもすらすらと読めました。映画「オールドボーイ」を思わせる二部のラストには驚愕。ラブレスな展開ながらハッサンの気持ちが分かり一筋の光が見えはしても、相変わらずラストぎりぎりまでの落としぶりと結末の読めない展開はさすが。そして奇跡の結末に全てが救われました。
    あの小憎らしいファウジが可愛いくていじらしく思えてしまう。まさに恋愛の不条理さを描かせたら木原さんの右に出る者はいない、共感出来なくても読み進めるうちにいつの間にかその恋愛にリアリティを持たせてしまう。本当に凄いとしか言いようが無い。
    書き下ろし小冊子でその後の二人に安堵しました。苦い珈琲に少しだけ溶かされた甘い砂糖のようで…ホッとしました。最後に笠井あゆみさんの挿絵が言わずもがな素晴らしい!陵辱されながらもプライドの高いファウジは神々しいまでに美しく、ハッサンは優男でなくストイックに坊主ですね!木原さんのご所望らしいですがさすがとしか言いようがありません。堪能致しました。

  • 相変わらず痛いです・・・でも全ては受け子のせい・・・神様は酷な運命を彼に与えました。切ないです!!

  • 木原先生のアラブもの。地雷に なりそうなネタてんこもりでし た( ・_・;)木原先生…容赦ない ~!!!どこまで読んでも甘さ がなくて、ファウジの性格にか なり難ありだから感情移入せず に俯瞰して読めたものの、感情 移入しちゃったら逆に辛そうで す。とにかく肌色多しですが、 禁忌のバリエーションが多く て、なんというか、見てはいけ ないものを見た気分。でも一気 読み(^^;) このお話の場合、初回 封入の小冊子のお話があって本 当に良かったです。切実に甘い ものに餓えてしまっていたの で、ホッとしました~。

  • 商業誌で出たことに驚きました。書き下ろしで衝撃的な完結編が入っています。薄い本の「冷血」では愛のないドン引き話だったはずなのに、まさかこんなに心を激しく揺さぶられてしまうなんて思いませんでした。

    鬼畜なアラブもの。センセの描くアラブは、そんじょそこらのアラブものとは一線を画す非道さで、まったくのラブレスでロマンスもなしです。
    とにかく鬼畜エロのみ。
    笠井あゆみセンセのイラストが美麗でエロい。なんとハッサンとアントンが坊主!このビジュアルが、エロスMAXです。
    石油王だった父親が事業に失敗して失踪してしまったファウジは、騙され奴隷オークションでラージンという謎の大富豪に落札されててしまいます。
    ファウジは超がつく美形なのですが、残念なまでに性格が悪い青年です。
    ちょっと「 FRAGILE 」の大河内を彷彿とさせます。
    高慢ちきで、ワガママで、悪態ばかりついて、感謝の気持ちをひとかけらも持ちあわせていないので、同情の余地がありません。
    痛い目に合ってしまえ!とどす黒い気持ちにさせられます。
    そして、その通りにものすごく残酷で地獄のような性の饗宴に引きずり出され、悲惨な目に遭うのです。

    Hは何でもありの変態エロがてんこ盛りで、輪○なんかは序の口。獣○では駱駝、駝鳥、蛇まで登場…父子○もあります…
    なので、これが地雷ならばもう嫌気がさしてしまうかもですが、ここでぐっと堪えるか読み飛ばすかしてでも、ぜひ最後まで読んで物語の真意を見極めて欲しいと思います。

    なぜ、ファウジはこんな地獄の責苦を受けなければいけないのか?ラージンの目的は何なのか、すごく気になるところです。ラージンは、自分自身は絶対に手を出しません。ファウジを犯すことを部下のハッサンやアントンに命令したり、他の変態富豪に与えたり、血も涙もありません。
    「1985回分、その身で罪を贖え」という言葉に、全ての理由があるのです。
    いや、計算しちゃいますよ。1日に10回以上して中6日週一としても…
    ハッサンは、冷静にカウントしていました。
    それ以前に、下半身が丈夫だというのが前提ですね。
    ファウジが直截に罪を犯したわけではないのに、その人並みはずれた根性の悪さが自ら事態を最悪な方向へと導いてるんです。

    そんな目に遭っても、何の反省もしていないファウジがただひとつ心の拠り所としていたのが、「ハッサンに愛されている」という思い込み。
    愚かだと笑い飛ばせないものがありました。
    ハッサンは、奴隷としてイワフから酷い扱いを受けた過去から、愛する心が麻痺している男です。ファウジを愛していると言ったのは、ラージンから命令されただけのことだったのですが。

    完結編では、ボロ泣きしてしまいました。
    どんな目に遭っても高慢で自分のことしか考えていなくて、そのせいでますます窮地に追い込まれる愚かなファウジが、哀れで愛しくて胸が痛くなります。
    もっと、上手く立ち回って本音を隠して可愛くふるまえばいいのにと、ハッサンを好きだともっと素直になればいいのにと、ほっとけない気持ちに。
    そして、きっとハッサンもむしょうにほっとけない気持ちになったのでしょう。
    愛の力はすごい。ミラクルです。
    ハラハラさせられましたが、ハッサンが間違えなくてしっかりつかまえてくれて、ほんとに安堵しました。ラストは、二人のことが愛しく思えて仕方ありませんでした。

    初回限定の小冊子では、その後ロンドンでの二人らしいラブラブに、なんだか妙に萌えまくりました。
    センセのドS加減に振り回され、その後のご褒美の飴、みたいな。
    小冊子で気がつきました。ラージンとアントンてのはアリでしょうか???

  • 初めての木原先生作品でした。結構bl小説を読んできて色々なジャンル、シチュに耐性がある方だと思っていましたが本作はかなりトラウマです。

  • エロというよりグロとか虐待みたいで読んでて心臓が縮こまってました。もう読み返すことはないと読んだことを後悔するくらい辛かった。
    なのにⅢ章は、ハッサンの気持ちとか行動とかどうだったっけ?と、読み返してしまってました。
    やっぱり読んでよかったと思ってしまう。
    最後のひと匙しかしあわせがないのに。
    紅茶に1滴レモン汁いれたらふわぁと色が変わったそんな感覚

    最後のほうのハッサンが迎えにきたところや
    月明かりの下のファウジを蝶や精霊に例える描写の妖しい美しさ
    やはりこの作品に出会えてよかった、これまでの辛さはこのシーンのためにこんな気持ちになるためにあったんだと思えてそのあたりだけは何度も読み返してました。

    同人誌や小冊子でのその後の話しが読めてよかった。ハッサンがかいがいしくファウジを大事にしてる様子がうかがい知れ、文明的で穏やかに幸せに暮らしてる様子に救われました。飼い猫に本気で口げんか売ったり目も完全に回復してないながらも懸命に料理したり、素直におまえのために作ったと言えないファウジを理解しかわいくて仕方ない感じに優しく包み込むハッサン。猫飼ってるけどファウジ自身も猫みたいできゅんとします。ラージンとアントンも幸せになりそうで…ここまで読んでようやくみんな愛のある穏やかな生活ができてるのかとうるうるほっこり。

  • 初アラブ。
    木原先生だし、と覚悟して読み始めたものの、濃厚で痛々しいエロスを食べきれないうちからどんどん口のなかに詰め込まれ続ける胸苦しさに、しんどさしか感じられなかった。
    それでも否応なしにエンドまで読み進まされる筆力はいつものごとくで、さすが木原先生。

    でも、もう食べられない。むり。おなかいっぱい。

  • 木原音瀬さんの作品は大好きですが、これはあまりピンとこなかったです。ファンタジーものだからいいんでしょうけど、過激過ぎかな…

  • ダチョウ姦は場末の娼婦になってからの話だが高級娼館でもないのに調達できるもん?ダチョウ姦やりたかったんだろうけど金持ちの奴隷時代にやった方が自然では。一般人が見て興奮できるプレイでもないし クズを痛めつけるのは好きだけど異常なプレイをされてるのにクスリ打つまでもなく感じまくりってのが非現実的すぎてエログロシーンは萌えなかった。あとファウジがそこまでクズとも思えなかった…ハッサンは今までの被害者達に謝ってくれたら減刑も考えるのにファウジは悲劇の自分に酔ってるばかりと責めるが笑ってみてたとはいえ自分が直接手を下した訳でもないのに父そっちのけでこんな目にあったらそら俺可哀想で頭いっぱいでしょ ラージンの心境の変化やハッサンが愛してると言ったのは最初嘘だったと知ったときのファウジや捕らえられてからのファウジの父(近親相姦させた後素面の場で自分を捨てた父と息子の感動のご対面!とかもラージンやりそうなのになかったよね)、については無駄なエロ省いて書いてほしかった

  • 「FRAGILE」に近いなにかを感じただけに惜しい……。二人が惹かれ合う過程がもう少し描写されていれば好きな話だったと思う。一、二章がプレイ描写まみれでお腹いっぱい。三章でファウジの本音がわかって初めて萌えた感じで、読み手が求めている部分が足りていない感は否めない。今の状態だとなぜハッサンがファウジに惚れたのかがよく分からんのです。ハッサンもハッサンで人として欠落している部分がありそうな設定だし納得できなくはないんですがそこを脳内補完するのは違う気が……。
    凄惨なプレイと飛び交う罵詈雑言を見ているとやっぱり復讐って虚しいなあと再認識しました。そしたらラージンが復讐やーめたと途中でほっぽったのがもうね……やっぱり滑稽だし虚しいんだなあというのが伝わる顛末です。

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著者プロフィール

高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』『罪の名前』など多数。

「2022年 『コゴロシムラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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