さよならドビュッシー (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 7970
レビュー : 1175
  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796679923

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ〜
    改めて読み直したけど上手い!


    ピアニスト版「エースをねらえ!」とも言うべき
    学園スポ根ストーリーが
    今の時代なぜか新鮮だし(笑)


    新人とは思えない
    ストーリーテリングの確かさと
    細かな情景描写。


    優れた音楽小説でありながら、
    ミステリーとしても
    素晴らしい仕掛けを併せ持っていて
    グイグイ読ませます♪
    (ミステリーのオチだけでみると、ちと弱いけど…)



    しかし音楽小説は
    本当に難しい。


    演奏シーンがダラダラしていたり説明過多になり過ぎると、
    いくらストーリーが良くても
    それだけで魅力が半減してしまうし
    今まで積み上げたものが
    全てウソに見えてしまう。


    しかしこの作品の売りは
    その演奏シーン。


    受け売りの技術論ではなく、

    音楽は演奏者の
    「意志のカタチ」だということを、

    空気を震わせ
    やがて消えていく
    音楽というものの本質を、
    本当に良く解っている作者なんだと思う。


    だからこそ
    切れ味鋭く、
    緊迫感に富んだ演奏描写は
    読む者の心を強く惹き付け、


    聴こえるハズのない
    ドビュッシーの「月の光」の美しい旋律までもが
    誰もの耳に鳴り響いてくる。



    自分という存在を抹殺し、
    自ら安息と自由を捨て、
    その上で恐怖と絶望の中から立ち上がろうとする
    一人の少女の姿、


    そしてその人間が奏でる音楽に
    本当に胸が熱くなりました。



    人間を闇から救う
    本当に必要なものは、

    抗う意志のチカラと、
    運命とやらに一矢報いる
    反逆精神なんだということも
    教えられたような気がします。



    全身大火傷から復活するための
    地獄のリハビリ。


    同級生の嫉妬から
    イジメに遭い、


    マスコミからも叩かれ、
    遺産相続争いにも巻き込まれ
    命を狙われる少女。

    打たれても
    打たれても
    それでも彼女がピアニストを目指さなければならない
    本当の理由とは?


    ラストに訪れる
    大どんでん返し。

    そして解る
    タイトルの意味。



    読む者に
    闇を振り払い
    闘う勇気をくれる、
    切なくエモーショナルな音楽小説です♪



    期待の新人女優・橋本愛を主演に迎え、
    岬洋介役に
    現役ピアニストの清塚信也というキャストで贈る
    現在公開中の映画版も
    低予算ながら音楽映画としては
    なかなかの出来♪

    • kwosaさん
      円軌道の外さん!

      お久しぶりです。
      本棚のほうにもコメント、ありがとうございます。

      みなさん、映画版をご覧になったんですね。
      僕も劇場の...
      円軌道の外さん!

      お久しぶりです。
      本棚のほうにもコメント、ありがとうございます。

      みなさん、映画版をご覧になったんですね。
      僕も劇場の予告編で観て、気になっていたんです。

      橋本愛、いいですよね。
      地元のケーブルテレビで、たまたま『桐島、部活やめるってよ』のプレス向けインタビューをみたんですけど、本来の意味でのカリスマを感じて魅かれました。
      ひさびさに「映画女優」が現れたなぁ、って感じです。

      『桐島』映画版、 円軌道の外さんと語り合いたいなぁ。
      橋本愛の他にも、ドコモのCMで桑田佳祐のバックダンサー役だった娘とか、『ビブリア』ドラマ版で小菅奈緒をフッた西尾役の男子とか、芸達者がたくさんいて見応えありましたよ。

      なんだか『桐島』と橋本愛の話になってしまいましたが、映画版も観てみようと思います。
      2013/02/19
    • 円軌道の外さん

      まろんさん、
      ここにもコメント
      ありがとうございます!

      あっ、それは確かにあるでしょうね(^_^;)

      原作が人気作だ...

      まろんさん、
      ここにもコメント
      ありがとうございます!

      あっ、それは確かにあるでしょうね(^_^;)

      原作が人気作だけに
      それぞれのイメージがあるし
      勝手な映画化で
      壊されたくないって感じなんかな〜



      あっ、指使いは
      違和感なかったんですね(笑)

      自分は20年以上バンドやってるんで
      音楽ドラマや映画は
      必ず無意識に
      指使いチェックしてしまうんスよね〜(笑)(^_^;)


      役をやる以上は
      最低限なりきって欲しいし、
      それらしく見せる努力をして欲しいですからね。

      2013/02/23
    • 円軌道の外さん

      kwosaさん、ありがとうございます!


      橋本愛は
      いまどきの若い女優には珍しい
      あの媚びない暗さが
      いいですよね(笑)...

      kwosaさん、ありがとうございます!


      橋本愛は
      いまどきの若い女優には珍しい
      あの媚びない暗さが
      いいですよね(笑)(^O^)

      自然体やし
      クールビューティーやし。


      ドラマもいいけど、
      できれは映画でしか観れない
      スケールの大きい女優に
      育って欲しいなぁ♪



      「桐島、部活やめるってよ」は
      ホンマ観たいんスよ〜(笑)

      かなり評判いいみたいやし、
      吉田大八監督は
      「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」でかなりハマったんで(笑)、
      余計気になってます(^_^)v


      てか、生徒役にも
      かなり
      いい人材が使われてるんスね〜♪

      また観たらレビュー書きますね!


      2013/02/23
  • “ピアノに関する限り、彼は本物の魔法使いでしかも悪魔だった。”

    再読。
    だいぶん前に読んで感想を上げそびれ、読み返していた本作。
    2回目ながら面白かった。

    *****

    音楽家への推薦も決まった遥は仲良しの従姉妹と祖父とともに火事に遭う。
    従姉妹と祖父は亡くなり、命は助かったものの、大火傷を負う。
    顔、全身の皮膚が手術により移植され、顔はほとんど元の状態まで治してもらえたが、大火傷が残した様々な障害に苦しむ。
    指、腕が満足にうごかせぬことでピアニストになることができなくなったと絶望するが、ピアニストの岬洋介によるレッスンを受けることができることになり、再びピアノに向き合うことに。
    そんな中、祖父の遺言が公開され、遥の周囲に不穏な出来事が続く…。

    *****

    火事が起きたことにより、穏やかな日常が一気に崩れてゆく。
    火事の描写により、頭の中には激しい炎が浮かび、それまでの楽しい雰囲気が一変する。

    命は助かったものの、大好きな従姉妹も祖父も亡くなり、自分も手術痕が残り、自由の効かない身体を抱え、目指していたピアニストへの道も先が見えなくなってしまった。
    しかし、岬洋介という“魔法使い”に出会う。

    難しい言葉や抽象的な言葉を使わずにすっと目の前の段差を乗り越える術を与えてくれるような、そんなひと。
    初歩の初歩からの練習再開となった、クラスメイトからは嫌がらせもあった、けれど、遥は岬を信じて前を向き、ピアノを弾き続ける。

    ただ、ピアノを弾きたい一心でがむしゃらに練習に励み、立ち向かっていく姿は執念と呼ぶしかない。
    ピアノを頑張る遥の姿にも胸打たれている中、遺産を巡る事件も起き…終始ハラハラしっぱなし。

    岬さんが探偵役。
    常に冷静沈着、そして頼りがいもあって何ともかっこいい。

    謎解きに関してはなんとなーくもしかして?なんていうところはあったけれど、もうそんなこと差し置いてうるうるしてしまった…夢中で読んでいたもので、すっかり感情移入…。
    心をぎゅうっとされながら読み終わった。
    こういうラスト、好き。
    ぴんと張り詰めていたものが謎が解けることにより、少し解放されて、救われたんだけれど、切ない。
    よかった、でも、切ない。
    何だか、色んな気持ちに包まれてしまった。

  • 音楽青春小説、という解説の言葉がぴったり。
    火事で大火傷を負った主人公が、
    熱血変人ピアニストの教えを受け、いじめにあっても立ち向かい、
    いろいろと成長する話。

    音楽小説かと思うほどの描写、
    そして主人公と先生の根性での練習、
    途中でミステリーを読んでることを失念していた。

    そして最後にどんでん返し。
    きちんと伏線もちりばめられてたんだけど、
    そこじゃない場所に熱中して、先生が探偵だと忘れていた。

    真相を知ってから思い返すと、
    違う意味で捉えられる部分が多い。

    おもしろかった。
    名古屋が舞台なので、余計に。

  • 音楽青春ミステリー、ここに極まれりと言いたい作品。

    キャラクター描写の丁寧さ、演奏シーンの艶やかさ、ミステリートリックそしてミスリードの美しさどれもが刺激的な良書でした。

    これが新人賞と言うのだから次の作品を読むのが楽しみです。

    ピアノ曲をもっと知っていたらより楽しめるんだろうなぁ。

  • どんでん返し多くて面白かった。
    あと、音楽的な意味でもすき。楽器を吹きたくてたまらなくなった。

  • どんでん返しってなんだろう…と考えながら読んでみたのに予想が外れに外れ、確かになぁ、なるほどなぁと。。
    ミステリーだけど音楽の描写も結構割合を占めているので、音楽さっぱりの人は退屈するかもしれないです。でもミステリーと音楽を両立させていて、どちらの展開も面白く読めました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「音楽の描写も結構割合を占めている」
      映画はご覧になられましたでしょうか?岬洋介訳の清塚信也が、なかなか好演で良かったです。
      「音楽の描写も結構割合を占めている」
      映画はご覧になられましたでしょうか?岬洋介訳の清塚信也が、なかなか好演で良かったです。
      2013/04/04
    • 音緒さん
      まだ見ていないんですよ…残念ながら。
      橋本愛さんも好きなので、DVDになるのを待ってみようと思っています。
      まだ見ていないんですよ…残念ながら。
      橋本愛さんも好きなので、DVDになるのを待ってみようと思っています。
      2013/04/04
  • 最後のどんでん返しの素晴らしさは言うまでもないが、そこに至るまでに張られた伏線が秀逸。そしてミステリーでこれほど切ない「犯人当て」があっただろうかと思わせる結末。同時にそこには救いがあり、単に犯人を当てて捕まえて終わりのミステリーではない。
    さらに本書はミステリーでありながら、主人公がコンクールに挑む過程はスポ根的な読み応えがあるし、演奏時の描写や曲の解説は音楽のセンスがない自分にもすっと入ってきた。音楽ができる人は演奏の時こんな感覚なのか、このように曲を解釈するのかという新しい世界を知ることができる。

  • スタートから激しい展開。ピアノが常について回る話だが、音楽ないところでも人の考え方や生き方についても読める。クラシック音楽の要素はわからないけど、表現の言葉がすごい。曲も知らないので時折ユーチューブでかけながら読む。ミステリーなので犯人を想像しながら読むが半分は全く想定外。お見事。

  • 面白い。ピアノの弾き方の説明が、プロ的。
    ピアノのことはよくわからないが、なるほどという説得性がある。
    全身火傷した 香月遥。ピアニストを目指す16歳。
    岬洋介という天才ピアニスト。
    検事の息子で、司法試験に受かるが、ピアニストになる。
    そして、おじいさんといとこが焼け死した。
    遥自身も、全身やけどするが、復活していく。
    形成外科医の新条先生が、皮膚移植をして、
    奇跡的に助けるが、精神的には 岬洋介が支える。
    父親の平凡に徹した銀行員、おじさんのグータラ性。
    おじいさんは、12億の財産があったのだ。

    音楽の特待生であるがゆえに、
    回復したら、ピアノコンクールにでる。
    学校でのいじめ、校長のたくらみ、そして、マスコミの執拗なインタビュー。
    榊間刑事の したたかな追求。

    そして、母親の死から なぜその事件が起こったかが
    解明されていく。

  • ようやく読めました。

    以前から気になっていたにも関わらず、あまり詳細を知らずにいたので、本作品についての先入観なしに楽しく読めました。

    作品についてとわざわざ買いたのは、作者の他の作品を読んでいたから。
    (カエル男、総理にされた男。男ばかりだ…)

    それぞれ全く違った作風。

    一番好きなのは本作品かな。

著者プロフィール

中山 七里 (なかやま しちり)
1961年生まれ、岐阜県出身。男性。幼少の頃から読書が趣味で、高校時代から執筆を開始。花園大学文学部国文学科在学中に江戸川乱歩賞に応募したこともあった。
就職後は執筆から離れていたが、島田荘司を生で見た体験から執筆活動を再開。2009年、第8回『このミステリーがすごい!』大賞で『さよならドビュッシー』と『災厄の季節』の2作が最終選考にダブルエントリーされ、前者で大賞を獲得して48歳で小説家デビュー。後者も、「読みたい!」との声が続出したため、『連続殺人鬼カエル男』と改題し、2011年に文庫本として出版される事となった。
代表作に『さよならドビュッシー』などの「岬洋介シリーズ」、『贖罪の奏鳴曲』にはじまる「御子柴礼司シリーズ」。多くの作品が映画・テレビドラマ化されている。

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さよならドビュッシー 単行本 さよならドビュッシー 中山七里

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