一分間だけ

著者 :
  • 宝島社
3.87
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本棚登録 : 341
レビュー : 83
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796657747

感想・レビュー・書評

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  • 雑誌の編集者である藍とその同居人の浩介が、
    ゴールデンレトリバーのリラを譲り受け一緒に生活するようになった。
    結果、藍の生活は大きく変化しする。
    都心から郊外へ引っ越したため、仕事に打ち込みたい藍は時間に追われるようになり
    順調に見えた日々のくらしにもしわ寄せが・・・。


    とにかく、切ない。
    藍と浩介との間の溝が深まっていくのを、ただ傍観する。
    藍はいい仕事をするのが生きがいであり、自分の価値をそこに見出している。
    仕事に打ち込む気配のない浩介のことをふがいなく思ってしまう。
    最初は愛おしく、癒しとなっていたリラに自分の生活を縛られているようで、
    疎ましく感じるようにもなる。


    苦しい。息が詰まるようだ。
    胃がぎゅーっと痛くなる。
    もっとも大切な、感謝すべきかけがえのない人なのに、
    甘えが出て、自己中心的なふるまいをしてしまう。
    思いやりに欠ける言葉で傷つける。
    ここまでは許してくれると線引きを曖昧にする。

    極めつけは、無償の愛を与えてくれる人(や動物)に対して、
    気まぐれで愛したり、拒絶したり。
    どこまでもいつまでも愛し続けてくれると勘違いしている。


    過ごしてきた人生の中には、大なり小なり悔やまれることもあるでしょう。
    だから古傷が痛みだし、しばらくの間忘れていたことも確かにそこにあったと気づかされる。
    決してセンチメンタルな思い出にはなっていない、生傷のような痛み。
    決して、違う結末に書き換えることはできない。


    人と人が生活をしていれば、楽しいことばかりでなく、摩擦を生むこともしばしば。
    弱っているとき、自分を見失って、取り返しのつかないこともしてしまうことだってある。
    けれど、いつか多少なりとも成長して、思い出も一緒に歩いていけると、
    背中をそっと支えてくれる一冊です。

  • もう読む前から泣いちゃうの分かってるんだけど、やっぱり泣けてしまった。冒頭からすでにウルウルきてるし、途中からは涙涙・・・。
    動物ものってずるいんとは思うけれど、もう理屈抜きなんだよな~。

    私の友人が去年我が子同然に可愛がっていたゴールデンンを癌で亡くした事もあり、彼女の思いと重なって余計に切なくなってしまった。

    リラの飼い主の藍に対しては、おいおいそんなことしちゃダメだろって思ったり、プラダを着た悪魔のメリル・ストリープみたいな上司の弱みが実はそこかよって都合良すぎるしなんて感じたり。
    それでもやっぱりもうリラの描写を読むとどうしたって涙が出てきてしまう。

    幼いころからペットは常にいたけれど犬は一度しか飼ったことがない。
    私自身は大型犬にあこがれがあるけれどやはり世話を考えるとそう簡単には飼う決断がつかないのが本音。
    いつかは飼えるときが来るのだろうか。
    とりあえずは我が家にいるのは猫二匹。自分の責任において飼い始めた初めてのペットだ。
    この子たちの最期、自分はそばにいてあげられるのだろうか。
    私を待っていてくれるのだろうか・・・。
    あー、考えるだけでやばい。

    ペットを飼ってる人にはぜひ読んでほしい本だけど、飼い犬を亡くしたばかりの友人にはまだこの本は勧められないかな。
    そのくらい気持ちの伝わってくる本だ。

    • マリモさん
      vilureefさん

      初めまして、フォローありがとうございます。

      私もこの本、反則!と思いつつ、途中からはリラの健気さにやられ、だーだー...
      vilureefさん

      初めまして、フォローありがとうございます。

      私もこの本、反則!と思いつつ、途中からはリラの健気さにやられ、だーだー泣きながら読みました。本当に理屈ぬきです。
      藍は勝手なところあるけれど、でもその身勝手さがとてもわかってしまうんですよね。。
      自分にとってリラは生活の100%ではないけれど、リラにとって自分は100%の存在で、そのずれから嫌になったり面倒になったり。
      私は犬がほしい~とずっと思っていたのですが、この本読んでから短絡的だったなと反省し、今はちょっと保留中です^^;

      ではでは、今後ともどうぞよろしくお願いします。
      2013/02/25
    • vilureefさん
      マリモさん

      はじめまして!
      ごあいさつ遅れてしまって申し訳ありません。

      私は猫派なんですが、人間のような豊かな表情は犬ならではですよね。...
      マリモさん

      はじめまして!
      ごあいさつ遅れてしまって申し訳ありません。

      私は猫派なんですが、人間のような豊かな表情は犬ならではですよね。リラが振り返りつつ散歩する姿とか、切ない表情とか。
      特にレトリバーって人間みたいですよね。
      この犬を受け入れるためには自分も成長する必要がありますかね・・・(^_^;)

      こちらこそよろしくお願いします。
      2013/02/25
  • 泣いた。久しぶりに本を読んで涙を流した。

    この世に小説というものが生まれてから、幾度となくテーマとなってきただろう、至極平凡なストーリー。
    そんなありきたりな内容にグッとくるときもある。

    読んでいる最中、ずっと「果たして自分はどうなんだろう???」とそんな想いを抱きながら読み進めた。
    (大切なものを)疎かにしていないか?!軽んじていないか?!当たり前と思っていないか?!
    自分の立場に置き換え、そして考える。

    すごく大切なものなのに、それが当たり前のように傍らにあると、ついつい蔑ろにしがち。
    何気ない存在がとてもありがたいはずなのに、それにさえ盲目となり、自分の傍若無人ぶりばかりが肥大する。
    自然体でいれば気が付く些細なことさえ何ごともなかったようにスルリと両手からこぼれ落ちる。

    失ってからでは遅い。
    一緒に歩く、立ち止まってみる、ときには振り返ってみる。
    そうして、どんなに大切なものなのか、きっとあらためて気付くはず。

    話はそれるけれど、結局のところ、自分の人生(恋愛)を退屈でつまらないものにするか、しないかは自分次第なんだと思う。
    平凡と思っているものの中に、実はたくさんの非日常が溢れ、新発見が埋もれている。
    そこに気が付くのか、気が付かないままなのか・・・

    ねえ、いっしょにあるいてる?

  • 明日も明後日も、当たり前のように一緒に過ごせるから、「今この時間を大事にしよう」なんて考えた事がなかった。

    あと1時間だけあったら色々してあげられるけど、あと1分間だけなら何をしてあげられる?

    涙なしではとても読めない…。
    どっぷりはまってしまいました。

  • あぁー、最初からこうなることは分かっていたんだけどな。。。
    ぽろぽろぽろぽろ涙が止まらなかった。
    鼻も何回かんだか分からない。

    明日には保健所で殺処分されてしまうという犬-
    リラを引き取った藍。
    仕事と、リラとの生活を両立させようと奮闘するものの
    同居人との別れやリラの発病で苦しむ。
    それでもリラの最期をちゃんと看取りたいと頑張る藍と
    リラの愛らしさに終始落涙。

    この話は家族(ペット)を看取ったことがある人には
    かなりキツイ。
    わたしはちょうど1年前に愛猫を喪ったので
    そのときの記憶がぶわーっと、涙もぶわーっと出て参った。
    今膝に乗っている愛猫には長生きして欲しいなと思う。

    原田さんの作品はサラッと読めるけど
    グッとくるものが多くて、しばらくハマりそう。

    • 円軌道の外さん

      遅くなりましたが
      フォロー&お気に入りポチ
      ありがとうございました(^O^)

      兵庫県に住む、
      猫と映画とロックと活字中毒な...

      遅くなりましたが
      フォロー&お気に入りポチ
      ありがとうございました(^O^)

      兵庫県に住む、
      猫と映画とロックと活字中毒な
      プロボクサーです。


      原田さんの書いたモノは
      残念ながら
      まだ未読ですが、

      自分もやんちゃ坊主な黒猫と暮らしているので
      メルさんのレビューだけで
      グッときてしまいました(>_<)


      借りたい本リストに書いて
      今度チェックしてみたいと思います!


      これから何かと
      レビュー等参考にさせてもらいますんで、
      よろしくお願いします(^_^)


      コメント頂ければ
      必ずお返しに伺います☆


      2012/12/22
    • メルさん
      こちらこそ
      フォローありがとうございます(*^▽^)ノ

      ”猫と映画とロックと活字中毒”
      って、全部かぶってます(笑)

      ボクシ...
      こちらこそ
      フォローありがとうございます(*^▽^)ノ

      ”猫と映画とロックと活字中毒”
      って、全部かぶってます(笑)

      ボクシングは百田尚樹さんの「BOX!」を
      読んだくらいで詳しくないのですが(^^;

      原田さんは、コレで3冊目ですが
      読みやすくて胸にじわーっときます。
      (わたしの涙腺がユルイせいもありますが...)

      円軌道の外さんのレビュー
      何件か拝見しましたが
      どれもすごく丁寧に書かれていて
      ビックリ!!
      読んでみたいなーと思ったものを
      (レビューみちゃうと全部読みたくなる)
      何冊か図書館で予約しました!
      読んだらコメントに伺おうかと思っています♪

      ちなみに私は東京で
      膝に乗っているのはロシアンブルーの女の子。
      (メルは昨年亡くなった愛猫なんです(;_;))

      これからもよろしくです♪

      2012/12/22
  • ラストは予想できるけど…それでもぐっときました。

    今、自分の中で原田マハブームがきているので、他の作品も読みます!

  • キネマの神様。ナンバーナイン。カフーを待ちわびて。
    原田マハさんの作品はこれまで少ししか読んでいないけど、この作品が一番私は好き。
    厳しい上司の思いがけない優しさや、元気にひたむきに寄り添ってくれる後輩の気配りや、出会って間もないのにとにかく親身になってくれるタクシー運転手のおじちゃんのあったかさ。
    元、になってしまうが恋人の誠実でまっすぐなところ。
    褒めてもらうのが大好きで、主人公とずっと一緒にいたくて、粗相をしてしまい怖くて隠れてしまう。道端の色んなものに興味津々な、リラ。
    飼い主と動物の関係は言うまでもないけれど、この作品は他にも大事なことを沢山描いている。
    時に主人公は間違えてしまう。
    その様子はあまり見たくない醜さだけれど、間違いに気づいて克服しようとする姿はとにかく力強い。
    動物を飼っている人、飼っていた人。飼っていない人。飼いたいけど飼えない人。
    どんなスタンスの人でも、まずは読んでみてほしいなあと思う、素敵な物語。

  • 愛犬をみとる話で、号泣でした。
    仕事と恋愛とペットを飼うということの両立の難しさを痛感させられました。
    優先順位をどうしてもつけなければならない場合、やはり命あるものが第一優先であるべきと分かってはいても、そうできない現実が切なかったです。
    仕事とペットを優先させたければさせたいほど、それをサポートしてくれる人物には感謝の気持ちを持たなくてはいけなかったんだと感じました。
    後でそのことに気がついたってとこが切なかった(T_T)

    犬や猫など、寿命の長い生き物を飼うときは、最後まで責任を持って飼えるか、よーーーーく考えてから飼わないといけませんね。
    トイレのしつけとかも、後々のことも考えてしないといけないんだなぁ。

    あと、タクシー運転手の心遣いにグッときました。

  • 亡くなった愛猫を思いながらメッチャ泣きながら読了。

  • 犬を飼っている人は、被るのではないだろか。涙涙で感動しました。トイレは躾させないと、犬が可哀想。

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著者プロフィール

原田マハ(はらだ まは)
1962年東京都生まれ。小6から高校卒業まで岡山で育つ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部美術史学専修卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事株式会社、森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館での勤務を経て、2002年よりフリーのキュレーターとなる。2005年小説化デビュー作の『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞。2012年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞、『キネマの神様』で第8回酒飲み書店員大賞をそれぞれ受賞。2013年には『ジヴェルニーの食卓』で第149回直木賞候補、2016年『暗幕のゲルニカ』で第155回直木賞候補となる。2017年『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞受賞。2019年『美しき愚かものたちのタブロー』で第161回直木賞候補に。

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