婚活詐欺女 (宝島社文庫) (宝島社文庫 C い 7-1)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796679855

感想・レビュー・書評

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  • 虚言癖のある女をマネージャーにして苦労しつつ愛人2人と性行為にふける中年女性作家視点の小説。これは岩井志麻子『百物語』シリーズを読んでいると二重に楽しめるのではないかと思う。この虚言女、どう読んでもシリーズ常連の「あの女」だ。メタ的な意味でも、小説表現としても、リアルとフィクションが渾然一体となっていて面白かった。官能シーンと虚言女の奇行がサンドイッチ状態で提供されるのも刺激的だった。

    虚言女については、こんな奴いるよなぁと呆れながら読んだ。どこか哀れを誘う大人の問題児。自分もこの手の人物と関わったことがあるので岩井志麻子先生の気持ちが良くわかる。お笑い草のホラ話と分かっていても、つい聞きたくなってしまうのだ。この人なんでホラを吹くのだろうと純粋に興味深いし、ホラ話には彼らの悲しい現実が形を変えて投影されていて、ある意味では自作自演の「創作劇」でもある。

    彼らは自分のホラにうっとりしながら観衆に向けて役を演じている。観衆は他人だけではない。自分自身も観衆だ。結婚詐欺師は金を巻き上げるまでは被害者を幸せにしてくれるものだ。自分自身からチャンスと時間をもぎ取りながら虚言癖の人は夢をみている。自給自足の悲しい夢を。

    それだけなら無害のようだが、この小説のように周りの人間を「共同幻想の協力者」に仕立てようとするのが迷惑かつ厄介なのである。不思議なくらい自分のホラ話に騙されていて、他人には他人の人生があり現実がある事も気づいてない。例えば、虚言癖の人を面白く観察している暇人の現実とか。だからあんなに気持ち良さそうにホラが吹ける。彼ら彼女らはどこまで行ってもたった1人の宇宙にいるのだなと思う。

  • 読む価値なし。腐臭すらする過激なだけの性描写、自身をモデルにしていると思われる登場人物を美人作家と呼ぶ自己愛、俗耳になじんだ婚活詐欺事件を取り上げて関心を引こうとする浅ましさ。内容どうのこうのよりも、推敲したのか?と疑われても仕方のない駄文。ここまで粗雑で未熟な文章で金をもらおうとしていることに、作家としての品性を疑う。

  • 私、先生の大ファンなんです!
    そう近づいてきたリサは、半ば強引に人気作家・如月杏彩子のマネージャーになる。華麗な職歴やハリウッドスターとの恋愛遍歴など、リサが語る半生にはことごとく信憑性がなく、杏彩子はいつしか執筆中の連載小説のヒロインと重ね合わせるようになる。

    単調に進む話。どんでん返しがあるかと思いきや、普通に終わる。

  •  ああ、また「あの女」の話かってなった……。
     正直なところ、私には「あの女」の魅力が良く分からないんだろうなと思う。
     「あの女」に魅力を感じるのは、夢のある人じゃないかなぁ……?

  • うーん。。
    いつものパターン。

  • 婚活詐欺で練炭自殺に見せかけて連続殺人をはたらいた女と、エリート商社マンの旦那をバラバラにしてトランクに詰めて遺棄した女の話をベースに、嘘をつき続けてその場凌ぎで生きてきた女に巻き込まれた女の話を描いている物語。
    世の女性は嘘つき女リサみたいな女に、人生のうちで必ず何回かは被害に遭ったり巻き込まれたりしていると思う。また、程度の差こそあれ、そうやって場当たり的に嘘で固めて生きている女は結構いると思う。
    被害に遭って、本気でムカついて、はらわたの煮え繰り返るような思いをして、それでも正にそれは騙された自分に落ち度があったんだから「失恋のようなもの」とあきらめるしか方法はない。だって、そんな女は責めても、結局嘘を突き通すし、そんな一般常識のルールの中では生きていないのだから。
    そして、騙された女の方も、自分自身の中に、僅かなりとも媚を売ったり、手管を覚えたり、自慢したい虚栄心だったり、場当たり的に嘘をついたり、流れで相手に合わせたり、ミーハーだったりと、嘘つき女と重なる部分が存在すると自覚しているが故に、何処かで騙した女に100%の責任を負わせることができないという気持ちになる。
    結局嘘つき女は自分自身を鑑みるために遣わされた反面教師だと思うしかないんだと思う。
    でも、きっと、これって男性には分かりにくい人間関係の世界なんだろうな、と思う。
    何故なら男は騙されたら騙され通すし、騙されない時はキッパリ騙されないから。そして、相手の嘘を見破りながらもそれを共有してしまうのが女なんだと思う。

  • 話題の結婚詐欺女をモデルにした話かと思ったら、後半部分はそうでもなかった。
    このような女性の解釈は色々あるでしょうね。
    (図書館)

  • ノンフィクションかと思ってしまったが、フィクションである。結末がイマイチ、がっかりだったが、とても面白かった。ただ、かなりエロい内容ではある

  • ほんとに、ぞーーっとする、ほんとのような嘘のような話。
    岩井さんは「裏にひそむ狂気」をえがくのが上手いと思いました。

    岩井さんのほかの作品も読んでみたくなりました!!

    ですが、エロティックな表現も多いので、注意です。

  • 今流行のあの事件がテーマの創作ですが以前読んだエッセイにこの話のモデルになったエピソードが出てくるので虚実ない交ぜ感覚が更に加えられていてそれが素晴らしい。

    モデルになった人(事件の方ではないよ)今何やってるんだろうなあ・・・。

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著者プロフィール

岩井志麻子 (いわい・しまこ)

岡山県生まれ。1999年、短編「ぼっけえ、きょうてえ」で第6回日本ホラー小説大賞を受賞。同作を収録した短篇集『ぼっけえ、きょうてえ』で第13回山本周五郎賞を受賞。怪談実話集としての著書に「現代百物語」シリーズ、『忌まわ昔』など。共著に『凶鳴怪談』『凶鳴怪談 呪憶』『女之怪談 実話系ホラーアンソロジー』『怪談五色 死相』など。

「2023年 『実話怪談 恐の家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岩井志麻子の作品

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