さよならドビュッシー

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 2495
レビュー : 591
  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796675307

作品紹介・あらすじ

ピアニストを目指す遥、16歳。両親や祖父、帰国子女の従姉妹などに囲まれた幸福な彼女の人生は、ある日突然終わりを迎える。祖父と従姉妹とともに火事に巻き込まれ、ただ一人生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負ってしまったのだ。それでも彼女は逆境に負けずピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する-。『このミステリーがすごい!』大賞第8回(2010年)大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • ピアニストを目指して音楽学校に入学予定だった遥。
    ある夜、従姉妹のルシア、祖父と共に火事に遭い、全身に大やけどを負う。
    皮膚移植によって生き延び、壮絶なリハビリを経て松葉杖をついて高校に通いだす。
    ピアニストの岬先生に師事して一心にピアノに打ち込む中、周囲で次々と事件が起こる。

    真央ちゃんとのだめ以外にはクラシック知らないというくらい疎い私ですが、
    そんな私のよく聴く曲ドビュッシー「月の光」、そして私でも知っている有名曲「アラベスク」。
    普段はあまり音楽聴きながら本読まないけれど、今回は流しながら読んでみた。
    辛く悲しい事件、皮膚移植によってつぎはぎとなった身体、動かない指に辛いリハビリ、
    級友たちの嫉妬と羨望、そして次々と襲いかかる不幸。
    本編は辛いことの連続で決して明るい話ではないのに、ドビュッシーの曲と雰囲気が似ていて、
    読みながら情景が浮かんでくるようだった。

    少女が障害や偏見を乗り越えてピアニストになる成長記としても十分読み応えがあり、
    ミステリー要素いらないんじゃない?と思っていたんだけれど、このミステリーがすごい大賞をとっただけあって、最後はびっくりだった。
    何だかちょっと違和感を感じていたのは感じていたが…。
    哀しいなぁと思った。

    あと、岬先生と、進藤先生のキャラがちょっとかぶっていたような(笑)
    個人的には進藤先生の熱血医師ぷりが好きだったけど、脇役で終わってしまった。

  • 高校の音楽科に推薦で入学が決まっている遥。
    日本に帰国していて偶然難を逃れることができたが、いとこのルシアは津波により両親を亡くしている。

    ある日、仲のよい2人は祖父の家に泊まりに。
    その夜、祖父の趣味の部屋から火災が起こり、祖父とルシアは亡くなってしまう。
    全身に大やけどを負いながらも一命を取り留めた遥は、優秀な外科医による皮膚移植を受けて、「生きて、元通りの生活を送れるようになる」ことを周りから期待される。

    司法試験に合格した経歴を持ち、注目のピアニストである岬から指導してもらえることになり、ピアノのレッスンを再開しコンクールを目指すことになった遥だが、悲劇は終わったわけではなくて・・・。

    彼女を狙う何者かの存在を推理しながら、岬の音楽や学ぶことに対する姿勢、巧みな指導によってめきめきと力をつけていく遥の成長を微笑ましく見守る話には収まってくれない。
    知的な岬はすでに何かに気付いているようだが、一向に種明かしはされず、読みながらすでに曖昧にしようとしている自分がいる。
    祖父の残した膨大な遺産を狙った何ものかの犯行であるとすれば、あまりに単純すぎるか、などと思いながら読み進めていく。

    大火事・全身やけど・皮膚の移植とくれば雫井脩介の「虚貌」を思い出す。ずいぶん前に読んだとき驚きの連続で、単純だけれどミスリードされたトリックがやけに印象に残る話だった。
    大やけどの話の結末には、確かに導き出されそうな結論。
    驚きは薄いけれど、岬の語る言葉の魅力や前向きな結末、最後の最後に登場するタイトルの意味。

    作曲家の名前を冠した他の作品も大変気になります。

  • 終盤まで★★★★★
    圧倒的に引き込まれる「音楽スポ根」ストーリー。
    そして、あっと驚くどんでん返し。
    でも、この「どんでん返し」が余計だったなぁ、僕には。
    無茶苦茶面白かった、面白かったんだけど...

    『さよならドビュッシー』というタイトルと表紙の雰囲気から、勝手に『のだめカンタービレ』的なものを想像していたのですが、蓋を開けてみればコレ『大映ドラマ』じゃないですか。
    過酷な運命を背負った少女が、美形で天才の音楽講師と共にピアノレッスン。音楽学校でのいじめや、マスコミの好奇な目にもめげずに二人三脚でコンクールに挑む。
    筋だけ要約すると「ベタ」に思えますが、主人公を含む登場人物たちが魅力的で、それぞれの立場から発せられるセリフも含蓄があり、物語を豊かにしています。
    そしてなにより、演奏会をはじめとする音楽描写が抜群に巧いしすばらしい。登場するドビュッシーの〈月の光〉ではありませんが、本当に演奏の様子が映像として浮かび上がってきて、音楽まで聴こえてくるようです。

    これ「ミステリ」じゃなくて「音楽エンタメ」でよかったんじゃない? そう思うくらいどっぷりハマりました。
    面白かった、面白かったんだけど... 

  • 資産家の祖父を持つ16歳の遥。遥の両親は、スマトラ島沖地震で両親を亡くした姪のルシアを養子として迎える準備をしており、二人は本当の姉妹の様に過ごしていた。
    年齢も背丈も同じで、共にピア二ストになることを夢みている。

    ある日祖父が過ごしている離れで一晩を過ごす事になった遥とルシアだが、その晩離れは大火事に。全身大火傷を負いながらも一命をとりとめた遥。

    継ぎ接ぎだらけの皮膚、自由に動かす事ができない身体。周りの好奇な目や学校での虐め。
    そんな逆境にも負けずコンクールを目指して自分を追い込んでいく遥の周りに不穏な影が…。

    ピアノコンクールを目指している少女の話しなので当然、有名音楽家やクラシック音楽が盛り沢山登場してくるのでミステリー色が薄くなっている印象を受けた。だけどもそれは悪い意味では無い。
    クラシックは全然詳しくないので、今回の読書は作品に出てくる曲をYouTubeで流しながらというスタイルをとってみた。
    鍵盤をたたいて音を紡ぎ出していく作業がこんなにも激しいものだったのかと、初めてピアノを弾く人の気持ちに近付けた気がした。

    また、タイトルに出てくるドビュッシー。彼の名曲は遥が自分の集大成として選んだもので、物語と相まって切なく心に響いてくる。
    誰もがどこかで聴いた事があるであろう「月の光」「アラベスク第一番」今までも耳にする度に素敵な曲だとは感じていたけど、これほどまでに美しく感じたのは初めてかも。


    「周囲の思惑や勘違いで本来の自分とは異なる何者かにされるのは悲劇」

    物語の核心的なセリフですが、ごめんなさい、とても心に残る言葉だったので書かせてもらいました。

  • 資産家のお嬢様で、ピアノの特待生で、大火事で全身火傷を負うも奇跡の手術で生き延びて、多額の遺産を受け継ぎ、天才ピアニストの指導を受け、ぼろぼろの体でピアノに再挑戦・・・
    とまぁ、最大級の不幸と奇跡が連続した数奇な運命の少女のお話です。
    ラストを知ると余計にそう思う。

    岬洋介のキャラもすごくて、なんだかもうまいりました。
    主治医の新条先生がもう少しがんばってくれるかと思いきや出番少なかったね。

    遥も満身創痍でも逃げずに前を向き続ける姿勢や、現実に必死に向き合う態度は、背中を押して応援してあげたくなります。
    音楽の造詣は深くないけど、ピアノの技術や作曲家の薀蓄話も楽しめました。
    音楽にかける青春小説として充分おもしろい。

    ミステリー部分も、もう一度読み返したくなる感じで、どうして全然その可能性に思い当たらなかったのか・・・とある意味自分に愕然としました。
    ピアノの優雅な雰囲気とコンクールに臨む気迫に気を取られ過ぎたか。

    • まろんさん
      tiaraさんも岬先生にまいりましたか!素敵ですよね~♪
      中山七里さんのこのシリーズはもう、岬先生に逢いたい一心で読み続けています(笑)

      ...
      tiaraさんも岬先生にまいりましたか!素敵ですよね~♪
      中山七里さんのこのシリーズはもう、岬先生に逢いたい一心で読み続けています(笑)

      岬先生と同じくらい新庄先生も活躍してくれたら
      音楽版『エースをねらえ!』になったのに、と、私も思ったりしました(*'-')フフ♪
      2013/03/24
    • tiaraさん
      わたしも早速シリーズ2作目を予約してしまいました。
      岬先生クールでいいですよね♪
      新条先生はツンデレキャラが期待されたので、もっと絡んできて...
      わたしも早速シリーズ2作目を予約してしまいました。
      岬先生クールでいいですよね♪
      新条先生はツンデレキャラが期待されたので、もっと絡んできてほしかったなぁ。
      2013/03/24
  • 「このミス」大賞受賞作品だが、同賞を授賞している「四日間の奇蹟」を読んだ際にはちっともミステリ色がなく肩透かしを食らっていたため、あまり期待はしていなかった。(すみません)

    火事と、それが原因の苦痛の描写の凄まじさといったら半端ない。
    「中山七里さんが実際体験したのでは?」と思えるほどで、私自身までもが夢に見てしまうのじゃないか、と不安になってしまった(苦笑)
    ピアノを演奏する描写も(その曲を知らなくても)奏者の姿が目に浮かぶようで。
    ピアニストを目指す娘の話と思いきや、さすがそこは「このミス大賞」
    突然降って沸いたようなべらぼうな相続に伴ってミステリの様相を呈しぐいぐい作品の世界に引き込まれていった。
    途中でなんとなく犯人(?)は解ったものの、最後の最後でまさかの展開。
    いやぁ、ヤラれた。
    説明的な科白に少々鼻白んだところもあるけれど、それを差し引いてもなお余りある、胸の内にある深い感情までをもさらけ出す作風は、表現方法こそ違えど、演奏と重なるような気がする。

    音源があれば、ぜひ聴きながら読むといい。
    ショパンの激しさ、苦悩。
    ドビュッシーの美しさ、繊細さに、きっと胸が締めつけられるはず。

  • 岬先生とのレッスン内容や音楽高校の学費があまりにリアルで、経歴のところからはわからないけれど、中山七里さんはピアノをかなり長いことレッスンされていたんだろうな、と思う。

    すごく真面目に伏線を張ってあるので、ミステリーとしての筋立てはかなり早い段階で見えてしまうし、熟語の多用のせいで文章が固くなりがちなのがちょっと気になる。。。
    でも、中山さんの音楽への溢れんばかりの愛が感じられるし、なんといっても岬先生が素敵!ああいうレッスンができる先生でありたい。

  • ひっじょ~にっおもしろかったです!!
    「さよならラフマニノフ」よりはこっちの方がおもしろい!!
    ラストの展開の驚きに星5つ
    岬先生シリーズ1弾
    こちらも表紙がとても綺麗。曲そのものをイメージしてらっしゃるんでしょうが色の混ざり具合がとても素敵です。
    相変わらず曲からのイメージ力の豊かさに脱帽。
    全くついていけませんが、そこになにか豊穣なものがあるってことだけは
    感じられます。
    残念ながらクラシックの素養が全くないので音は聞こえてこないんですが・・・。

    最後の最後の展開はええっ!!!!?っと、そうだったのっ!!
    っとメッチャ驚きでした。
    彼女を狙っていたのはまあ、あの人しかいないよなーっとは思っていて、
    けど動機が全く思いつかなくて、どういう背景があるのかなーっと。
    そっかー最初の火事ってホントに事故だったんんだねえ。
    てっきりそっから事件で、部屋を入れ替わったから、ホントは遥ちゃんと
    おじいちゃんを殺すつもりだったのに、遥ちゃんが生き残ってしまった、
    とゆー感じなのかと。
    だからまた殺そうとしてるのかと思ったよ。そっかあ、元々事件じゃなかったのかあ。
    そこはホントに事故だったんだあ。なーるほどねえ。
    となるとほんっと不運とゆーか、なんとゆーか。
    遥ちゃん、もといルシアちゃんの身に続けざまにおこる不幸がひどすぎる。
    痛い、痛いよーーー!!
    でもさあ、最初の地の文は遥ちゃん目線。
    だから当然火事以降も遥ちゃんと思っていたけど、まーさかルシアちゃんだったとは。いやーかんっぜんに作者の思惑にはまったな。
    目からウロコ、寝耳に水。
    見事に騙された。
    まあ、アリかナシかと意見分かれるところかもしれませんが、
    私はアリ、ですね。ここまで見事にやられると逆に気持ちいいです。

    作中おじいちゃんや新条先生や岬先生がズバズバ放ってくる言葉が
    重くて重くて。なんかもう心にメモ、みたいな感じでした。
    すみません、逃げてばっかですみません~~っと内心平謝りな自分。
    が、ルシアちゃんはしっかりそれを受け止めて、んでもって
    痛くても苦しくても前に進もうとするとこが、もうすごくてすごくて。
    にしても、あの同級生3人組の卑劣っぷりはちょっとええ?こんな
    あからさまな悪意ってあっていいの??っと思うほど。
    個人的には不要な登場人物たちだったなあっと・・・・・。


    実写映画化されてるはずですがおもしろいのかな?
    小説とはまた違った味わいの作品になってそう。
    確か岬先生役はホントのピアニストさんが演じられた、ときいたような・・・・。機会があれば観てみたいな。

    でも、やっぱ岬さんは素敵ですねー。
    その強さに圧倒されます。
    シリーズ化するようなら他もよんでみたいな。

  • 鈍い私ですらトリックに気づいてしまったので、ミステリーとしてはちょっと弱いかも。
    青春音楽スポ根?ストーリーとしてなら読み応えあり。

  • (2015/10/8読了)
    岬洋介シリーズ第一弾。ずっと以前にブロ友さんのところで見かけてチェックしていた本。
    メインの登場人物達が若いこともあり、それほどミステリーには期待せずに、軽い気持ちでいたら、最後に大どんでん返し(古いっ?)を食らってしまった。
    今まさにピアノへの気持ちが膨らんでいるの時なので、作中の音楽をスマホのアプリで探して聞きながら読んだりして、その点でもとても楽しむのことが出来た。
    なかなか面白いので、シリーズのこの先も読んでみようと思う。

    (内容)
    ピアニストを目指す遥、16歳。両親や祖父、帰国子女の従姉妹などに囲まれた幸福な彼女の人生は、ある日突然終わりを迎える。祖父と従姉妹とともに火事に巻き込まれ、ただ一人生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負ってしまったのだ。それでも彼女は逆境に負けずピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する―。『このミステリーがすごい!』大賞第8回(2010年)大賞受賞作。

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プロフィール

中山 七里 (なかやま しちり)
1961年生まれ、岐阜県出身。男性。幼少の頃から読書が趣味で、高校時代から執筆を開始。花園大学文学部国文学科在学中に江戸川乱歩賞に応募したこともあった。
就職後は執筆から離れていたが、島田荘司を生で見た体験から執筆活動を再開。2009年、第8回『このミステリーがすごい!』大賞で『さよならドビュッシー』と『災厄の季節』の2作が最終選考にダブルエントリーされ、前者で大賞を獲得して48歳で小説家デビュー。後者も、「読みたい!」との声が続出したため、『連続殺人鬼カエル男』と改題し、2011年に文庫本として出版される事となった。
代表作に『さよならドビュッシー』などの「岬洋介シリーズ」、『贖罪の奏鳴曲』にはじまる「御子柴礼司シリーズ」。多くの作品が映画・テレビドラマ化されている。

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