科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている (宝島社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796662918

作品紹介・あらすじ

いま日本国中でCO2の排出量をゼロにしても気温はたったの0.00004℃しか下がらない!?データが証明する「地球寒冷化」の予兆、そしてかならず訪れる「人口問題」と「石油の枯渇」人類は生き残るために何をするべきか。

感想・レビュー・書評

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  • 丸山茂徳(1949年~)氏は、徳島大卒の地質学者。東京大学教養学部助教授、東京工業大学大学院理工学研究科教授、スタンフォード大学アラン・コックス基金招待教授等を歴任し、東京工業大学地球生命研究所特命教授、岡山大学地球物質科学研究センター特任教授。アメリカ科学振興協会フェロー。2006年紫綬褒章受章。
    本書は、2008年に出版され、地球温暖化と二酸化炭素には関係がないという説は話題になった。(私は出版直後に購入し読了している)
    著者の地球温暖化に対する主張の論旨は概ね以下である。
    ◆温暖効果ガスの90%は水蒸気であり、一般に地球温暖化の原因とされている二酸化炭素は10%に過ぎず、その影響は極めて限定的。
    ◆地球の気温に影響を与える要素は(影響の大きい順に)、①太陽の活動度、②地球磁場、③火山の噴火、④ミランコビッチ・サイクル(周期的な地球への日射量の変化)、➄温室効果ガス、であり、そのうち二酸化炭素以外は地球を寒冷化に向かわせるように働いている、
    ◆最も影響の大きい①の太陽の活動度のみを考慮した気温の予測は、2035年まで低下し、その後再び上昇傾向となるが、更に、②、③、④等はいずれも低温化の方向に効く。
    そして、2章以降では、国際政治や日本の政治についての持論が展開されている。
    地球温暖化問題は、近代において科学を飛躍的に進歩させてきた「要素還元主義」のアプローチの効かない、所謂「複雑系」の典型といえる問題である。そして、それ故にこそ様々な主張・学説がぶつかることになるが、こうした問題を考えるために肝要なことは、様々な主張に耳を傾けることであろう。私は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の評価報告書の執筆者も務めた鬼頭昭雄氏の『異常気象と地球温暖化』なども読んでいるが、それぞれの主張のどこに違いがあるのかを見極めることによって、自分の立ち位置を定めることができる。
    本書の中で著者は「IPCCの予測が正しいのか、(著者が勤める、東京工業大学の)理学研究流動機構の予測(「気温は2035年まで低下する」)が正しいかは、5~10年後には解決する問題だ」と語っているのだが、出版から既に10年以上を経た今、その結果はどうなったのだろうか。。。
    いずれにせよ、地球温暖化問題を考える上で、読んでおくべき一冊と思う。
    (2008年9月了)


  • 現在大勢を占める科学的知見と反して、
    寒冷化を主張している。

    この本は、結局何がいいたいかというと、
    ・温暖化は科学者にとって自己目的的な詭弁だ
    ・環境問題の本質は人口問題だ

    簡単に言ってしまえば、
    いろいろな分野が細分化して相互の交流が難しくなり、
    そのため、こと科学においては諸分野が自己目的的な、保身のために、詭弁を正当化しようとする動きがある。温暖化論はそれに過ぎない、
    ということが本論なのだろう。

    でも、いまや相互に交流ができないと自ら言及している他分野を
    あえていとも簡単に縦横無尽にかいつまんで、
    「石油の無駄遣いだから、地方地域や個々の人家は
    地方都市の主要駅の駅前にピラミッド型集合住宅を
    建てて住むのがよい」
    とか、
    「太平洋戦争は母親が起こした」
    という説明は、多くの人にとって受け入れがたいと思う。

    また、話の展開も、

    温暖化ではなく寒冷化
     ↓
    寒冷化すると、石油の枯渇が問題
     ↓
    そもそも石油の枯渇は・・・
     ↓
    人口問題
     ↓
    そもそもの原因は国家論

    というもので、
    論理が飛躍しすぎている。
    そして、肝心の「寒冷化」に対する対策は書かれていない。
    おそらく、これまでの対症療法的な対策への
    反省もこめて、このような「そもそも論」を
    展開しているのだろうけれど、
    上記のような展開では飛躍しすぎているので納得しがたく、
    説得力が感じられない。

    でも、「農業形態のグランドデザイン」や、
    人口に関する長期的展望と対策は確かに必要だと思う。
    だったら、科学者の見地から寒冷化に対する対策と、
    必要となる他分野での対策への協力要請、
    という形で提示してほしい。
    科学者として真剣に寒冷化を主張するならば。

  • 地球磁場と温暖化の関係を示唆する科学的なデータを基に、近年の地球温暖化CO2悪玉論を検証。読み終えた今でも個人的には眉唾だけれど、こういう研究もあるんだと分かったのは興味深かった。ただ、後半からは国家が世界のリーダーたるためにはどうだとか、少し話が飛躍しすぎていて、その部分は別の書籍にまとめてもよかったような気がした。

  • 第一章63ページだけまとめて百円で売った方が、筆者にも読者にもためになったと思う。第一章では、二酸化炭素は地球温暖化への影響が少なく、むしろ寒冷化に向かっていることをデータを元に解説している。地磁気の影響や、過去周期的に寒暖を繰り返していることなど、結構興味深く読んだ。特に中国が寒冷期とそれに伴う飢饉により王朝交代を繰り返してきたという話はなるほどと思った。
    しかし、第二章からがらりと変わる。畑違いの分野について誇大な想像と主張を広げる筆者に総ツッコミをすることが、読者の仕事になりますw著者紹介を見ると筆者は理系の学者のよう。それが政治経済に口を出すようになったからまあ大変。正直読むのが苦痛だった。石油枯渇の問題から民主主義、人工抑制と色々な話をして最後に地球温暖化に戻ってくる。最後の段階では地球温暖化が単なる一例として取り上げられており、無理矢理繋げました感が否めない。間を挟む筆者の主張も根拠に乏しい、もしくは要因を限って推測している部分が多く見られ、心の中で何度もツッコミをしてきた。反論材料をあげようと思ったが、それさえ馬鹿らしい。
    第一章は地球温暖化二酸化炭素説に対する反論であり、なかなか興味深く読めた。二章以降はツッコミ力を鍛えるための文章のかたまりです。専門外の分野に迂闊に手を出すとどういうことになるのかの、いい教訓となったでしょう。てか編集よ、後世まで読まれる本にする気がさらさらないだろ。

  •  本書の内容は前半と後半で大きく異なっている。前半では、IPCCや各国政府、環境NGOなどがいう、CO2濃度上昇が気温上昇の主因であるという見解は間違っている、と主張している。この根拠として、IPCCの理論的主柱である研究結果の問題点を挙げており、また、温室効果ガスの能力は水蒸気の方が大きいという実験事実から、太陽の活動活発化に伴う宇宙線の増加による雲の減少と、それにより起きる地球寒冷化の方が大問題なのだと結論付けている。後半では、現状に対する批判と著者の理想を語っている。

     CO2犯人説が怪しいということは昔から言われており、この前半部分の議論も論理的に組み立てられているため、それなりに説得力があるのだが、読み進めていくうち、段々とおかしな方向に議論が向かって行く。まずはじめにボクがアレ?と思ったのは、ミランコビッチ・サイクルの説明の部分。太陽の引力のみ考えるならば地球は真円軌道を描く、と取れる記述があったため、ここから眉唾ものとして読む様になった。方便としての記述だったのかもしれないが、明らかな嘘がある時点で全体の信用度が低下した。

     読み方が変わったとたん、いろいろと疑問が出てきた。著者の主張の根底にある、「成長の限界」仮説。発表されたのが1972年であり、この仮説の基盤にある原油埋蔵量の試算も当時と今では変わっているのだから、仮説も修正がされてしかるべきでは?と思った。また、原油価格の上昇が枯渇懸念からだという主張もしているが、昨今の原油価格の乱高下を見ていると、それも怪しい。少なくとも、上昇の契機となった、第1次オイルショックの主因はOPECの協定や第4次中東戦争による供給ショックと考えられるため、明らかに枯渇懸念が原因ではないと思う。

     そして話は、IPCCの科学者や政治家、官僚、加えて彼らの混迷を助長するマスコミ批判へと向かっていく。人々は知的混迷の時代から抜け出し、正しい科学的事実に基づいて原油の使用を控え、超国家を建設して問題にあたるべきという。そのためには、日本でも日本語なんか捨てて英語を教えろというのだ。最近日本語が滅びることに関する本が出版されていたが、積極敵の滅ぼそうとする政策はどうだろうと思う。かつてアイヌ問題を政治課題とした、故萱野茂氏が言ったように、言語というのは文化の主たる部分であり、言語の滅びは文化の滅びに直結すると思う。もし日本文化が滅ぶことを許容し、英語文化に統一されることを望むのであれば、文明の多様性はなくなってしまうだろう。そして多様性をなくした文明は進取の気性をなくし、滅びの一途をたどると思う。

     もちろん著者の主張がすべて間違っているとは思わない。しかしよく考えてみると、原油使用量を減らすためには世界中が協力すべき(意訳)、という主張は、現在でもコンセンサスがとれている部分なのではないか。仮に動機が著者の主張と異なるものであっても、目指すものが同じであれば、そこは協力するのが現実的対応ではないかと思う。いったん流れ出した世の中の流れは、そう簡単には止まらない。前に飛び出して堰き止めようとしても濁流に呑まれるだけだというのは、歴史的事実だと思う。むしろ、流れに乗って、その方向性を調整することに力を注いだ方が、目的達成の近道だろう。

     これは買いかぶりすぎかもしれないが、現在の風潮を作り出した人々は、実は問題の本質が著者の主張する寒冷化であると知りながら、あえてCO2犯人説を唱えた可能性もあるだろう。地球寒冷化問題は、人間には対症療法しかできない問題だ。何せ、主因は太陽なのだから。このような防衛的対策は、何かをやっつければ良いという単純なのものではないので、しばしば目的を見失い、廃れていくこともあるだろう。しかし、CO2という犯人を作ってやれば、そいつをやっつけろ、という攻撃的対策をとることが可能になる。こういう悪役がいれば、人々の注目を集め、意志をまとめることも比較的簡単だろう。そして人々の意思を固めたら、それを当初の目的にセットしてやることにより、遠回りはするけれど、目的を達成することができる気がする。若干、陰謀史観的で恥ずかしい考えだが。

     確かに理想を言うならば、正しい認識に基づいて正しい行動をするべきなのかもしれない。しかし、正しいことは必ずしもわかりやすいこととは限らない。いみじくも、著者が真円軌道の例を用いたように、単純化した方が分かりやすいこともある。世の中は必ずしも理想だけでは回らない。道筋が間違っていたとしても、正しい結果に到達すれば、大抵のことは許されるだろう。

  • 武田邦彦のようなバカを騙すアンチ温暖化ビジネス学者ではなく、地球史を詳しく知る地質学者の丸山先生が、このような本を出したことに、ただただ驚く。

    ただ内容はツッコミどころ満載で、丸山先生が本当に書いたのか微妙だけど。

    丸山先生の論点は、①宇宙線量の増減→雲の量の増減→太陽光の反射の増減のほうが、二酸化炭素よりも大きな気温のドライバーになる、②宇宙線量の増減は、大気中の炭素同位体の量に影響するので、千年杉の年輪を調べれば、その年輪の時期と炭素同位体の量に相関関係があることが調べられる、というところにある。

    これは非常に興味深いが、この研究の結果がどうなったのか、よくわからない。

    さらに、この本を出した当時は、宇宙線量と雲の関係は仮説にすぎなかったので、丸山先生の主張はスルーされていた。最近の研究で、神戸大学の先生がその関係を立証したが、宇宙線量のほうが二酸化炭素よりも大きな気温のドライバーになるとは言っていない。

  • 最初の方は二酸化炭素、温室効果ガスなどちゃんと地球温暖化のテーマを残しているけど、段々と政治的な話になっていって好みじゃなくなっちゃいました……
    このタイトルで「日本の政治にはリーダーシップがない」とか「政治家は社会情勢をわかってない」って話になると思いますか?……ツラい……

  • 世間一般で常識的に認識されている「地球温暖化=二酸化炭素」原因説に異議を唱えています。
    私自身も他の方の著書を通じて、この認識を改めさせられたことがあります。
    過去に著者と同じような見解の方が書いた本の内容と一致する部分もありつつ(地球は寒冷化に向かっている)、別の情報も盛り込まれていて興味深かったです。
    本書によれば、地球の気温が宇宙から注がれる宇宙線量によっても左右され、太陽の状態に大きな影響を受けるとのことです。
    本書では、地球温暖化よりも化石燃料の枯渇、その後に続く、食糧危機、戦争の問題と言った多くの問題についての提案がなされています。
    この問題を解決するためには、世界統一国家を作って、統制していく必要があるというのが著者の主張です。
    個人的には、この意見に全面的には、賛成しかねるのですが、たとえ反対意見を持っていても、一読する価値のある主張に感じました。
    確かに著者の言うように、世界的に見れば、今後、爆発的に増えていく人口に対して、どのようにしてそれを養っていくかを考えれば、「こうすればみんなが幸せ」というような解答は出せません。
    少なくともこの問題に対して、人類は思考停止してはならない、そう感じさせる内容でした。

  • ○2008年の地球惑星科学連合大会のアンケートでは、21世紀について、温暖化1割、寒冷化2割、わからない7割
    ○丸山氏のシナリオ:地磁気減少→宇宙線増加→雲量増加→寒冷化

  •  
    ── 丸山 茂徳《「地球温暖化」論に騙されるな! 20080808 講談社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/479666291X
     
     Maruyama, Shigenori 地質学 19491224 徳島 /東京工業大学教授
     
    (20170727)
     

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著者プロフィール

丸山 茂徳(まるやま・しげのり)
1949年徳島県生まれ。スタンフォード大学、東京大学などを経て、1993年から2019年まで東京工業大学教授および特命教授・特任教授。地質学、地球惑星科学を専門とし、地質学会賞、アメリカ科学振興会フェロー、紫綬褒章、トムソンサイエンティフィックリサーチフロントアワード、アメリカ地質学会名誉フェロー、瑞宝中綬章ほか受賞・受章、著書多数。

「2024年 『TEN vol.5 科学教育の現在と未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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