最後の証人

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 259
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796676861

作品紹介・あらすじ

元検察官の佐方貞人は、刑事事件を専門に扱うやり手弁護士だ。そんな佐方の許に、かつて在籍した地検の所在地で起きた殺人事件の弁護依頼が舞い込む。高層ホテルの一室で起きた刺殺事件。物的証拠、状況証拠ともに、依頼人が犯人であることを示していた。男女間の愛憎のもつれが引き起こした悲劇。世間やマスコミの誰もが、依頼人に勝ち目はないと見ていた。しかし佐方の、本筋を見抜くプロの勘は、これは単純な事件ではないと告げていた。敗戦必至の弁護を引き受けた佐方に、果たして勝算はあるのか。やがて裁判は、誰もが予想しなかった驚くべき展開をみせる…。

感想・レビュー・書評

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  • 交通事故でムスコさんを失ったご両親。
    事故発生時ムスコさんと一緒にいた友達は、赤信号で横断歩道に車が突っ込んできた、運転手は酒臭かったと供述してきたのにも関わらず運転手は不起訴になる。
    捜査した警察に行ったり弁護士に相談したりお父さん頑張りますが状況変わらず、七回忌の日に偶然にも運転手を見かけたことで遂に復讐に動き出すご両親のお話。

    復讐の結果...
    あらゆる証拠から復讐劇の犯人は間違いなく有罪、その犯人から無実を主張しての弁護を依頼されたヤメ検弁護士 佐方先生。
    勝ち目のない裁判をどー戦うのか?
    最後の証人の出現で裁判はどーなるのか⁉︎

    面白かったです(๑˃̵ᴗ˂̵)

  • 「ザリガニの鳴くところ」を読んでいたら、妙に裁判モノが読みたい!という気持ちにかられて探していたところ、この本を見つけたので早速図書館で借りて読んでみた。
    話自体がコンパクトにまとまっていて、無駄がなく非常にテンポよく読める本だった。必要以上に話の本筋から逸れたエピソードが多いと読んでいてダルくなってくるのだが、そういったことを全く感じない本だった。300ページくらいあったが、ほぼ1日移動やスキマ時間で読んでしまうことができた。
    内容的にも十分楽しませてもらいました。プロローグ~中盤までも十分面白いのだが、中盤のある一文からガラッと見方が変わる。たぶんほとんどの人がそこで「ん?」となって思わずページを目繰り返すんだろうなと笑
    そこからのスピード感がたまらない。暴かれていく真実、タイトル通り「最後の証人」の登場により、被告人は追い詰められる。結末も気持ちの良い終わり方だったと思う。
    ただ一つ、個人的に疑問に思ったのは、主人公(被害者の夫)の気持ちの部分。思い描いていた結末は変わってしまったけど、主人公にとっては思いもよらない最高の結末だったはず。しかし、なんとなくその辺りの描写がモヤッとした感じのまま終わってしまった。
    とはいえ、これは本当に感じ方人それぞれだと思うので、良い作品という評価には変わりないです。
    読了後調べたところ、この本はシリーズ化されているとのことで、他にも何冊かあるらしい。今回の弁護士編ではなく、検事時代編の作品とのことで、こちらもまた読んでみたいと思います。また一人、おもしろい作家さんを知ることができました。

  • とにかく面白くてわずか3日で読了。著者の初期作品がこんなに面白いとは思わなかった。もっと早く手に取れば良かった。

  • 最初と最後では、犯人と思っていた人物がまるっきり逆で驚いた!
    たしかにどちらとも取れる表現をしていたのは、見事だった。
    犯人が姑息に隠蔽した罪も、佐方によって裁かれスッキリしてよかった。

  • 危なかった

    柚月裕子さんの作品を何冊か読んで
    毎回面白くて良く出来てるな〜とは思ってたんですがなんかこうどか〜んと突き抜けた感じはしてなかったんです
    平均点の高い作家さんではあるんだけどね
    というのが自分のこれまでの評価でした

    危なかった

    時間は有限なのでね
    他の作家さんで読みたい本はたくさんありますから
    柚月裕子さんはしばらくお休みでいいかな〜なんて思ってました

    危なかった

    本当は柚木麻子さんの本を借りようと図書館に行ったんですが
    なんとなく鮮やかな色の本書が目に飛び込んできて

    危なかった

    あれ、これこの図書館にあったんだ
    本当はこれが一番読みたかったんだよね〜

    危なかった

    ふ〜ん、ま、これもひとつの出合いだな
    と借りて帰りました

    危なかった

    どか〜んと来ました!
    良かったこの作品を素通りせずにすんで!

    「○○○」

    この一言で見事に全てがひっくり返りました
    あちゃーそう来たか!!
    というね
    すごい面白かったです!

    ありがとう柚木麻子さん!(そっち?!)

    • 土瓶さん
      ふむ。「危なかった」✕6 かぁ。

      そんなに危ないなら「あとで読む」にポチッとしとこかな。

      読みたい本が200冊超えそうな勢いで増えていく...
      ふむ。「危なかった」✕6 かぁ。

      そんなに危ないなら「あとで読む」にポチッとしとこかな。

      読みたい本が200冊超えそうな勢いで増えていく今日このごろ。
      2022/11/20
    • ひまわりめろんさん
      どしたの急にw

      全部読んでないけど柚月裕子さんの最高傑作はこれだと思っておりますよ
      どしたの急にw

      全部読んでないけど柚月裕子さんの最高傑作はこれだと思っておりますよ
      2022/11/20
  •  『素晴らしい!』の一言。
     読み終えてしばらくは鳥肌が治まらなかった。なんで今まで読まなかったのだろうという後悔と、読んで良かったという満足感で満たされている。
     私の中で柚月裕子さんと言えば『孤狼の血』で、好きな作家の一人だが、なぜか本書はなかなか手に取らずにいた。検察であったり弁護士であったり、なんとなく堅苦しい感じがしていたし、物語としてもそれほ魅力を感じなかったからだ。しかし、その考えは良い意味で見事に裏切られた。

     ヤメ検である佐方の元に弁護の依頼がくる。佐方は元検事で、今は優秀な弁護士だ。佐方が請け負う仕事は、報酬や勝算は関係なく、事件が面白いかどうかで決める。その相手となるのが若き女検事、真生。彼女は父親を心神喪失者に刺殺され、罪は罪として裁かれなければならないという信念の元、検事をしている。
     状況証拠、物的証拠は全て被告人が有罪であることを示している。佐方に勝算はあるのか。ここで、タイトルにもなっている『最後の証人』が重要な役割を担ってくる。

     さて、この本筋と並行して、ある事件を通した被害者の父親の視点からの物語がある。被害者は高瀬卓。小学生だ。塾の帰り、信号無視をした飲酒運転の車に轢かれ死亡。目撃者は一緒に帰っていた友人のみ。本来は起訴されるべき犯人は不起訴処分となった。
     この事件に不満を持った父親は警察に訴えに行くが、けんもほろろに追い返された。その犯人は公安委員長をしている人物だったのだ。警察や検事に事件を握りつぶされた夫婦は復讐を誓い・・・。

     この過去に起こった交通事故と今回の裁判がどう結びついていくのか。

     登場人物の心理描写もさることながら、物語の構成が素晴らしい。これが本当にデビュー2作目なのだろうか。過去の事件と現在の裁判を並行させながらも、最後まで誰が被告人であるか(途中でわかってしまったが)をわからせない仕掛けにも脱帽。
     そして、最後に必ず読者は救われる。
     

  • もう完全に感情移入してヤバかった。
    久々に泣きながらの読書。

    最愛の一人息子を事故で亡くし、加害者は名士の為、不起訴になるという理不尽。
    これ、こんな酷い話って!て思ったけど最近似たような事故が東京でも実際にあったな‥本当に酷い話。

    息子を失った夫婦の苦しみ。
    夫婦は一つの目的をやり遂げる為に同志となる。
    夫や妻の苦しみが細かに丁寧に描かれていて心が引き裂かれそうな辛い気持ちになった。
    特に、美津子が事件の朝、玄関を出て行く姿には涙腺崩壊。
    やっぱり息子と母ものには劇的に弱い。

  • 柚月さんの本は初めまして。
    読みたい!読みたい!と思いつつ、なかなか出会いがなく…
    ようやく読めました。

    ヤメ検の佐方貞人。
    殺人事件の容疑者でありながら無罪を主張する被告人の弁護をを引き受ける。
    有罪確定か?と思われた裁判。
    佐方が貫く信念。

    面白かった。
    シリーズ第2弾も読んでみたい。

  • 最後、高瀬(夫)が公言する「まったく身に覚えがありません」に、涙が止まりません。そうだよね。それしか言いようがない、けど。

    証言に関しては、丸山元巡査部長が、定年を迎えた後でよかった。もし、定年前で、お母様がご存命だったら(もし、7年前に守ったものがまだ残っていたら…、失う可能性がある場合は…)、と思うと、この結末は痛すぎる。悲しすぎる。
    きっと、佐方さんを許せないような気がする。それとも、その場合は、証人に選ばなかったでしょうか?(そんなわけないよね)
    真実とはいえ、こんなことで、丸山さんが犠牲になるのは辛いかもしれない。(おっと、これは仮定の話だから…)複雑な気持ちです。

    裁判の被告人がわかって、突然、気づく。美津子さんは自殺したんだと。そして、電話帳に体当たりする練習は、自分の胸にナイフを突き刺す練習だったのだと。何度も何度も繰り返す姿が脳裏に過り、涙が止まらなくなってしまった。

    もし、丸山さんが証言しなかった場合は、この裁判は(不本意ながら)敗訴という解釈であってますよね。真実は闇に葬られるか? あるいは、高瀬(夫)が何かをやらかすか? 気になります。

  • 法廷小説は、結構読みましたが面白かったです。辞め検の一見風采の上がらない弁護士が主人公。ありきたりなようですが、ラストに向かって、そうなんだ。なるほど、そういう事かとびっくりしました。著者の目の付け所に唸りました。

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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