ハイブリッドカーは本当にエコなのか?

  • 宝島社 (2009年9月10日発売)
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  • 本 ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796666916

感想・レビュー・書評

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  • 日本のエコカーは、燃費が良くても、生産工程・廃棄工程等も含めた全体を通してみれば地球環境には決して良くない、リサイクル体制が不十分であり問題が多いという内容。
    2009年刊行の本で、そのあたりの時期の話ではということでしょうが、いまはどうなっているかはわかりません。

    「車とは何か、どうするべきなのか」という問には考えさせられる。
    燃費だけではなく、エンジン、駆動、足回り等を含めてどうするのか。どう考えるのか。

    なお、2009年という刊行時期を考えると、トヨタとホンダと欧州車がほとんどという内容は少し物足りなく感じた。

    2011/10/01 読了

  • 普段、車関係の本は全く読みません。
    うちでそろそろ新しい車に買い替えるようなので、ハイブリッドカーってどうなのかなあと思って図書館で借りて読みました。
    数年前の本なので、少し事情は変わってきているかもしれませんが、結論としては、日本の都市部ではエコではないということのようです。
    また、当たり前のことですが、今乗っている車がまだ十分走れるのに、エコだといわれている車に買い替えるのは、まったくエコではないということも書いてありました。その通りだと思います。
    車に限らず家電とか電球とかも、まだ使えるのに省エネと言われているものに買い替えるのは、メーカーの戦略に乗せられているだけであって、まったく環境に配慮した行動ではないと前々から思っていました。このことをこの本は(車についてだけですが)きちんと書いてくれていたので、この著者は、メーカーよりではなく公平な視点で書いている人なんだろうと思います。

  • 本書の主題はハイブリッドはエコロジーに反することであり、欧州で一般化したダウンサイジングターボの導入とエンジンの効率化、効率のよいDSGなどのトランスミッションを導入せよ、将来日本車は欧州車に燃費面で抜かされるぞ、と書かれています。
    本書は2009年の発売であり、本書に書かれた”将来”は2014年の今頃からのことをさしていると思われます。

    しかし本書の内容は恣意的です。
    非エコロジーとして製造時環境負荷の筆頭に挙げているハイブリッド用モータのレアアースなどを論じるのであれば家電製品や電子機器での使用も問題視すべきであり、こじつけです。
    ニッケル水素電池はリサイクルプラントが立ち上がっています。
    問題とすべきはリサイクルができないCFRPなどカーボン素材を車体軽量化のため導入をすすめている欧州メーカーの方ではないでしょうか。
    これについて欧州車であっても批判することの多い著者の記事を待ちたいと思います。

    では結局のところ燃費はどうなのか。
    実用燃費は"みんカラ"において、小排気量ターボでハイオクガソリンのVWゴルフ/ポロを、ハイブリッドでレギュラーガソリンのプリウス/アクアが大きく上回っています。
    欧米思想が将来の正しい方向性と論じている本書の"将来"は、こと日本においては本書が糾弾している日本技術が実燃費として最高を更新し続けています。

    そして本書では度々、実用燃費から乖離した日本の燃費テスト対策に日本メーカーの技術が注がれ、エンジンやトランスミッションに本質的な技術向上がなされていないと書かれています。
    これについても本書でも書かれている実用燃費に近い米国EPAの燃費上位はほぼ日本車です。
    ミスリードが多すぎませんか。

    両角岳彦様。このような恣意的な作文を書きっ放しにすることなく、自らの過ちを認めないと他の輸入車礼賛モータージャーナリストと同レベルですよ。

    ★2021年3月7日 追記
    その後、世界はEVへの舵を切り、最低でもハイブリッド車にせよと、著者の憂う製造時環境負荷増の方向に向かっている。
    日本車の方向性は正しかった。
    出来の悪い48Vマイルドハイブリッドなど、未だに欧州メーカーは燃費で日本車に及ばなく、内燃機関から逃げてレアアースを大量に使っている。
    なお著者は未だに自動車ジャーナリストである。

  • ハイブリッド・カーは燃費という意味では、エコなのだろうが、生産・廃棄までのプロセスで見ると、1台を作る辺りで考えると決して、地球に対してエコではないということがわかる本。

    筆者は本文を読む限りかなり自動車について見識があると思うが、あまり仕組みが分かっていない自分が読むには難しいところがあったので、一度プリウスの仕組みの本を読んでから、再度読んでみたら大抵のことがわかった。新書という形では、多少読みにくいのかもしれない。

    エコとなると燃費が良い=二酸化炭素の排出量が少ない=地球にやさしい という等式が思い描きやすいが、決してそれだけではないことがわかる好例だと思う。

  • 2008年後半の自動車販売不振の中で、ハイブリッド車の売れ行きが好調とのニュースが伝えられていて、ハイブリッド車は自動車業界の救世主のような扱いです。ハイブリッド車の燃費は従来車両と比較してかなり良く、政府の優遇税制とあいまって、かなり人気が高いようです。

    そのなかで、それに水を差すようなこの本のタイトルには驚きましたが、本を読み進めていくと、ハイブリッド車にまつわる情報を受けとる場合には、その前提等を良く理解して行う必要があると思いました。

    ハイブリッド車にすることで重量が増加し、さらには中高速での燃費はむしろ悪くなる(p46)というのは、驚きでした。

    また、この本の結論として、しばらくの間は自動車を走らせる動力としては、炭化水素燃料をもやす内燃機関(ガソリン、ディーゼル)が中核の座を占める、というのが印象的でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・ダイムラー・ベンツは「質と量の両立」を目指そうとして、クライスラーを合併、日本では三菱、韓国では現代をグループに加えてグローバル企業体を目指したが、量の拡大は進まず、h質の低下が先行して、最終的にはダイムラー単体に戻った(p18)

    ・ハイブリッド車の燃費が良いのは、アイドリングストップの効用や加減速が多くなる平均走行速度が低い場合に限る、中高速巡航燃費はむしろ悪化する(p25)

    ・燃料消費以外のエリア(素材利用、製造、使用終了後の解体・リサイクル)に関わる環境影響では、内燃機関車よりも増える(p25)

    ・燃料電池車は、車を走らせるエネルギーとして、「水素をどう運ぶか」が大きな問題である(p27)

    ・車両を走らせる駆動エネルギーの流として、内燃機関→発電機→モータと、直列につながって仕事をしていることから、シリーズ(直列)式と呼ばれる(p40)

    ・ハイブリッド車が燃料消費を節約できるのは、1)減速時に運動エネルギーを回収して再利用、2)内燃機関の熱効率が悪くなる運転領域でモーターを使う、3)電気モータだけで発進できるシステムであれば、アイドリングストップを有効利用できる、である(p45)

    ・加減速が少なく中高速で巡航を続けるような使い方では、ハイブリッド車の燃費メリットはでない(p46)

    ・欧州でのロードテストした結果によれば、日本製ハイブリッド車は、市街地では良い、郊外で最新ディーゼル車と同等かやや及ばす、高速道路では劣る結果となっている(p53)

    ・日本の燃費試験の10・15モードでは、平均時速22.7km/hrs、11分の試験、最近になって使われ始めた、JC08モードは平均24.4km/hrs、20分の試験である、ハイブリッド車にとっては減速時のエネルギー回収とアイドリングストップにより良い燃費を出しやすいパターン(p75)

    ・JC08モードでは、「試験時に走行パターンから逸脱することを許容する幅」が、プラスマイナス2km/hr(10・15モードでは1km/hr)、プラスマイナス1秒(同一)に緩和されたので、折れ線モードを、なだらかなモードへ変更可能となる(p78)

    ・ハイブリッド車の電池は、解体して分離し、関連業者に送り出された時点で、製造者の責任対象から外れる、モーターも解体業者が取り外して別の流通経路に乗せれば、同様の扱いとなる(p128)

    ・乗用車のガソリン消費は、燃料消費総量が増えたままで変わらず、保有台数にも大きな変化がない、平均走行走行距離が増えていないことから、燃費が良くなっているという結論にはならない、商用車の軽油需要は、1997年の4500万キロリットルから、2008年の3400万キロリットルへと減少している(p143)

    ・ある量のエネルギーを蓄え、自動車のような移動体のなかに積んで使いつつ走る時、化学電池は液体燃料に比べて、格段に大きな容量と重量になってしまう(p152)

    ・燃料電池において触媒が必要、技術開発が進んだ(現在は10倍程度を使用)としても1台あたり、10~20グラムの白金が必要、1000万台の車生産に100トンの白金必要、年間の白金生産量(200トン程度)から比べても大きな数字(p173)

    ・現在でもディーゼルエンジンは、その燃焼の基本原理からして、排気浄化のためには白金が必要、ガソリンエンジンはロジウム、パラジウムを使用し始めた(p173)

  • 廃車の時のリサイクルまで考えるとEVやハイブリッドをエコカーとしてどの程度の位置付けにすべきかは今後廃車が多くなってから分かるだろう
    しかしVWはそれさえも事前にやるのだろう

  • 最終的にリサイクルをすることまで考えると、ハイブリッドカーはエコじゃない。燃料電池車も、EVも、さまざまな問題を抱えているし、そう考えるとマツダの現行のエンジンをとことん突き詰めるのは、ひとつの正解のような気がする。

  • ハイブリットカー=エコ、という図式はなんとなくそうなのかなと思っていました。
    この本では、そう単純なことではないという事を詳しく説明してくれています。正直、工学的な話は分からない点も多かったですが、日本人が全員この本の内容を知ったうえで、改めてエコな商品というものについて考えてほしいと思いました。

  • 2009年秋に読み終わった本
    http://hydrocul.seesaa.net/article/134884589.html

  • ハイブリッドカー = エコ という図式になんとなく胡散臭いものを感じていたのだが、その理由がこの本を読むとよく分かります。結局企業は利益重視であり、ハイブリッドカーはイメージ戦略である、という点を国民は知るべきである。ハイブリッドカーは確かに燃費が優れる一面もあるようですが、それも条件次第で、ほとんど数値捏造といえるような測定方法である点に驚かされます。企業は本気になれば、ガソリン車でも、かなりの低燃費車が作れるはずなのだが、そのような物づくりが日本消費者に受け入れられないのが残念です。

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