さよならドビュッシー (宝島社文庫)

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  • 宝島社
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本棚登録 : 7927
レビュー : 1171
  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796679923

作品紹介・あらすじ

ピアニストからも絶賛!ドビュッシーの調べにのせて贈る、音楽ミステリー。ピアニストを目指す遙、16歳。祖父と従姉妹とともに火事に遭い、ひとりだけ生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負う。それでもピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する-。第8回『このミス』大賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ〜
    改めて読み直したけど上手い!


    ピアニスト版「エースをねらえ!」とも言うべき
    学園スポ根ストーリーが
    今の時代なぜか新鮮だし(笑)


    新人とは思えない
    ストーリーテリングの確かさと
    細かな情景描写。


    優れた音楽小説でありながら、
    ミステリーとしても
    素晴らしい仕掛けを併せ持っていて
    グイグイ読ませます♪
    (ミステリーのオチだけでみると、ちと弱いけど…)



    しかし音楽小説は
    本当に難しい。


    演奏シーンがダラダラしていたり説明過多になり過ぎると、
    いくらストーリーが良くても
    それだけで魅力が半減してしまうし
    今まで積み上げたものが
    全てウソに見えてしまう。


    しかしこの作品の売りは
    その演奏シーン。


    受け売りの技術論ではなく、

    音楽は演奏者の
    「意志のカタチ」だということを、

    空気を震わせ
    やがて消えていく
    音楽というものの本質を、
    本当に良く解っている作者なんだと思う。


    だからこそ
    切れ味鋭く、
    緊迫感に富んだ演奏描写は
    読む者の心を強く惹き付け、


    聴こえるハズのない
    ドビュッシーの「月の光」の美しい旋律までもが
    誰もの耳に鳴り響いてくる。



    自分という存在を抹殺し、
    自ら安息と自由を捨て、
    その上で恐怖と絶望の中から立ち上がろうとする
    一人の少女の姿、


    そしてその人間が奏でる音楽に
    本当に胸が熱くなりました。



    人間を闇から救う
    本当に必要なものは、

    抗う意志のチカラと、
    運命とやらに一矢報いる
    反逆精神なんだということも
    教えられたような気がします。



    全身大火傷から復活するための
    地獄のリハビリ。


    同級生の嫉妬から
    イジメに遭い、


    マスコミからも叩かれ、
    遺産相続争いにも巻き込まれ
    命を狙われる少女。

    打たれても
    打たれても
    それでも彼女がピアニストを目指さなければならない
    本当の理由とは?


    ラストに訪れる
    大どんでん返し。

    そして解る
    タイトルの意味。



    読む者に
    闇を振り払い
    闘う勇気をくれる、
    切なくエモーショナルな音楽小説です♪



    期待の新人女優・橋本愛を主演に迎え、
    岬洋介役に
    現役ピアニストの清塚信也というキャストで贈る
    現在公開中の映画版も
    低予算ながら音楽映画としては
    なかなかの出来♪

    • kwosaさん
      円軌道の外さん!

      お久しぶりです。
      本棚のほうにもコメント、ありがとうございます。

      みなさん、映画版をご覧になったんですね。
      僕も劇場の...
      円軌道の外さん!

      お久しぶりです。
      本棚のほうにもコメント、ありがとうございます。

      みなさん、映画版をご覧になったんですね。
      僕も劇場の予告編で観て、気になっていたんです。

      橋本愛、いいですよね。
      地元のケーブルテレビで、たまたま『桐島、部活やめるってよ』のプレス向けインタビューをみたんですけど、本来の意味でのカリスマを感じて魅かれました。
      ひさびさに「映画女優」が現れたなぁ、って感じです。

      『桐島』映画版、 円軌道の外さんと語り合いたいなぁ。
      橋本愛の他にも、ドコモのCMで桑田佳祐のバックダンサー役だった娘とか、『ビブリア』ドラマ版で小菅奈緒をフッた西尾役の男子とか、芸達者がたくさんいて見応えありましたよ。

      なんだか『桐島』と橋本愛の話になってしまいましたが、映画版も観てみようと思います。
      2013/02/19
    • 円軌道の外さん

      まろんさん、
      ここにもコメント
      ありがとうございます!

      あっ、それは確かにあるでしょうね(^_^;)

      原作が人気作だ...

      まろんさん、
      ここにもコメント
      ありがとうございます!

      あっ、それは確かにあるでしょうね(^_^;)

      原作が人気作だけに
      それぞれのイメージがあるし
      勝手な映画化で
      壊されたくないって感じなんかな〜



      あっ、指使いは
      違和感なかったんですね(笑)

      自分は20年以上バンドやってるんで
      音楽ドラマや映画は
      必ず無意識に
      指使いチェックしてしまうんスよね〜(笑)(^_^;)


      役をやる以上は
      最低限なりきって欲しいし、
      それらしく見せる努力をして欲しいですからね。

      2013/02/23
    • 円軌道の外さん

      kwosaさん、ありがとうございます!


      橋本愛は
      いまどきの若い女優には珍しい
      あの媚びない暗さが
      いいですよね(笑)...

      kwosaさん、ありがとうございます!


      橋本愛は
      いまどきの若い女優には珍しい
      あの媚びない暗さが
      いいですよね(笑)(^O^)

      自然体やし
      クールビューティーやし。


      ドラマもいいけど、
      できれは映画でしか観れない
      スケールの大きい女優に
      育って欲しいなぁ♪



      「桐島、部活やめるってよ」は
      ホンマ観たいんスよ〜(笑)

      かなり評判いいみたいやし、
      吉田大八監督は
      「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」でかなりハマったんで(笑)、
      余計気になってます(^_^)v


      てか、生徒役にも
      かなり
      いい人材が使われてるんスね〜♪

      また観たらレビュー書きますね!


      2013/02/23
  • NO MUSIC, NO LIFE.な私ですが、クラシックにはとんと疎いのです。
    芸術鑑賞の一環でコンサートホールにも何度か強制連行されたのに、毎度即就寝。
    クラシックコンサートや物理の授業や昼下がりの普通電車の座席。
    思うにあの空間にはα波が出ている。
    そもそも眠たがり屋なんですよ、生粋の。参観日に寝てしまい、怒髪天と化した母に罵倒されたこともしばしば。

    それでもこの演奏は聴いてみたくなりました。
    ブラックジャックのような天才的形成外科医の手術により、一命をとりとめた少女。
    突発性難聴により、一度は法曹への転身を試みた美貌の青年ピアニスト。

    ミステリ要素はこの際なくてもいいです(「このミス」大賞だけど)。ご都合主義でもかまやしません。
    新条先生、岬先生、お爺ちゃんの言葉がいい。

  • 祖父、そして自分と見た目そっくりの従姉妹は火事に遭う。一人生き残った少女はひどい火傷を負うが、リハビリをこなし、ピアノのコンクール優勝を目指す。祖父の莫大な遺産、少女にかかる災い、母の死、誰がどうして?
    シリーズの順番を無視して読んでいるんだけどさ。演奏の描写に関しては間違いなく素晴らしい。作曲家の苦悩、岬について、少女の苦しみを織り交ぜて、あっという間に読了。少女の皮肉な結末、音楽家の人生の物語、小説の世界に入り込み今回も満足。このシリーズは読み続けていたいなあ。武器を持って世の中に立ち向かわなくちゃなあと自分自身も振り返りました。

  • 面白かったー!
    久しぶりに途中で声をかけられてムッとしてしまった。
    火事で全身大火傷を負った少女が再びピアニストをめざす。
    最初の違和感を忘れて、彼女のピアノへの情熱と、外見に対する理不尽な扱いに胸を熱くして、最後にポンと投げられた言葉にハッと現実に戻ってきたような。
    ミステリということを忘れて読んでた。
    犯人はまあ、すぐわかっちゃうから。ミステリじゃなくても良かった?
    市原亮子のくらーいピアノ漫画をふと思い出したり。
    すっかりピアニストダマシイに呑まれてしまった。
    しばらくボーゼンとした読後。
    こういう高揚感は久しぶりだな。
    最後の演奏も祈るように読んでた。
    とにかく、前向きな姿とひたむきな姿。上に上に、前に前に。
    読んでる私も背中を押されるよう。

    「僕はこの、悪あがきってのが好きでね。あっさり諦めたり運命を儚むよりはずっと前向きだと思っている。カッコ悪かろうが未練がましかろうが、そんなの勝手に言わせておけばいいよ。」

    「人はここまで強くなれるのだ。どんなに絶望しても、どんなに心が折れても、諦めたさえしなければ灰の中から不死鳥が甦るようにまた雄々しく立ち上がることができるのだ。限られた者だけではなく、すべての生きる者の中にその力は宿っているのだ。
    そう、きっとあたしのような人間にも。」

  • 宝島社「このミステリーがすごい!大賞」を受賞してのデビュー作。
    音楽の描写の巧みさが光っているし、大掛かりなトリックを描ききっていますね。
    映画化もされています。

    母の期待をになってピアニストを目指す少女・香月遥は15歳。
    一緒に暮らしている同い年の従姉妹ルシアとは仲が良かったが、祖父の住む離れが大火事で焼け落ち、祖父と従姉妹は死んでしまう。
    祖父の遺言書は意外なもので、孫の遥がピアニストを目指す限り経済的な支援は全て莫大な信託財産でまかなわれるという内容だった。

    遥は形成外科で皮膚移植をした身体で、叱咤激励されながらリハビリを続け、レッスンを再開。
    新進ピアニストの岬洋介のユニークな指導を受けて、奇跡的な回復を見せることに。
    不必要に体重をかけない姿勢など、ピアノの知識が底力になっています。
    音楽の描写が熱っぽく流麗で、この再生とコンクールまでの猛特訓が、一番の読みどころですね。

    裕福な家庭で、素晴らしい医師と指導者に出会い、祖父の介護士だった女性の世話を受けるなど、恵まれた面もあるのですが。
    身近で相次ぐ不可解な死‥
    岬洋介が謎を解くことに。祖父も認めていたという、さわやかな岬先生はやたらとカッコいいです。

    女の子の視点で語られるため、わかりやすいような軽いような。
    そのわりには災害に火事、いじめなど、なんでこんな重い内容を読まなくちゃいけないんだろう?という面もありますが。
    ‥そういう前提あってのお話なんですよねえ。その辺はあまり重く受け止めすぎず?
    たとえどんな苦難と悲劇に遭おうとも、乗り越える可能性はある!
    という話として~スリルと波乱を味わえばいいのかも☆

  • 立て続けに不幸が重なり自身も障害を負った少女が 、ピアノによって自分自身も境遇をも乗り越えて行くお話…と思いきや!ラストは衝撃だった。有りがちなトリックだけれど、読んでいる間は全く頭に浮かばず、本当に驚いた。
    岬先生と新条先生の言葉は心に沁みるものが多くて、私自身も非常に励まされた。

  • 第8回「このミス」大賞受賞作。
    中山七里さんの本は初めて読みました。

    香月遥はピアニストを目指す16歳。
    ある日、祖父と従妹と共に火事にあう。
    祖父と従妹は亡くなり、彼女は全身の1/3以上の火傷をおう。
    それでもピアノをあきらめない彼女を指導するピアノ教師、岬洋介。
    そんな彼女と岬洋介にさらに不可解なことが起こり…
    そして、結末の大どんでん返し!!

    この作品は音楽ミステリーと言われるらしい。
    ミステリーはますます細分化しているのですね・・・

  • 2010年の第8回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作品。

    ピアニストを目指す恵に襲いかかる不穏な火事。
    なんとか生き残ったものの、彼女を狙う何者かの影がつきまとう。
    そんなミステリらしい骨格が見えるものの、物語の多くは火事で大怪我をおった恵と、彼女を助ける若きピアニストとの爽やかな音楽小説。
    ピアノを弾くことの喜びや、演奏する曲から伝えられる思いが溢れ、ピアノを弾いたことのないウチでもついついのめり込んでしまいそうな物語になっています。

    マンガの「のだめカンタービレ」を初めて読んだ時のような新鮮な知識欲と面白さに釣られて、ライバルの登場や怪我を負った体でコンクールに挑む過程なを楽しんでいくと…………

    そうやった、これはミステリやった!

    やられましたね……。恵への殺人未遂や母親の死など物語の要所要所で事件は起こっているのですが、事件なんかどうでも良いくらいの感覚で、ミステリで火事と言えばこのトリックというものがあって気づいてもおかしく無かったのですが、最後の最後まで全く気にならずにとことんまで騙されて気持ちよく読み終えることができました。タイトルの「さよならドビュッシー」も、いい言葉として余韻を持って物語を閉じています。

    素敵なミステリ作品でした。

  • ずっと読みたかったこのシリーズ。やっと最初の1冊目「さよならドビュッシー」を読むことが出来ました。

    もう途中からはページをめくる手が止まらず、更にページをめくると一行目ではなく後ろから読みたくなるほどに、先が気になってドキドキしながら読みました。
    子どもの頃、ピアノを習っていて良かったと心から思いました。クラシックピアノの知識が少しでもあるほうが、より楽しめると思ったので。

    あらすじ
    -ピアニストからも絶賛!ドビュッシーの調べにのせて贈る、音楽ミステリー。ピアニストを目指す遙、16歳。祖父と従姉妹とともに火事に遭い、ひとりだけ生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負う。それでもピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する-。第8回『このミス』大賞受賞作品。-


    正直、火事の描写のあたりで一度折れかけました。
    あまりにも詳細に描かれていて読み進めるのが辛かったのと、思っていた内容と違うなって感じてしまって。
    その後も所々、出来過ぎでリアルじゃないよなあぁと思ったりしながら読んでました。
    でも、途中からは大けがをした少女がピアノに向ける情熱と命がけの努力。それを手助けする岬洋介に魅了され、がっつり心をつかまれてしまいました。
    そして岬洋介の演奏シーンからの少女のコンクールでの演奏。
    ピアノ演奏シーンの描写が素晴らしくて、脳内には音楽が鳴り響き、その世界に没頭しました。

    ミステリーというほどの謎があるわけではなく、想定内ではあったけれど、この本の魅力はそこではく、ピアノ演奏の表現力につきると思います。ただ、

    「変ホ長調は一旦ハ長調へ移調し、更に変イ長調、ホ長調と三度下に移調しながら反復する」

    とか、もし自分が音楽に関わったことがなかったら、想像するのが難しいなって思ったかもしれない。
    なので、音楽の知識がある。またはこの曲を聴きながら読むことをお勧めしたいなぁ(*´∀`*)
    あ、ちなみにこの表現をしているのは、ドビュッシーの曲ではなくベートーベンの曲です(笑)

    あぁ、早くまた岬洋介に会いたい。
    次は「おやすみラフマニノフ」だね♪

  • 読み始めて、何となく展開がわかってしまったけど、最後まで読んで、犯人の心情や背負わざるおえなかったことがどういうことなのか、そのあたりの心理はすごいなと思った。全体を通して音楽というより心理的な部分が面白かったです。
    音楽の話が中心で、ピアノを趣味で習っていたので、こんな風に習ったら楽しいだろうなと思いました。ちょっと読むのが面倒な部分もありましたが(苦笑)。どこかのだめのような感じもします。
    最後まで読んで、タイトルの意味にも納得でした。

    ピアニストであり探偵の岬洋介のキャラクターにひかれるものがあり、今後の活躍も楽しみ。シリーズ続編も読んでみたい。

    読み終わった後、ピアノを弾きたくなりました。

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著者プロフィール

中山 七里 (なかやま しちり)
1961年生まれ、岐阜県出身。男性。幼少の頃から読書が趣味で、高校時代から執筆を開始。花園大学文学部国文学科在学中に江戸川乱歩賞に応募したこともあった。
就職後は執筆から離れていたが、島田荘司を生で見た体験から執筆活動を再開。2009年、第8回『このミステリーがすごい!』大賞で『さよならドビュッシー』と『災厄の季節』の2作が最終選考にダブルエントリーされ、前者で大賞を獲得して48歳で小説家デビュー。後者も、「読みたい!」との声が続出したため、『連続殺人鬼カエル男』と改題し、2011年に文庫本として出版される事となった。
代表作に『さよならドビュッシー』などの「岬洋介シリーズ」、『贖罪の奏鳴曲』にはじまる「御子柴礼司シリーズ」。多くの作品が映画・テレビドラマ化されている。

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