おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
3.65
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本棚登録 : 3608
レビュー : 423
  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796685825

作品紹介・あらすじ

第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに秋の演奏会を控え、プロへの切符をつかむために練習に励んでいた。しかし完全密室で保管される、時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれた。彼らの身にも不可解な事件が次々と起こり…。ラフマニノフの名曲とともに明かされる驚愕の真実!美しい音楽描写と緻密なトリックが奇跡的に融合した人気の音楽ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 音大生の晶はヴァイオリンの主席奏者。学長の孫であり友達のチェロ奏者の初音とともに演奏会の練習に励む。そんな中、ストラディバリウスが盗まれ、学長のピアノも壊される。晶が犯人とされるが、講師の岬は謎を解いてゆく。
    衝撃的な展開はなかったものの、ラフマニノフの曲の描写がなんといっても素晴らしい。曲の流れだけでなく、晶の心情も織り交ぜ、あの豪雨の中のシーンではおもわず泣けてきた(と読み進めてたら晶も泣いていた)。深くのめりこめた。若い音楽家も素晴らしく書き上げていたが、謎解きの方は、どうかなと思えるものあり。

  • 「さよならドビュッシー」に続く音楽ミステリー第2弾

    音大秋の定期演奏会に向けて、学長選抜された55人はプロの音楽家への数少ないチャンスを掴むべく練習に励んでいたが、完全密室で保管される2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれる
    その後も、演奏会の妨害を狙ったかのような怪事件が続く

    前作にも増して、曲の分析や演奏描写には、恐れ入った

    集中豪雨により、避難してきた体育館の殺気だった状況の中、岬洋介のピアノ伴奏で主人公の城戸晶はヴァイオリンを演奏する

    科学や医学が人間を襲う理不尽と闘うために存在するのと同じように、音楽もまた人の心に巣食う怯懦や非情を滅ぼすためにある。確かにたかが指先一本で全ての人に安らぎを与えようなんて傲慢以外の何物でもない。でも、たった一人でも音楽を必要とする人がいるのなら、そして、自分に奏でる才能があるのなら奏でるべきだと僕は思う。それに音楽を奏でる才能は神様からの贈り物だからね。人と自分を幸せにするように使いたいじゃないか

    この演奏シーンの描写は何と15ページにも及んだ
    演奏が進むにつれ、体育館の雰囲気が変化し、一体化していく様子は感動的だった

    また、クライマックスのラフマニノフ 「ピアノ協奏曲」の演奏シーンは、心理描写や楽曲分析・演奏の様を織り交ぜながら16ページにも及んだ

    解説で、この小説は、まさに『バックグランド音楽付きミステリー』と言えるのではないかとあったが、まさにその通りだ

    中山さんの作品には、いつも意外性が隠されているそう、今回もやっぱり最後に、城戸晶と柘植初音は、そんな関係だったのかと驚かされた

    最後の一行で「おやすみラフマニノフ」の意味も明らかになった





  • 読み終わってから知った。単行本で一度読んでた。どうりで既視感が。
    そのときはたいして評価していなかったようだ、私ったら。
    音楽も間接的に楽しめるし、フーダニット、ハウダニットも味わえる。このシリーズ読み進める価値あり!!とまあ、勝手に太鼓判。
    二度読み、図らずもしてしまった自分への言い訳。

  • 「さよならドビュッシー」に続いての中山七里作品。
    岬洋介が探偵役の第2弾、今回は音大が舞台のミステリー。
    推理小説というより、青春音楽小説といっては、作者に失礼か。
    相変わらずの演奏時の、臨場感溢れる、豊饒な言葉の連続に、あたかもコンサート会場に居るかのような錯覚を、起こさせてくれる。
    未聴のラフマニノフを、聞いてみたくさせる。
    CDショップへ行こう(笑)

  • さらさらと読めた。凄く可もなく、不可もなくと言ったところか。
    これがシリーズものとは知らなかったので岬先生が一瞬怪しく感じたこともあったけど(笑)
    好みの問題と思われるが作中の音楽の表現が少し長すぎると感じることがあった。

  •  前回のドビュッシーはピアノ独奏だったけど、今回はオーケストラ。音楽って苦しい。そして、孤独だ。けれど、この上なく美しくて、一つになる快感を与えてくれるものだ。

     登場人物がありえないほど理路整然と会話をするところとか、岬先生がほんのちょっとのヒントで事件の真相にたどり着いちゃうところとか、相変わらずありえんだろー!!と突っ込みを入れてしまうところは置いといて・・・
     
     演奏会での曲目「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番」 私、この曲を実際に聴きながら演奏のシーンを読んでみた。まさに実際にオケを聴いているようで、鳥肌がぶわって、立った。

    • まろんさん
      はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。

      もう、謎解きとかの要素は加えなくてもいいから
      正面きって音楽小説...
      はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。

      もう、謎解きとかの要素は加えなくてもいいから
      正面きって音楽小説を書いちゃってほしい♪
      と熱望してしまうほど、音楽描写の美しい本ですよね!
      私も332ページの同じ部分を引用していて
      わあ、おんなじだ!とうれしくなってしまいました。

      書きたいことをついくどくどと並べてしまう私とは違って
      簡潔で爽快な言葉で読み手の心を掴んでしまうあやこさんのレビュー、素敵です!
      これからも楽しみにしていますので、よろしくお願いします(*^_^*)
      2012/08/30
  • 時価2億円のチェロ ストラディバリウスが盗まれる。
    事件は、そこから始まる。
    学長のピアノも水浸しとなって、使い物にならなくなる。
    ピアノを心得たものの仕業。
    岬洋介の遠くから徐々に近づいていく手法は、
    なるほどと思わせ、犯人も見つけ出してしまう。
    オーケストラを、オーケストラに仕上げていく。
    なるほど。そして ラフマニノフの名曲を文字で表していく。
    目で読みながら、耳で曲を聴いているような錯覚が起こる。
    この才能が、素晴らしい。

    愛知県や岐阜県が舞台になるというのも、いいなぁ。

  •  音大でストラディバリウスが盗まれた! ベースはミステリーだが、進路に悩む音大生の苦悩や、恍惚とする至高の演奏時の心情を描いていく。
     舞台設定は面白いし、音楽についてよく調べてあるなとは思うが、ここぞという見せ場の演奏のシーンで、「弦楽器奏者はこういう言い方しない!」「調弦はG線ではなくA線から!」と違和感が多発。重箱の隅をつつきたくはないが、物語に入り込みたいところでリアリティに欠け、ふと現実に引き戻されてしまう。
     惜しい!

  • いやー、心打たれました。音楽シーンに。さよならドビュッシーと一緒で、やっぱりミステリー部分は軽いなーと思わざるを得ず、音楽青春スポ根としておもしろい。出てくる曲を聴きながら読むと、その表現力に吸い込まれ感動が増幅する。後書きのピアニストの方も言ってるけどCDつきにすればよいのに。

  • 犯人うんぬんよりも他に焦点を置いて進むのが特徴的。人の心情や音楽に生きる人たちの想いに重点をおいていますが、ちゃんと犯人に近づいていくから不思議。

    「このミス大賞」は基本的に信用していない(はずれも多い)んですが、この人の作品は面白いと思います。好きです。言葉が豊かであふれるように流れていくイメージで、さわやかに終わらせるプロです。作者は男性なのかな?女性なのかな?新作出版のたびに楽しみにしています。

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著者プロフィール

中山 七里 (なかやま しちり)
1961年生まれ、岐阜県出身。男性。幼少の頃から読書が趣味で、高校時代から執筆を開始。花園大学文学部国文学科在学中に江戸川乱歩賞に応募したこともあった。
就職後は執筆から離れていたが、島田荘司を生で見た体験から執筆活動を再開。2009年、第8回『このミステリーがすごい!』大賞で『さよならドビュッシー』と『災厄の季節』の2作が最終選考にダブルエントリーされ、前者で大賞を獲得して48歳で小説家デビュー。後者も、「読みたい!」との声が続出したため、『連続殺人鬼カエル男』と改題し、2011年に文庫本として出版される事となった。
代表作に『さよならドビュッシー』などの「岬洋介シリーズ」、『贖罪の奏鳴曲』にはじまる「御子柴礼司シリーズ」。多くの作品が映画・テレビドラマ化されている。

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