NHKスペシャル うつ病治療 常識が変わる

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796671736

感想・レビュー・書評

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  • うつ病の治療の現状について語った一冊。

    色々と勉強になった。

  • 否定型うつ病の専門家として知られる医師・貝谷久宣
    自死遺族同士で互いをサポートする「藍の会」→命のマップ

  • TV番組のドキュメンタリーが書籍されたものです。
    本になってもテレビ的な印象を受けます。

    日本うつ病学会理事長野村総一郎さんが講演会で話している
    「医師選びの5ケ条」
    1.薬の処方や副作用について説明しない
    2.いきなり3種類以上の抗うつ薬をだす
    3.薬がどんどん増える
    4.薬について質問すると不機嫌になる
    5.薬以外の対処法をしらないようだ

    医学的なことの真偽を調べるまで至ってないですが
    社会が複雑になり、新しいタイプの病気も出ているようです。
    「診察は”この場合はこう”といった、マニュアル的な暗記の知識では
    役に立たない。患者の状態を見て、推理しながら話を聞き出していく
    生きた力こそ必要」という言葉が心に残りました。
    医療だけに限らない言葉として。

  • 09年に放送されたNHKスペシャルとクロ現の内容に追加取材を加えてNHKの取材班が書き下ろした、うつ病治療の現状についての本。患者さんやそれに関わる方々はもちろんのこと、関係の無い一般の人にも読んでほしい。

    日本ではうつ病治療に長い間関心が持たれていなかったこと、もともと専門外の医師が、精神科を標榜して開業することが珍しくないこと。また、現在安全だと処方されている抗鬱剤SSRIの副作用により、攻撃性が誘発され、大きな犯罪にもなったり、自ら命を絶ってしまう恐れがあること。不適切な投薬や、診察した患者数による点数重視の診療報酬制度のため診察時間が短くなってしまうこと。「どこに行くかによって、その人の一生が変わってしまう」ことなど、読んでいて信じられない日本の現状が書かれている。

    一方イギリスでは、経済学者が心理療法士を育成することによる経済的効果を説き、労働党が選挙のマニュフェストに認知行動療法を据えた鬱病治療改革案を盛り込み、心理療法士を3年間で3600人育成する国家プロジェクトをスタートさせた。このことから、イギリスの心理療法士は国家資格取得者である。この話を読んで、日本人の自殺率は先進国の中でもトップクラスというデータを思い出した。イギリスではここまで理解があり、施策としてすでに実行されている。それでも日本は先進国と言えるか。

    本の中では「マスコミの認識不足と薬の副作用に関する情報システムに構造的な問題がある」ことも指摘されている。患者や医療機関、薬の情報共有、人との絆の構築にこそITの力が活かせるのではないかと考えさせられることが多かった。メディアはこういうことこそ伝えるべきだと思った。

    地震など、思いも寄らない事態により身近な人が心の調子を崩してしまうかもしれない可能性はいつだってある。そういう時に、自分も相手の状況を判断できるよう知識を持っていたいものです。

  • NHK取材班×宝島社という組み合わせが気にかかる。つまり、心配だと言うこと。読んでいる途中から、感じたこと…「あ、浅い」。

    これ読んだら、うつ病で薬呑んでいる人は、かなり不安になるでしょう。また、本書や番組で紹介されている病院に行きたくなるでしょう。つまり、患者の病をコントロールする力をかえって奪うことになりかねない書物である。それもテレビというインパクト力を運命に背負ったメディアから産まれた宿命か。

    薬の副作用ならば、いまや沢山の情報があふれている。認知行動療法についても同様。うつ病で悩み、学んできた人にとっては、新鮮かつ有意義な記述に乏しいと言える。

    うつ病に限らず、薬で完治する病気の方が少ないという事実は、どう説明するのだろう。

    以上、否定的なことばかり書いたが、もはや本書の内容は、「常識が変わる」ではなく、「常識」である。という意味で、時間があれば、押さえておく必要はあるかもしれない。

  • うつ病人口100万人。2人に1人は再発し、3人に1人は薬が効かない―“不適切”な投薬と診断の実態!医療現場の最前線から最新の成果を伝える。
    (「BOOK」データベースより)

    私はうつ病患者である。
    嘘だとお思いだろうか。
    「うつ病患者が本なんか読めるはず無い」と思われるだろうか。
    発症当初、私は活字が全く読めなくなった。両手に本を持って生まれてきたんだろうと思うくらいの本好きの私が、である。本どころじゃない。テレビもダメ。外に出かけるのも億劫。ただ寝ているだけで日が過ぎていく。

    2006年、初めて心療内科を受診した。知人に連れて行かれたのだ。
    しかし、症状自体はその2年ほど前から出ていたと思う。ただ、職場では必要以上に明るく振る舞ってはいた。周りが作った「私」のキャラクターを必死で演じていたように思う。
    けれど、一人になったとき。例えば通勤時など、赤信号で横断歩道を渡ろうとしたことが何度かある。別に辛いから死のうと思ったわけではなく衝動的な行動だったのが、今思うと非常に怖い。

    初めての受診から丸4年。いまだ完治に至らず、休職と復職を繰り返している。いい加減何とかしたいと思っていた矢先、本書に出逢った。

    初めて受診したクリニックでは、当初「うつ病は心の風邪みたいなものです。必ず治りますから、安心してくださいね」と言われた。正直、ホッとしたものだ。しかし、それから、ある時は「社会不安障害」と診断され、ある時は「非定型うつ病」と診断され、その度に薬の種類が変わり、量が変わり、不真面目な患者だった私は勝手に断薬などして、体調を崩したり、いろんなことがあった。そして、今年の初めに「入院しなさい」と言われ、別の病院を紹介された。言わばサジを投げられたようなものだ。

    入院先の病院の先生は、薬の量を見て「多すぎますね・・・」とおっしゃった。徐々にですが、減らしていきましょうね、と。その一言で、この先生は信用できるかも・・・と期待した。

    そう。抗うつ薬は文字通り「薬」にもなれば「毒」にもなり得るのだ。うつ病は「薬」のみでは絶対に治らない。それは経験からわかる。今、私は「認知行動療法」というものに興味がある。考え方のゆがみを見つけていかなければ、一時期は調子が良くなっても、再発する可能性はかなり高い。

    本書は、非常に有益な情報を与えてくれた。というより、とても勇気を与えてくれた。「あ、これ私だ」と思う部分があって、「こんな症状は私だけじゃなかった。この人はこうやって治していったんだね。」と、とても希望が持てたのだ。

    ただ、大切なのはクリニック(診療)のあり方。
    本書にも詳しく書かれているが、私も、実際に待合室で数時間待ったあげく、診察は5分ということが何年も繰り返された。話したいことはたぶんたくさんあるんだろう。けれど、待合室で待っている人数と診療時にも遠慮無くかかってくる電話。そういうものを見ていると、ゆっくり話すことが罪なように感じられてくる。そうして、いつも「どうですか」「変わりなく・・・」「じゃ、お薬出しておきますね。」で終わる。
    一日で何十人も診なければならない現状からすると、仕方のないことなのかもしれないが、これじゃ、治るものも治らない気がする。

    今は、少々落ち着いてきて、こうして本も読めるようになった。ときどきスランプに陥るけれど(もしかしたら双極性なのか?)。
    本が読めると、自分で情報を集めることができる。認知行動療法についてだって、勉強できるわけだ。
    けれど、実際にカウンセリングを受けるのとは全然違ってくる。
    この間、職場の心理士の方と話をしてみて、痛感した。私は話したかったのだ。いろんなことを。疑問に思っていること。自分の状況について考えていること。何が正しくて、何が歪んでいるのか。話を聞いて指摘して欲しかったのだ。これは一人ではできない。

    来月から、デイケアへの参加も考えているところ。やはり、一人での治療は難しい。私のように、生来の引きこもり体質を持っている人間は特にそうだ(苦笑)。同じ病気を抱えている方々と交流を持つことは、大事なことのよう。
    (しかし、かく言う私は一度デイケア参加を決意したが、1日で挫折した経験を持つ・・・。)

    うつ病まっただ中の患者の方が読むには少しハードルが高いと思う。うつ病患者の方のご家族や友人、職場の方などが読んでいただくと、とても有益な情報が得られるはずだ。薬による益と害。よい病院を見抜く方法。どのような課程で治療が進んでいくのか。現代の医療現場の問題点。

    第5章で、ある元うつ病患者の方がおっしゃっている。
    「うつ病は自分で治すものだ」と。
    厳しい言葉だ。胸に突き刺さる。
    でも、真実なのかもしれない。

  • この本は、何年もうつ病に悩まされている人の体験談や薬についての誤った処方の仕方について、医師もよく理解していないで処方していること、クリニックが乱立するわけなどが書いてあった。

    10年近くうつ病に悩まされる人がたくさんいること、うつ病と診断されたが実は双極性障害だった人がたくさんいることに驚いた。

    日本では薬による治療がメインで、海外では認知療法やカウンセリングを併用していることなどが書かれていた。いかに日本で薬による治療に頼っているかがよくわかった。

    初診でいきなり抗うつ薬を2種類以上出す医師もいる。抗うつ薬を複数のんで効果があるという治験結果はでていないらしい。2,3種類も抗うつ薬を処方するのは日本だけということだ。
    さらに、薬の副作用を抑えるために別の薬を処方し、原因がなんなのかわからない患者も少なくないらしい。

    ある患者が5箇所のクリニックに行って同じ症状を訴えたのに5箇所とも全く違う薬を処方されたそうだ。

    こういうことが起こる原因の一つにうつ病を見分ける方法のマニュアル化があるらしい。何項目かあってそれにいくつ以上あてはまるとうつ病ですと診断される。

    これはうつ病患者を迅速に判断するためのものだが双極性障害を判断することはできない。このことによって症状が悪化してしまう人もいるらしい。

    こういったマニュアル化の背景にはうつ病患者の増加があるが医師の未熟さも関係しているらしい。本来、患者を見なくてはいけないのにマニュアルとにらめっこしてあなたはうつ病ですねと診断をくだしている。

    うつ病患者が増えることによって儲けようとする医師も増えていることは嘆かわしいことだ。検査装置が必要なくデスクがあればクリニックを開設できてしまう。看護師も別にいらない。事務の人だけ雇えばいいから人件費もかからない。

    もちろん、うつ病に関して真剣に取り組んでいる医師がいることも忘れてはならない。現状検査ができないが脳の血流を見てうつ病可動化判断出来る装置を開発しているそうだ。まだ保険がきかないので高いのだが、今後に期待したい。

    みなさんも今かかっている医師が本当にいい医師か、薬の処方は適量か、副作用についてきちんと説明を受けているか確認してみてください。そしておかしいと思ったら転院も検討してみてください。

    一人でも多くの人が早く寛解できますように。

  • NHKスペシャルの本だけあって、テレビ的。

  • 2009年にNHKで放送された内容に追加の取材をしてまとめた本です。
    うつ病の患者数は10年前は4万人だったのが、いまではその2.5倍とか。
    医者によって出される薬はさまざま。病名もさまざま。。。

    後半は薬物治療の他に、認知行動療法やカウンセリングを治療に取り入れたイギリスの報告がありました。この治療では、再発率がとても低くなるそうです。

    現在の日本の情況がよくわかる本でした。一度お読みくださいね。

  • 2009年にNHKで放送された特集番組の書籍化。うつ病治療の課題について知ることができます。何かが変わるきっかけになって欲しいものです。図書館予約数は4(09/11/15現在)です。

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