サブプライム後に何が起きているのか (宝島社新書 270)

著者 :
  • 宝島社
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レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796663090

作品紹介・あらすじ

絶対絶命のアメリカはどこからカネを集めるのか?未曾有の金融危機は世界史を変える。大ヒット『サブプライム問題とは何か』待望の続編。

感想・レビュー・書評

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  • "2008年4月 リーマンショックの半年程度前に発売された本です。 サブプライム問題に焦点を当てていますが、 まだリーマンショック前なので それほど厳しい感じもなく、その後来る大きな波を予想はされていません。
    淡々とサブプライム問題の本質を書いています。これもブックオフの100円コーナーから。歴史を勉強すると言う意味では良い本だと思います"

  • 2008年刊。サブプライム問題の要因、事後の問題点と現況の解説がなされる。極めて良心的な解説・啓蒙書と思われる。そもそもサブプライム問題は、バブル現象としては特殊ではない。かつて日本が経験したそれのみならず、ブラックマンデー等とほとんど変わらない。むしろ、特殊性は、レバレッジを可能にした証券化技術のため被害が一気に巨大化したという点にあるのだ。本書はこの証券化技術・レバレッジ投資の問題を正しく指摘。「レバレッジは、面白いように利益を増やす…しかし、物事が…反対に動いた時の破壊力もすさまじい」と。
    その上で、日本のレバレッジ取引の典型たるFX(外国為替証拠金(保証金)取引)の問題も同様と喝破するのだ。さて、本書によれば、現況のアメリカを支援しているのが国富ファンド(中近東イスラムの石油マネーと中国マネー。誕生は米国貿易赤字継続の産物)である。緊急避難時はともかく、米国がこれらに依存し続けるとは、政治的には想定しにくい。この点は、著者は過小評価していないだろうか?
    検討課題。①ドル・キャリートレード、②イスラム金融。利息禁止・利用料や割賦販売手数料を実質利息と見る方法論。③企業融資から消費者へのシフト。情報の非対称性のため有利な取引が可能。④格付け機関(唯一の情報源。AAA)とモノライン保証会社(保証契約締結)による拡販。

  • サブプライム問題中盤戦について、書かれた一冊。
    前半とか中盤、後半といった概念は私個人の感想で
    しかないです。でも、リーマンショックが入っていないと
    後半戦とは呼べない気がしてしまって・・・。

    それでも、リーマンショックの半年前に、ここまで
    サブプライム後のことが明確に予測できているのが
    すごすぎる。

    そして、サブプライム問題の本質と思われる
    証券化とレバレッジバブルの仕組みが詳細かつ
    簡易に記されています。

  • 今年(2008年)9月にサブプライムショックによる大幅な株式市場の下落が始まって、あっという間に、史上最高といわれていた上半期の売り上げが急変しました。

    サブプライム問題は今後10年以上長引きそうな予感がします、この問題は奥が深くまだ何がおきているのか私はまったく分かりません。ただおぼろげながら予想できるのは、この変化は、911テロに続く、一種の金融テロに近い形で、私たちの根本を変えていくと思われます。

    激動の時代を体験できる良いチャンスと捕らえて、サブプライムに関する情報収集を今後も続けて生きたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・現在起きているドル・キャリートレードは、ドルを売って高金利国ブラジルのレアルを買うこと、これはバフェットも実施中である、ドル金利がゼロになれば、殆どどの通貨に対してもこの取引が成立する(p51)

    ・邦銀のサブプライム損失が比較的少ないのは、公的資金注入により、監視状態が続いたから、対象外であった証券業界(野村證券、みずほFG)は絡んでいる(p55)

    ・シティグループの07,4Qの決算は、創業初の大赤字(1.6兆円)、サブプライム関連の損失は2兆円、1.6兆円の優先株発行(p68)

    ・欧米の金融機関がアジア・中東の国富ファンドに頼っているのは、面子を捨てた最後の手段(p78)

    ・様々な国の貿易黒字の累計(外貨準備高)は、アメリカの貿易赤字金額の累計と言い換えられる(p87)

    ・中東諸国にとって、手持ちの外貨準備の価値(購買力)を維持するには、1) 中東通貨をユーロに対して下がらないようにする(=ドルペッグ廃止)か、2)ドルペッグを維持しつつ外貨準備を増加(=原油価格の上昇)である(p90)

    ・シティとメリルの出資で、クウェート通貨庁・アブダビ投資庁・韓国投資公社が勝ち取った条件は、配当率11%(p98)

    ・証券化された商品を購入させる「お墨付き」として登場したのが、格付け機関・モノライン保険会社、である(p125)

    ・企業に関する格付けではトリプルAは、ほんのわずかしか存在しないが、証券化商品では、ほとんどがトリプルAである(p161)

    ・大英帝国は、大幅なインド・中国への貿易赤字を取り返すために、アヘンを中国へ輸出した、これがアヘン戦争の原因となる(p184)

  • 【入手元】不明

    【概要】
    ・おくらばせながら、サブプライム問題がよく分かった
    ・サブプライム問題だけでなく、金融全体の仕組みが分かる。今読んでも、いい本だと思います。

    【詳細】

    ・サブプライム問題がもたらした3つの危機
     信用危機、流動性危機、資金繰り危機
    ・証券化 →所有と経営の分離。原資産のビジネスを知らなくても投資リターンだけを享受できる。
    ・短期金利を下げる →預金や短期市場から低い金利で資金調達し、
     それよりも高い金利で長期で貸し付ける銀行への中央銀行から銀行への支援金(利益供与)。
     しかも、この支援は財政負担を必要としない。

    ・これまでの金融の歴史では、金融業界の誰かが窮地に陥ったら、
     金融業界のドンが全員に奉加帳をまわして金融機関が差し出すべき金額を記入させ、
     救済に必要な資金を集めた。

    ・国富ファンド(ソブリン)
     -アメリカ 
      →ドルを発行しまくり、世界のものを買いまくる
      →基軸通貨なので通貨が暴落することはない
      →貿易赤字になる
     -他の国
      →アメリカへの輸出で貿易黒字になる
      →余ったお金の運用が必要
      →国富ファンドが運用を担当
      →国内で使うと金余り、過剰流動性となって、資産価値を押し上げてしまう。
       (不動産バブル、株バブル、債権バブル、絵画バブル、、、)
      →かつて日本は、この状態が起きた。日本には高度成長期に資金不足で苦労した時代の経験があり、
       国内から海外へと余った資金を投資できなかった。
     -アメリカは国富ファンドをアメリカのルール配下におきたい
      →自国の消費者を配下の国に解放して貿易黒字を授けているわけで、「お前たちが実力で稼いだ金じゃない」

    ・銀行はその国の金融インフラの中心に位置している。国民から預金を集めており、
     多くの企業や国民が入出金、送金などを含む資金決済サービスの提供を受けている。
     このため、銀行はさまざまな産業の中でも政府にとって特別な存在である。
     さまざまな保護がなされている産業であると同時に、一般企業とは比べ物にならないほど
     規制が厳しい。極端に言えば、端の上げ下ろしまで監視されている。

    ・イスラム金融
     イスラムの世界において、保証された金利というのは、将来を見通せるこそ決定できるものとされる。
     将来を見通せるのは神だけであり、人間は不確定な将来に対するリスクを受け入れなければならない。
     なので、利息は禁止。

    ・リスクをとるコスト
     (1)お金の借り易さ(お金の量、流動性)
     (2)金利の実質的な高さ

    ・証券化のポイント
     (1)住宅ローンをかき集めてリスクを分類。個々のリスクによらず、
      リスク高~低の債権をほしい人が買える
     (2)モノラインが保証をすることで、債権の信用リスクはAAAになる
     (3)レバレッジをかける
     →投資家は、自分で考えないでも信用力が高くリスクの低い債券を購入できる
     →AAAなので、レバレッジの資金調達の金利が安い。
     →問題は、売れ残りをさらに再構築していたところ。
      売れ残りのケーキをきれいにラッピングしなおしているようなもの。

    ・不動産バブル崩壊後の修復過程
     -金融機関がまず復活し、その後に不動産市況が底を打つという順番
     -不動産市況そのものの救済は不可能。金融機関救済の数百倍の資金が必要。

    ・モノラインの格下げ →モノラインの保証を受けているすべての証券の格下げ

    【覇権の歴史】
    ・パクス・ロマーナ
     -395年の東西分裂が衰退の始まり。
     -東ローマ帝国滅亡(1453年)後も、次の覇者が決まるまでには長い月日を要した
    ・パクス・ブリタニカ
     -地理的な好条件 →ヨーロッパの混乱に巻き込まれないで済んだ)
     -何度ものポンド危機後、衰退

    ・パクス・アメリカーナ
     -こちらも地理的に優位だった
     -衰退の兆候は71年のニクソンショック(金とドルの交換停止と為替の変動相場移行)
     -覇権の維持コストが増大し、アメリカの経済力がそれに見合ったペースで増大できなくなった。
     -通貨下落は衰退する覇権のひとつの表れ。

    ・次の覇権国は中国か?
     -金融面の地位強化を目指している
     -リスクをとらない臆病な金融弱国は、負債の形での出資を強制され、
      資本を持つ国にレバレッジを可能にする資金を提供するだけとなる。
      そしてコアとなる資本と、その数倍の負債をどこに活用するかという
      「資金の配分権」を牛耳るのはコアとなる資本部分を握っている金融強国。

    ・イスラムは?
     -利益率より社会規範が優先される。ビジネスのコストは上昇する。道徳社会規範の地位が上昇する
     -実は近年のCSRに近い考え。イスラムのほうが実はこのような考えが進んでいるとも見れる。

  • サブプライムの仕組みを理解したうえで、
    現在の世界の金融情勢なんかもわかります。

    これ読んじゃうと余計投資が怖くて、
    先行き不安に駆られてしまうよ。
    作者の意図に反して。

    サブプライムのバブルの実態ってよくわかってなかったので、
    そのあたりは特にわかりやすいです。

    かなりざっくりで、細かいところは違うかもしれませんが・・・

    不良債権(住宅ローン:サブプライムローン)を
    パッケージして証券化して、保険をかけることで格付けも上げる。
    見かけ上はローリスクハイリターンの証券がバカ売れ、
    住宅ローンもバンバン組まれて、金利も上がり続ける。
    金融機関も金利上昇を前提に
    レバレッジ(借りた金使ってさらに儲ける)かけて金を使いまくり荒稼ぎ。

    しかし、そこで逆回転が起こる。

    金利上昇に伴い、ローンが払えない人続出。
    保険会社も支払い能力が追いつかない。
    そうすると、ローリスクで買った投資家も一気に逃げ出し、
    金が回らなくなって、破産すると。
    証券そのものへの信頼と格付け機関の信頼が大きく失墜。

    欧米諸国には、金融機関どうしで救済する金もない。
    そこに中東・アジアの金で救済がはいる。
    それは世界金融勢力図にも今後影響があると。

    アメリカがどこまで沈むのか、もう昇らないのか。
    誰にもわかりませんね。

  • 9784796663090  223p 2008・4・24 1刷

  • 『サブプライム問題とは何か』第二弾

    前作が、サブプライムローンって何ってどういう商品で、何が問題だったのかを扱ったことに対し、本作では、もう少し広い視点でこの問題を見たときに、どれだけこのビジネスが歪んでいたのか、またこれから金融界にどのような動きがあるのかを解説

    いわゆるレバレッジを使ったビジネスがハイリスクであったのか

    なぜサブプライムローンがあんなにも多くの投資家に買われたのか?

    自己資本比率規制をすりぬける手法(オフバランス化)として活用したレバレッジ経営の問題

    格付け会社、モノライン会社による実体とはかけ離れたサブプライムローンのメッキ化の問題

    ひとつの籠に卵は全部入れてはいけないという基本をやぶったモノライン保険会社のサブプライムローンのみへの大量買い込み。

    また、世界中を巻き込んだサブプライム問題の救世主となったアジア・中東の国富ファンド (ソブリン・ウェルス・ファンド)の存在と今後のイスラム金融と世界経済との関係

    サブプライムローンの優先劣後構造を利用した偽の信用


    などなど、もっと深くこの問題を理解することができます。次はイスラム金融について学ぶ必要がありそうです。

    アメリカの次の覇権国はいったいどこなんだろうか…

  • モノラインのあたりが参考になった。なんという危ない橋をみんなわたってたのか。

  • 世界経済が今どう動いているのか。
    国富ファンドについて。

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