【映画化】完全なる首長竜の日 (『このミステリーがすごい! 』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
3.18
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本棚登録 : 1450
感想 : 356
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796679909

作品紹介・あらすじ

植物状態になった患者と、コミュニケートするための医療器具「SCインターフェース」が開発された日本。少女漫画家の淳美は、自殺未遂を起こして数年間意識不明に陥っている弟の浩市と対話を続けている。「なぜ自殺を図ったのか」という淳美の問いかけに、浩市は答えることなく月日は過ぎていた。そんなある日、謎の女性からかかってきた電話によって、淳美の周囲で不可思議な出来事が起こりはじめる…。『このミステリーがすごい!』大賞第9回(2011年)大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • どこまでが夢でどこまでが現なのか最後まであやふやであったので始終混乱しながら読んだ。

    どう言うことなのか何が起きて居たのか、何を狙っていたのかは大体わかったけど、よく分からなかった。

    そういう感じ

  • まだ多感な少女だったころ。(少女の前に美という字がつかないのがカナシイけれど)
    この世は、実は誰かが見ている夢で
    私はその中でチェスの駒みたいに動かされてるだけじゃないの?
    ある朝目覚めたら、家族も友達も幻のように消えて
    何もないまっしろな空間がぽっかりと拡がっていたらどうしよう。。。
    なんて考えて、怖くて眠れなくなってしまうことがありました。
    そんな怖さ、寄る辺なさを思い出してしまう本です。

    自ら死を選び、植物状態となった弟と
    「センシング」というシステムで意思の疎通を図る姉。
    コミュニケーションを拒むかのように、夢の中で何度も
    ピストルをこめかみに当てて引き金を引く弟。

    幼い日、夏を過ごした南の島で、潮溜まりに薄めた青酸カリを垂らし
    弱って浮き上がってきた魚を掴まえて遊んだ記憶。
    「この場所は危険」の目印に、潮溜まりに突き立てられた棒切れにたなびく赤い旗。
    クラクラするような暑さの中で、船底についた錆をひたすら叩くカンカン虫。
    砂浜を奇妙な機械で宝探しして見つける、小さな金属製の首長竜。

    死や絶望、喪失の匂いを振り撒き続ける小道具たちの鮮やかなこと!
    読んでいる間ずっと息苦しくて、まるで白昼夢に迷い込んだよう。

    遠い昔、地球上に確かに居たのに、「こんな恐竜がいたはずがない!」と
    祖父に破り捨てられた絵の中の首長竜のイメージに重ねて
    存在の危うさに震えながら、
    「私はここにいるよ!」と必死で手を伸ばしているようなヒロインが哀しい。

    読後感の爽やかな作品のほうが好きという方や物語世界に引きずられやすい方は、
    エネルギー充填120%!と言えるくらい元気な時に読まれたほうがいいかもしれません。

  • キーワードは"胡蝶の夢"。植物状態の人間と意思疎通を図り,自殺未遂の真相を探る。
    迷宮に迷い込み,夢か現実か分からなくなる。首長竜の背に乗って消える幻。残るのは辛い現実。

  • これ、ミステリーじゃないよね。
    SFでしょー。
    それはさておき。
    面白く読めましたが新鮮味がなかったかな。
    現実と妄想の世界の交錯とか脳内世界へのアクセスとか。
    何しろ途中からオチが見えてしまったのが残念。
    もうちょっと読者を煙に巻いたまま引っ張って欲しかった。

    読みながらゾワゾワする感じもあったし、スピード感もあった。
    それに首長竜って個人的に好きで萌えた(笑)
    いわゆる恐竜よりも首長竜ってところがいい!
    少年に首長竜ってあうよね〜。

    この本を映像化しようと思ったのはすごい。
    設定もストーリーも全然違うみたいだけど、見てみたいなぁ。

    • 九月猫さん
      vilureefさん、こんばんは♪

      わざわざ検索のお手間をおかけしてしまったようで(;^_^A
      ちゃんと書けばよかったですね。ごめ...
      vilureefさん、こんばんは♪

      わざわざ検索のお手間をおかけしてしまったようで(;^_^A
      ちゃんと書けばよかったですね。ごめんなさい~!

      そうなんです、景山民夫さんの作品なんです。
      景山さんってこういうのも書かれるんだーと当時とても驚きました。
      まっき~♪さんのコメントも拝見させていただいて、
      「景山民夫なのに泣ける内容というのが、ちょっと悔しいような。」に笑いながらも共感です。
      アニメは残念ながら観ていないのですけれど(^^;)

      「のび太の恐竜」いいですね~♪
      ドラえもん、なぜか大人になってからのほうが好きになりました。
      声優さんが変わられてから観なくなったので、たまに観ると未だ違和感が(笑)

      2014/02/13
    • vilureefさん
      まっき~♪さん

      サリンジャー、熱狂的な人気ありますよね。
      ライ麦も以前読みましたが、全然ホールデンに共感できず。
      10代のころに読...
      まっき~♪さん

      サリンジャー、熱狂的な人気ありますよね。
      ライ麦も以前読みましたが、全然ホールデンに共感できず。
      10代のころに読めば違ったのかしら?などと思ったりします(^^;)



      2014/02/17
    • vilureefさん
      九月猫さん

      景山民夫、テレビの印象しかありません。
      一つくらい読んでみないといけませんね。
      外見から判断してはだめですね(^^;)...
      九月猫さん

      景山民夫、テレビの印象しかありません。
      一つくらい読んでみないといけませんね。
      外見から判断してはだめですね(^^;)

      そうですよね~、ドラえもんと言ったら大山のぶ代ですよね!
      2014/02/17
  • 読み終わると、現実と夢の区別がつかなくなるような不安定な酩酊感にとらわれる。
    今私がここにいること、身の回りにいる人は本当に存在しているのか、たしかに現実だと思うけれども、でも明け方に見る夢のリアルさを思うとそれもまた心もとない感じがしてくる。

    〇〇賞受賞とかそういうことで本を選ぶことはしないので、この本も冒頭を立ち読みした時点では読む気はなかった。
    しかしテレビで著者がインタビューに答えているところを見て、その考え方が面白いなと思ったので読んでみたのであった。

    あちこちの書評を見ると、ミステリーっぽくないとかオチが見えたとか、そういう点で評価が低くなっているようだが、謎解きだけがミステリーじゃないと思っているので私は気にならなかった。
    それよりも、めまぐるしく入れ替わる現実とSCインターフェースの描写が、激しい酩酊感をもたらしてきて、惑溺してしまう。

    「ミシンとこうもり傘」、マグリットの「光の帝国」などの、シュルレアリスムの用語が出てくるあたりが、この小説のカラーをなんとなく物語っているように思う。

    おのれの既成概念を激しくゆさぶるという意味では大変充実した読書体験をさせてもらった。時代小説の方も読んでみようかな。

  • すごく完成された物語に感じた。「第9回このミス大賞作品」まだ読んだことのない人は良いな。読みやすくて、上質な物語。(自殺というkey wordがあるので敏感な方は注意)

    犯人探しとは違うミステリー。引き込まれる引力のある物語。主人公の日常と意識世界の曖昧さは精神のあやふやさを表現しているし、ポゼッションやフィロソフィカルゾンビの存在から物語は一気に加速し濃さを増す。
    そして意識は階層がある、これで終わらない。時間の流れや過去未来もない。情報も操作され何が正しいと思い込んでいるか分からない。まるで永遠に続く罰のよう。

  • 今まで読んだ「このミス」大賞作品の中では面白いほう。
    厳密には☆3.5かな。
    後半は良かった。

  • ミステリーといえばミステリーなんでしょうけど、SFだなぁ。
    「胡蝶の夢」の、蝶になった夢を見ていたのか、蝶が見ている夢なのかというのが、
    この物語を端的に示しているのですが
    センシングとやらの夢世界もあって、なかなか複雑。
    島の磯の描写とか、プレシオサウルスとか、幻想的な雰囲気は好きだな。
    夢なのか、センシング中なのか、妄想なのか、記憶なのか、現実なのか。
    なかなかスリリングでおもしろかった。

    結局自殺の理由はそうなるのか。
    結局、どこまでも夢なのか。
    しかし、最終的なカタルシスを感じられなくて、なんかもやっとする。

  • 思えば私も、ここにいる自分の身体が自分自身なのか、意識だけ浮かんでいて身体を持っているのだと錯覚して夢の中で過ごしている気になっているのではないか?などと考えていた時期があった。
    記憶の迷宮、凄い小説に出会ってしまったものです。言葉にできない私の感覚に似たものをよくぞ紡ぎ出してくれた!

    沼の水面に出来る小さな泡が人の一生涯だとしたら、空気を孕めず泡さえ作ることの出来ない沼の他の水の分子たちはいつやって来るとも知れない『生命』に巡り合える事も無く永遠を過ごしてゆくだけなんだと。そんな戯言を並べた作文を昔書いた記憶も蘇りました。

  • 先が読めないのでどきどき、

    満場一致で大賞決定の作品らしいです。
    期待は裏切りませんでした。よい、

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。小説家・劇作家。2010年『完全なる首長竜の日』(宝島社)で第9回「このミステリーがすごい!大賞」を、『忍び外伝』(朝日新聞出版)で第2回朝日時代小説大賞を受賞しデビュー。2013年『忍び秘伝』(文庫化タイトル『塞ノ巫女』)で第15回大藪春彦賞候補。近年は作品の英訳版が発売され、中国のSF雑誌にも掲載されるなど、海外での評価も高い。『機巧のイヴ』シリーズ(新潮社)、『見返り検校』(新潮社)、『僕たちのアラル』(KADOKAWA)、『ツキノネ』(祥伝社)、『ねなしぐさ 平賀源内の殺人』(宝島社)など、著書多数。

「2020年 『ドライドックNo.8 乾船渠八號』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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