果てしなき渇き (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
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レビュー : 346
  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796658393

作品紹介・あらすじ

部屋に麻薬のカケラを残し失踪した加奈子。その行方を追う、元刑事で父親の藤島。一方、三年前。級友から酷いイジメにあっていた尚人は助けてくれた加奈子に恋をするようになったが…。現在と過去の物語が交錯し、少しずつ浮かび上がる加奈子の輪郭。探るほどに深くなる彼女の謎。そして用意された驚愕の結末とは。全選考委員が圧倒された第3回『このミス』大賞受賞作品。読む者の心を震わせる、暗き情念の問題作。

感想・レビュー・書評

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  • コンビニで起きた3人の強盗殺害事件の発見者となったのは不祥事で警察をクビになった元不良刑事、藤島。その一方で彼は離婚した妻より娘の捜索を依頼される。

    調べが進むに連れて、明らかになる娘の裏の顔。それに応えるように藤島も裏世界にどっぷり浸かっていく。職を捨て、元の同僚を欺き、銃を手に入れ、麻薬にまでのめり込む。

    ミステリー作品というよりは、救いようのない悪人が堕ちていく様を描いたピカレスク小説。登場する人間全てに救いはなく、読んでいて鬱になる。現代で太宰治がミステリーを書けば、こんなカンジか。

  • 子どもの虐待、暴行が加わるだけで胸糞悪い小説になることは絶対的。タブーな作品であることは間違いないが、だからこそページを捲る手が止まらない。物語の推進力は爆発的で、系統としては我孫子武丸の作品に近似かな?主人公の藤島が狂気の沙汰にあり、退廃的かつ暴力的で自己中心的な全く共感を寄せられないという点でユニーク。手で顔を覆いながらも、指の隙間からチラッと覗き観たくなるような、怖いもの見たさという人間の心理をついているなあ。

  • まぁまぁかな

  • 文章はそこまで酷評されるほど悪くないが、作者名を伏せて「これ誰が書いたと思う?」と聞かれたら馳星周と答えていた。

    グルーヴ感あふれる文体、交互に挿入される現在パートと回想パートなど意欲的な企みは面白い。だが主人公の元刑事には共感できない。はっきり言ってクズである。外道である。極め付けのゲスである。
    最後まで読めばこの意味がおわかり頂けると思うが、全ての元凶は主人公。なのに責任転嫁して「娘を狂わせた奴を殺す」というお題目を掲げて周囲を巻きこみ暴走を続けるのだから共感も同情もしようがない。ここまでクズを極めると逆に痛快、その吹っ切れた様が清々しくもある。
    主人公が「娘を愛していた」と繰り返す割に肝心の父性愛が空疎で真に迫らないのも難点。
    作者が意図した演出なのだろうが、娘を女、それも悪女と紙一重の聖女と崇め奉り劣情しているようで違和感を覚えた。
    論点は現在の加奈子がいかに悪辣なモンスターであるかという事に終始し、父親ならば当然持ち得るはずの娘の幼少時の回想や二人の特別な思い出などは最初から存在しなかったのように一切排されている。その極端な偏りに内在する歪みが、ますますもって藤島を「父性」で括られる愛情表現の範囲から逸脱させている。
    狂乱に塗れた藤島の姿は娘の無事を祈る父親というより、けして振り向いてくれない女を求め続ける、憐れをも誘う惨めで滑稽な男の醜態に酷似している。

    加奈子の人物造形は秀逸。存在感は際立っていたと思う。
    残虐なシーンも多いので読む人は選ぶだろうが、馳星周の世界観が好きな読者はハマるかもしれない。

  • 娘をおいかけて、おいかけて、独りで堕ちていく話。いや、最初から狂ってた?ラストシーンが脳裏にイメージがくっきり浮かび上がるほど強烈で忘れられない。主人公の男(父親とは表現したくない)の「渇き」は、娘や妻をのみこんでも、治まらないのだろう。

  • 読了後の後味は最悪。
    なのに不思議と最後まで読んでしまう。

    他の方のレビューを拝見しても上記のようなことがたくさん書いてありました。

    私もまったく同じ感想を抱きました・・・。

    これを「面白い」の一言で片づけてよいのかはわからないけど「面白い」としか言えない。

    人に勧めることは難しいかな・・・笑


    登場人物の中に誰一人としていわゆる「いい人」がいなかった。
    全員どこかおかしくて狂ってる感じ。

    普通なら共感も同情もできなくて、読み進めるのが苦痛でしかないと思うけどこの作品は違いました。

    加奈子の正体を追ううちに、ボーイフレンドの自殺・売春組織・汚い大人たち色々なものを見せられてどんどん気持ちは沈んでいくのにそれとは反対に高揚している自分がいて驚きました・・・。

    こんな報われない話を最後まで読ませてしまう文才は半端ではないですね・・・!

    しかもデビュー作・・・笑

  • 読了。疲れるw

    先に映画を観ていたので、流れはもう分かっていましたが、読み終えて なるほど、この原作にしてあの映画化作あり、か と率直に思えます。
    そうしてみると、映画版は、映像で強烈な印象を与えられるだけに、主人公の元刑事の暴走っぷりに特化した感じでした。対して原作は、2つのエピソードを柱に、ハードボイルドタッチから、物語が進行していくうちに人間の醜悪な本性を剥き出しにさせ、暗黒面を炙り出すエグい描写の連続へと移行し、焦燥感と緊迫感が全編に漲るよう。
    メジャーデビュー作で「このミス」大賞を受賞したのもうなずけるインパクト。早く読んでおけばよかったw

  • 年明け一発目。
    過激な内容ですが、ストーリー自体は面白いです。
    私自身はあまり主人公に感情移入とかがあまりないので、
    父親のクソ加減もさほど気にならず。
    真実を知ってしまってからやけになってしまうのならまだ読者も納得できたのでしょうが、
    序盤からクソだからなぁ・・・笑

    まぁ、どこかしら欠けた人間ばかり、というか、それが本来の人間の姿という意味では、私は嫌いじゃありませんでした。

    ただ、全体的にリアリティがあまりないかなーと。
    フィクションの小説だからいたしかたないのかもしれませんが、
    こういった内容の場合、いかにリアリティを出すかが結構重要な気がする。
    まぁ、ヤクザ、薬、暴力、等々、とても一般ピープルではリアリティを感じようもないものが題材なので、
    何をもってリアルとするかは難しいところですが・・・笑
    逆にだからこそ、もう少しリアリティを持たせた感じであればよかったなと。
    なので父親のクソ加減にどんどん磨きがかかっていくあたりはよかったと思います。

    なんというか、同じ『父の復讐劇』という意味では、
    さまよう刃と対照的な物語だなぁ・・・
    と、読みながら思ってました。

    さまよう刃もとても素晴らしい作品です。
    まぁ、読んでて胸糞悪くなるという意味では共通してますが。

  • グロテスク→謎→ほどよい気持ち悪さ→超グロテスク→超絶グロテスク→謎。だった。グロテスクの要素多くてちょっと気分悪くなった。

  • 映画化で話題になっていたので読んでみた。

    この本を読んで、おもしろかったと言える人はいるのだろうか。
    描かれている状況と人間模様がとにかくえげつない。

    『限りなく透明に違いブルー/村上龍』の現代版かと思われる。

    人にはおすすめすることができない衝撃の1冊です。

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