【映画化】完全なる首長竜の日 (『このミステリーがすごい! 』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
3.18
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本棚登録 : 1450
感想 : 356
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796679909

感想・レビュー・書評

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  • リモートデスクトップ先からリモートデスクトップすることを連想する。それにしてもクラインの壺は偉大だなぁ。

  • 3.17/1402
    内容(「BOOK」データベースより)
    『植物状態になった患者と、コミュニケートするための医療器具「SCインターフェース」が開発された日本。少女漫画家の淳美は、自殺未遂を起こして数年間意識不明に陥っている弟の浩市と対話を続けている。「なぜ自殺を図ったのか」という淳美の問いかけに、浩市は答えることなく月日は過ぎていた。そんなある日、謎の女性からかかってきた電話によって、淳美の周囲で不可思議な出来事が起こりはじめる…。『このミステリーがすごい!』大賞第9回(2011年)大賞受賞作。』

    冒頭
    『昔は、イジュという樹の皮をすり潰して使っていた。
    でも今は、青酸カリを使う。
    その方が手間が掛からないからだと、晴彦伯父さんは言っていた。』


    『完全なる首長竜の日』
    著者:乾 緑郎(いぬい ろくろう)
    出版社 ‏: ‎宝島社
    単行本 ‏: ‎305ページ
    映画化(2013年)

  • 【感想】
     今、センシングという技術が出てきたところ。まあ、始まったばかりです。
     たぶん、だんだん現実とそうでないものの境界があやふやになっていく話なんやろなと思う。こんなんが出てきたら。
     昏睡状態にあるのは弟なのか、もしかしたら主人公なのか。漫画家としての彼女の人生も、編集者もアシスタントも、弟すらも実在しているのかどうか? とか。うっかりしたら主人公自身が夢の人物やったり?
     完全なる仮想現実は現実とどこが違うのか。という命題が以前からあるけど、とりあえず何も違わないという結論になってると思う。正直、これは考え始めてしまうと終わらない。だからこの話もホントにこれで終わり? という終わり方をするのではないかと想像してる。
     このあとどんな展開になるかまだ知らないので結果的にネタバレになってたらスンマセン。追加する何かがあったら書き直しますが。
     読み終えましたが、展開以外の細部がよかったなあという印象。

    【一行目】
     昔は、イジュという樹の皮をすり潰して使っていた。

    【内容】
     センシングという技術で夢的世界を介し、自殺未遂をして昏睡状態にある弟の浩市と会うことを重ねる女性漫画家。

    ▼プレシオサウルスについての簡単なメモ

    【相原英理子】コーマワークセンターの精神科医。
    【井荻の爺さん】母方の祖父。若い頃「カンカン虫」をやりその後警察官になり、退職してからラーメン屋を始めた。家族、親戚中から嫌われていた。
    【SCインターフェース】スティモシーバーの略で脳のマンマシンインターフェイス。
    【榎戸】センシングの技術者。
    【和淳美】主人公。少女漫画家。「ルクソール」という漫画を「別冊パンジー」に十五年間書いていたが打ち切りになった。
    【カンカン虫】船に付いた赤錆を掻き落とす仕事。曾祖父が若い頃にしていた。
    【木内一雄】砂浜で金属探知機を使って宝探ししていた高校生くらいのカップルの男の方。岬が考えつつ名前を作っていたようなので本名ではなさそうだ。まあ、普通アナグラムかな。
    【浩市】弟。自殺未遂をして昏睡状態にある。今はコーマワークセンターに入院している。
    【コーマワークセンター】浩市を入院させているセンシングを行うことができる国内唯一の施設。コーマとは昏睡の意味らしい。
    【沢野】編集者。
    【島】母方の実家がある奄美諸島かその近辺の島。
    【杉山】編集者。淳美とともに「ルクソール」という作品を二人三脚で育て上げた。「ルクソール」は二人の間にできた子どもだという表現があるし、淳美は杉山のことが好きだったのだろう。副編集長だったが漫画雑誌発行部数減少の折、漫画文庫へ異動になった。
    【青酸カリ】「島」で、潮溜まりに毒を流して魚を弱らせて獲る漁法がありそのとき今では青酸カリを薄めて使っている。かつてはイジュという樹の皮をすり潰して使っていた。いちおう毒物なので危険だと知らせるために赤い旗を立てていた。センシングが出てくるまではこの話は青酸カリその他による毒殺ミステリかなと想像してた。
    【センシング】昏睡状態にある患者とコミュニケーションを取ることができる技術。夢か現がわからない世界で出会い会話をする感じ。淳美はこれで浩市とのコミュニケーションを取っている。リアルにこんな技術があるかどうかは知らないが、聞いたことがないのでたぶん創作なんやろうと思うが? もし創作なんやったらSFミステリってことになるかな?
    【武本】コーマワークセンターの看護師。淳美のファンだと言う。
    【仲野由多加/なかの・ゆたか】淳美のマンガのファン。学校でいじめられ自殺未遂した後亡くなった。しばらくコーマワークセンターに入院してセンシングしていた。
    【仲野泰子】由多加の母。
    【晴彦伯父さん】祖母の兄なので本当は大伯父だが伯父さんと呼んでいた。
    【フィロソフィカル・ゾンビ】センシングのとき現れる内面のない人格。RPGでいうところのNPCってとこか。「ココハ○○の町デス・・・」
    【プレシオサウルス】何を象徴しているのかと言えば、やはり胡蝶の夢かな。現実と主人公をつなげるのではなく、夢と主人公をつなげているのだと思う。
    【別冊パンジー】淳美が「ルクソール」を十五年間連載した少女漫画雑誌。
    【真希】府川真希。アシスタント。スクリーントーンを貼るのが巧くて速い。画力も高い。
    【岬】金属探知機で宝探しをしていた高校生くらいのカップルの女の方。たまたま? 淳美の書いたマンガの主人公と同じ名前。
    【猫家/みゃんか】晴彦伯父さんの家の屋号。島でも一等貧しい家で、猫が住むような小さな家に住んでいるからという意味の呼び名。この辺の設定は面白そうだったがあまり生かされなかったかな。
    【ルクソール】マンガのタイトル。岬という名の女の子が何度も転生しながらひとりの男の子への恋心を貫き通す。杉山と一緒に始め十五年間続き最終回を迎えた。

  • 2020.11.8-341

  • 最後もぞくりとするような終わり方。私の見ている現実は本当に現実なのか、、夢の階層という意味ではインセプションみたいな感じだなぁと思ったが、これは人の魂の行方の疑問をもとに作り上げられているものだなと思った。
    自分も本を通じ現実と思っていたので、最後の最後でまさかまさかと混乱になりそうで、どこから?!と読み直してしまいました。
    読後、ちょっと休憩のいるある意味強烈などんでん返しのミステリーでした。

  • なんか、タイトルから、勝手にファンタジーだと思っていたのだけど、違った(笑)。
    というか、正確には、ファンタジーはファンタジーでも、SFだった。
    途中から、主人公の方が昏睡してるんだろうな~というのは読めたけど、そんなレベルじゃなくて、何重にもネジレが生じてて、結局最後まである意味理解のできない、霧中のままに終わった感じでした。
    これを構成できるのはすごいなぁ。

    ところで。物語を読み終わった後でタイトルを見直してみたら。英語タイトルが、物語内でキーとなる作品がモチーフにされてた!

  • 名作が他にもたくさんある題材でデジャヴ感は否めなかった。夏の離島や首長竜の淡々としたイメージには惹かれたけども、そもそもの起因となる淳美周りの出来事は俗っぽいし類型的で残念な感じ。

  • 2011年 第9回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作品。

    自殺未遂によって昏睡状態に陥った弟・浩市と最新技術でコミュニケートし、過去を探る少女漫画家・和淳美の物語。

    SCインターフェースという機器を用い、センシングという意識下での会話を続ける淳美と浩市。

    センシングを続ける中、不可解な現象の出現、現実と夢とが交錯し、自分が分からなくなっていく淳美。

    姉弟の過去には意外な結末が待っていた。


    タイトルの意味の深さを感じます。
    現実と夢との世界を浮遊し続ける主人公に、読者も翻弄されていきます。

    岡嶋二人の「クラインの壺」を思い浮かべました。

    楽しく読了。

  • 植物状態になった弟の意識に、SCインターフェイスを使ってアクセスする淳美。スーラの絵のような静けさがある文章。一度では理解が及ばなかった。

  • 胡蝶の夢というテーマが好き。
    この作品に漂う暗さはなんとも印象的でまるで映画を見ているようだった。

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。小説家・劇作家。2010年『完全なる首長竜の日』(宝島社)で第9回「このミステリーがすごい!大賞」を、『忍び外伝』(朝日新聞出版)で第2回朝日時代小説大賞を受賞しデビュー。2013年『忍び秘伝』(文庫化タイトル『塞ノ巫女』)で第15回大藪春彦賞候補。近年は作品の英訳版が発売され、中国のSF雑誌にも掲載されるなど、海外での評価も高い。『機巧のイヴ』シリーズ(新潮社)、『見返り検校』(新潮社)、『僕たちのアラル』(KADOKAWA)、『ツキノネ』(祥伝社)、『ねなしぐさ 平賀源内の殺人』(宝島社)など、著書多数。

「2020年 『ドライドックNo.8 乾船渠八號』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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