おやすみラフマニノフ (『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
3.58
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本棚登録 : 1201
レビュー : 230
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796679015

作品紹介・あらすじ

秋の演奏会を控え、第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに、プロへの切符をつかむために練習に励んでいた。しかし完全密室で保管されていた、時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれる。脅迫状も届き、晶は心身ともに追い詰められていく。さらに彼らの身に不可解な事件が次々と起こり…。メンバーたちは、果たして無事に演奏会を迎えることができるのか。ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」がコンサート・ホールに響くとき、驚愕の真実が明かされる。

感想・レビュー・書評

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  • ドビュッシーの続編だけど、その後の話ではなく
    オーバーラップしてるところがなんか新鮮で楽しかったです。
    あの美鈴まででてきて、なんか実はいい子だったりして。

    岬先生は相変らずすごすぎ。
    彼のシリーズなのに自分のことは多くを語らない脇役に徹してて
    どんどん気になってきます。(笑)

    音大が舞台で、前作がピアノだったのに比べると、
    オケがメインなのでより多彩な音が聞こえてくる感じでした。
    特殊な世界なので、ホントにこんななの?ってびっくりすることも。
    晶もだめなのかと思いきやコンマスなれるくらいの才能あるしね。
    音楽描写はわからないなりにも迫力と疾走感があって
    流れるような文章にこっちが引きこまれます。

    ラストは少々物足りないなーと。
    最後「おやすみ、ラフマニノフ」ってしたかったのは、よーく分かるんだけど。
    初音のことが置き去りだし、なんかもう少し欲しかったです。

    ミステリー的には、犯人や血縁関係のところはわりと早くに想像ついたけど
    やっぱりミステリーとしてより、音楽にかける青春小説として読んじゃうんだよね。
    音大生のシビアすぎる夢と現実、犠牲を厭わない熱意とひたむきな努力と、
    底知れぬ不安と栄光と引き換えの孤独。
    そして音楽の血と才能を持つ苦悩と怖さ。
    すさまじく痛々しいけど、それだけ人を魅了できる音楽ってすごいんだな。

    • 円軌道の外さん

      またまたお邪魔します(笑)

      デビュー作にえらく感動して
      映画も観に行ったんやけど、
      この小説はまだ読めてないんで
      近々読ん...

      またまたお邪魔します(笑)

      デビュー作にえらく感動して
      映画も観に行ったんやけど、
      この小説はまだ読めてないんで
      近々読んでみたいと思います(^O^)

      自分も学生時代に音楽の魅力にとりつかれて
      いまだに同じメンバーでバンドやってるんで
      読んでてすごく共感できるし、

      音楽という表現を
      技術論ではなく
      誰にでも分かる魅力的な言葉で表せるところが
      この作者はスゴいって思ってます♪


      2013/04/08
    • tiaraさん
      音楽わかる人が読むときっともっとおもしろいでしょうね~。
      羨ましいです。
      こちらはみんなで奏でるオケなので、バンドやってらっしゃるならいろい...
      音楽わかる人が読むときっともっとおもしろいでしょうね~。
      羨ましいです。
      こちらはみんなで奏でるオケなので、バンドやってらっしゃるならいろいろ共感できそう。
      レビュー楽しみにしてます!

      ドビュッシーの映画も、美少女橋本愛が気になってて、観てみたいです。
      2013/04/08
  • 相変わらず、音楽への熱情が
    奔流となって押し寄せるような演奏描写♪
    音符が飛び交う表紙にも、譜面をイメージした扉デザインにも
    各章についた楽想用語にも、音楽への愛が溢れている。

    デビュー作『さよならドビュッシー』は、大怪我を負いながら
    ピアニストを目指す少女がヒロインだったこともあって
    かなり閉ざされた世界の中で物語が展開していたけれど、
    今回は音大の選抜学生オーケストラが舞台だったので
    主人公のコンマス 晶を始め、ヴァイオリン、チェロ、クラリネット、
    オーボエ、トランペットなど、さまざまな楽器奏者が登場して
    担当楽器の特性と微妙にリンクした性格設定などが楽しい。

    探偵役の岬先生も相変わらずのかっこよさ♪で、
    ラフマニノフのピアノ協奏曲のシーンでは、
    「え~、指揮だけ?岬先生なら余裕で弾き振りできるのに~!」
    ともどかしくなってしまったりして。

    音大生の中に歴然と存在する環境や才能による格差とか
    国公立大学の4年分より多い、1年分の学費とか
    物心つくかつかないかの頃から何万時間ものレッスンを積んでも
    音大に進んだ中の数%しか演奏家として自立できない
    音大生の就活の厳しい実態とか
    音楽に関わる人には涙なしに読めないリアルさも健在です。

    前作と同じく、伏線の張り方がとても几帳面なので
    犯人も、トリックも、晶の素性もかなり早い段階でわかってしまうけれど、
    台風から逃れた避難所で晶と岬先生が奏でた
    チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のように
    全身全霊で奏でた音楽が、誰かの胸に届いたか、
    それだけが音楽家の証である、という主張が素直に胸に響きます。

    冒頭のチャリティーコンサートでの岬先生の演奏に
    『さよならドビュッシー』のヒロインが聴衆の一人として耳を傾けていたり
    彼女をコンクールで罵倒しまくった毒舌女王(?!)の
    下諏訪美鈴のアルマジロ的かわいらしさが垣間見えたりして
    前作を読んだ人は、2倍楽しめる作品になっています。

    • まろんさん
      円軌道の外さん、そうなんです!

      音楽の描写が、演奏のテクニックに終始することなく
      演奏者がどのフレーズを美しいと思って弾いているのか
      どん...
      円軌道の外さん、そうなんです!

      音楽の描写が、演奏のテクニックに終始することなく
      演奏者がどのフレーズを美しいと思って弾いているのか
      どんなイメージや想いを伝えようと思っているのか
      そういう部分に重きを置いて描かれているのが
      素敵ですよね!
      『さよならドビュッシー』では憎らしいばかりだった毒舌女王、
      この本では、相変わらず毒舌ではありますが
      憎めない一面も見せてくれますよ♪

      2012/07/05
    • HNGSKさん
      コメントとフォロー、ありがとうございます。まろんさんが面白い、と書いている本に、何冊も興味がわいています。また読んでみたいと思います。

      私...
      コメントとフォロー、ありがとうございます。まろんさんが面白い、と書いている本に、何冊も興味がわいています。また読んでみたいと思います。

      私は、トリックも主人公の素性も全然分からなかったです。「兄弟!?」みたいな感じでした・・・
      2012/08/30
    • まろんさん
      あやこさん、こちらこそありがとうございます♪

      中山七里さんは、たぶんとても几帳面な作家さんなので
      伏線部分を破綻がないよう、ものすごく一生...
      あやこさん、こちらこそありがとうございます♪

      中山七里さんは、たぶんとても几帳面な作家さんなので
      伏線部分を破綻がないよう、ものすごく一生懸命書き込んでくれていて
      私の場合は、それがかえって「アヤシイ・・・」に繋がってるかもしれません。
      でも、「兄弟?!」と驚いたあやこさんのほうが
      きっと純粋で素敵な読み方をされたんだと思います!
      なにはともあれ、岬先生の出てくる本を、中山さんには量産してほしいものです(笑)
      2012/08/31
  • タイトルからして『さよならドビュッシー』の関連本だろうと、期待して読み始めました。
    岬先生シリーズ第二弾。彼が務める音楽大学で起こった、チェロ紛失事件から話は動き出します。
    今回は、ピアノではなく、ヴァイオリン科の学生が主人公。
    厳重に監視された部屋からストラディバリウスが忽然と姿を消すという密室犯罪。

    学生たちは、互いの不信にさいなまれながら、来たるべき演奏会へ向けて練習を重ねていきます。
    互いの音を共鳴させてハーモニーとしていく作業が必要な交響楽がなかなか形にならずにいるうちに、更なる謎の事件が発生。
    事件は混沌を極めます。

    前作でも感じましたが、やはり著者は、実際に演奏に携わる音楽経験者なのだろうと思います。
    愛好家レベルでは知り得ないような、細かいことまで把握している専門的情報量の多さ。
    知識はともかく、演奏に関する表現が多彩で、憧れと絶望に満ちたみずみずしさに圧倒されるばかり。
    音楽への深いこだわりがないと、とても作りえない作品です。

    演奏者の歩く時の体重のかけ方で、ヴァイオリニストの健康状態を見抜くなんて、なかなか考えつかないのではないでしょうか。

    ひとしきり流行った『のだめ』は、おもしろいもののギャグ要素が強かったため、この作品に登場する音大生のリアルさが好ましく感じました。
    音楽の道を目指す卵たち。
    その道は険しく、才能に恵まれた彼らながら、辿るのは呪われた人生かもしれないという不安に常に怯えています。

    著者の作品をこれまで2冊読み、おおよそ犯人傾向が読めてきたため、実はこの犯人は、かなり初めの時点から見当がついていました。
    犯人となる位置の人物配置傾向がなんとなく似ています。意外すぎて意外ではない人物が黒幕となるパターン。
    それでも、犯行動機まではさすがにわからなかったため、巧みに張り巡らされた伏線を後で知って、やはり巧みな構成力だと思います。

    第一弾も本作も、タイトルは最後のフレーズに込められている、ほろにがい内容を含んだもの。
    クラシック音楽という雅な世界ではありながら、商店街のとんかつ屋のおやじさんが粋で格好いいですし、ラストシーンでは『明日のジョー』を思い出しました。

    小さな引っ掛かりをすべて回収する点も、この作家の好きなところ。
    ただ、気になっていた初音の父親の件への言及はなく、本編と関係ない人物だったと最後に気がつきました。

    音楽好きにはお勧めのシリーズです。
    登場したなかで聴いたことのない曲目を、全て聴いてみたくなりました。

  • 音楽物って感動を誘うラストのものが多いけどこの話しはそんなことなくて容赦ない終わり。それはいいんだけど、ちょっと半端な終わり方だった気がする。


    前巻の『さよならドビュッシー』ほどの驚きはなかった。

  • 最後まで休まず読めたので、面白かったです。
    え?また主人公が犯人???
    と思ったら、違っていました。
    このシリーズは、そういう最後にひっくり返るところが好きです。

  • 音楽に関する小説はわりと好きだけれど、音楽を志す人たちを取り巻く環境の厳しさが伝わってきて、哀しかった。

  • 岬先生が今回も大活躍。なかなか、面白かった。ストラヴィバリウスが盗まれて、大騒ぎに。

  • 胸のすく話ではなかったな。
    楽曲に対する表現は前作から引き継がれ、息をのむようなものだったけれど。

    幸いにして(?)私は突出した才能などない凡人だから、
    この作品に登場するような、
    持ってしまった才能ゆえにそのほかのものすべてを犠牲にしてもかまわないという感覚が理解できない。

  • 前作「さよならドビュッシー」に続いて音楽もの。

    それなりには面白かったし、前作よりは嘘くささが少なかった気はするが、相変わらずのくどい説明、しらじらしい会話など鼻につく文章が多くて、どうもあまり好きになれない。
    密室の謎もどんでん返しも読み始めてすぐ予想できた通りの結末で、前作ほどのインパクトはなかったが、前よりは音楽の蘊蓄が少なくて読みやすかった。
    それでも演奏の描写はだんだんウンザリしてきてナナメ読みしがちになり、クライマックスの演奏シーンはほとんど眺めるだけという感じに。
    あっという間に読了したのも、そのナナメ読みが多かったからかも。

    私はどうも、この著者の文章が苦手らしい。

  • 音楽ミステリ-第二弾。前作の「さよならドビュッシ-」といい、演奏シ-ンが圧巻。音の渦に自分が巻き込まれていくような迫力。
    やはり謎解きの点では物足りなさがあるけれど、登場人物の心の葛藤や緊張感など、それを補ってあまりある魅力があると思う。

    この作品を読んでから、クラシックの聴き方が180度変わりました。
    登場した曲を聴きながら読み直したいな。

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著者プロフィール

中山 七里 (なかやま しちり)
1961年生まれ、岐阜県出身。男性。幼少の頃から読書が趣味で、高校時代から執筆を開始。花園大学文学部国文学科在学中に江戸川乱歩賞に応募したこともあった。
就職後は執筆から離れていたが、島田荘司を生で見た体験から執筆活動を再開。2009年、第8回『このミステリーがすごい!』大賞で『さよならドビュッシー』と『災厄の季節』の2作が最終選考にダブルエントリーされ、前者で大賞を獲得して48歳で小説家デビュー。後者も、「読みたい!」との声が続出したため、『連続殺人鬼カエル男』と改題し、2011年に文庫本として出版される事となった。
代表作に『さよならドビュッシー』などの「岬洋介シリーズ」、『贖罪の奏鳴曲』にはじまる「御子柴礼司シリーズ」。多くの作品が映画・テレビドラマ化されている。

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