- 本 ・本 (460ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796616836
感想・レビュー・書評
-
仕事上の必要からハービー・ハンコックのことをあれこれ調べているのだが、意外なことに、ハービーの自伝や評伝は出ていない。盟友ウエイン・ショーターの評伝『フットプリンツ』は邦訳されているのに……。
わずかに、「ジャズ批評ブックス」の『定本ハービー・ハンコック』の中にバイオグラフィーの章がある程度。
なので、マイルスの自叙伝の中のハービーについての記述を拾い読みしようと考えたしだい。
ところが、読み始めたらすごく面白くて、けっきょく全部読んでしまった。
私はマイルスについてはくわしくもないし思い入れもないのだが、それでも音楽好きなら楽しめる本だ。全編語り口調の聞き書き形式なので、すこぶる読みやすく、厚い本なのにあっという間に読める。
マイルスの、黒人であることへの強烈なこだわりと、誇り高さに圧倒される。
誇り高さは傲慢さと紙一重なわけだが、マイルスの場合は傲慢なのではなく、音楽そのもの、芸術そのものに対する深い畏敬の念があって、「音楽を軽んずる奴はけっして許さない」という意味合いの誇り高さなのである。
ジミヘンやプリンスなど、自分より若い、ジャンルの異なるアーティストに対しても高い評価を与えていて、つねに自分の音楽を革新しつづけたマイルスらしくて好ましい。
逆にウィントン・マルサリスに対してはかなりの紙数を割いて批判しているのだが、人格攻撃という印象ではなく、音楽に対する姿勢が決定的に相容れなかったのだとわかる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マイルス・デイビスが現代JAZZに至る流れを主導して来た事がわかる。ルイアームストロングから始まるJAZZの系譜の中で、ビパップの申し子であるチャーリーパーカー、ディジーガレスピ-に引き立てられ、それから「クールの誕生」を皮切りに次々とJAZZの新しいスタイルを創造して来た。JAZZの基本に揺るがないものがあったからこそ、その様な「進化」を生み出す事が出来た。そして貪欲に「才能」を探し求めた。決して孤高のJAZZミュージシャンではなく、むしろ「教育者」の側面も持つ。芸術や科学のあらゆる分野で不可欠な「イノベーター」としてのマイルスが自らを語った、JAZZそのものを理解するためにも最適の自叙伝。
-
エレクトリックマイルス期の様々な発言は身になる。革新性のない音楽は音楽でないとか。しかし家庭を顧みないで音楽ばかりやっている割にいろんな女と寝ているあたりストイックなんだかよくわからない。周りのジャズマン達がどんどん亡くなっていくがそれにとらわれない前を向いた生き方、ラストの一言は本当かっこいい。上下巻合わせて15年上半期一位。
-
“原液”のような語り口。その自己愛に癒されます。ほんのついさっき考えついたことも彼にとってはもう古くて、ありえないスピードで最高地点に行ってしまう。
-
ロン・トニー・ハービー・ウェインのあたりは本当におもしろいし、参考になる。
私が一番ジャズと思うのはあの辺りの創造性ある演奏。 -
上巻よりも抽象的な話が占める割合が多くなり、あまり理解できなかったから退屈さを感じた。
-
やたらめったら面白い!!
セックスの話、ドラッグの話。ジャズ界のキングは俗世にまみれたとびきりの「困ったちゃん」だった!!w 自らの半生を飾らずあくまで素直に語りきった当代随一の自伝だろう。なんと正直な告白の数々!燦然と輝く名盤に参加した多様なジャズメンたち、その変遷も詳しく分かる。ただ、音楽的な挿話よりも俗っぽい彼の「暮らしっぷり」が常軌を逸していてそれがとにかく面白くて面白くて…w ジャズに詳しくなくても、必見の一冊なのである!! -
2-2 音楽論
-
上・下読破。
JAZZに疎い僕でも読みんな進めることができた。
マイルスのあまりにも壮絶な人生。
知識に裏打ちされたジャズへの想い。
クスリにのめり込んだが最後には絶つことができた精神力。
人種差別への憤り。
それでもビートを刻むことへの愛情。
面白かった。