おやすみラフマニノフ (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 6-3)

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  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796685825

作品紹介・あらすじ

第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに秋の演奏会を控え、プロへの切符をつかむために練習に励んでいた。しかし完全密室で保管される、時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれた。彼らの身にも不可解な事件が次々と起こり…。ラフマニノフの名曲とともに明かされる驚愕の真実!美しい音楽描写と緻密なトリックが奇跡的に融合した人気の音楽ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 最近ハマってる中山七里さん!好きな作家さんとローテーションで読んでると溜まりまくってるんで、少しペース上げよかな(^^;;

    岬洋介シリーズ第2弾!
    クラッシックとは、全然縁がない生活してるのに、これ読むと聴きたくなる!
    前作の大どんでん返しが良かったので読んだ!
    またか!と思ったけど、やはりそこはね!
    しかし、天賦の才のある人は、ある方面では凄いんやろうけど、その代わりに他があかんねんな。何か等価交換の法則みたいで、ええんか悪いんか分からんな。

    まぁ、大学側が警察沙汰にせんから、解決出来んかったんやけど、人死んでへんから…
    ミステリーやけど、何か音楽家を目指す若者らの情熱を感じられてええ感じでした。
    もう、こんなに熱くなる年代でもないんで、羨ましい〜!

  • ずっと満足せずに通過点であり続けることって達成感がないので辛いだろうな。って勝手ながら思いました。

  • 秋の演奏会を控え、第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに、プロへの切符をつかむために練習に励む。
    しかし完全密室で保管される、時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれた。
    彼らの身にも不可解な事件が次々と起こり……。
    ラフマニノフの名曲とともに明かされる驚愕の真実!美しい音楽描写と緻密なトリックが奇跡的に融合した人気の音楽ミステリー。


    中山七里先生の、岬洋介シリーズ。
    ちょっと読む順番が間違っちゃってましたが、何から読んでも面白いwww

    ミステリーの部分は、犯人は容易に分かっちゃう感じだったが、この音楽シリーズは本当に文章が凄い。
    実際の演奏が聞こえてくるかのような臨場感。

    特に、避難所でのバイオリンの演奏は、読んでいて鳥肌が立つほど。
    聞こえていないのに、聞こえてくるかのような圧倒的な文章力。

    岬先生の人物像も、とても好感が持てるし、このシリーズはぜひとも全部制覇したい!

  • 岬洋介シリーズの第二弾。
    前作の『さよならドビュッシー』がとても面白く、とても満足感が高かったのでとても楽しみだった。
    前作も音楽の演奏描写が細かく音が聞こえないはずのこちらもその音楽の演奏がダイレクトに聞こえてきた。そしてその時の心情表現もきめ細やかな上、音大生の苦悩やそこで見た一筋の光への渇望など多くの感情が交錯していくところがとても面白かかった。全体の構成として、成功が訪れたその数ページ後にはまた試練が訪れるという構成が成長ストーリーとして面白く、下がってはまた這い上がり、馬鹿にされてもそのたびに起き上がり・・・という展開が章節が進む度に持ち上がる音楽のような物語進行がとても感動した。絶望の中には病気や才能への嫉妬や憧憬などからくる焦燥感など音楽をやっていない人でも感じる負の感情がこれでもかとリアルに描写されておりとても身にしみた。
    またミステリーとしての側面は、どうして犯人が演奏会を中止させようとしたのかというところの理由がとても切なく、またその思いを一番に感じていたはずの柘植彰良がそれを自分のエゴに利用してしまったところが後味の悪いと感じた。そして最後のシーンは柘植彰良が死んでしまったように見える終わり方がとても悲しく、この小説のタイトルである『おやすみラフマニノフ』につながるところが本当に切ないと感じてしまった。前回とはまた違う結末、これからもこのシリーズを読んでいきたいと思いました。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    岬洋介:森川智之
    城戸晶:古川慎
    柘植初音:東山奈央
    麻倉雄大:内田雄馬
    小柳友希:黒沢ともよ
    神尾舞子:佐倉綾音
    須垣谷教授:速水奨
    江副准教授:小山力也
    下諏訪美鈴:早見沙織
    入間裕人:福山潤
    柘植彰良:若本規夫

  • 安定の岬先生の音楽シリーズ。
    今回は誰も死なず、盗難や妨害だけと小さめ。犯人も想定の範囲ではあったが、犯行に至るまでのバックグラウンドに思い至らなかった。たしかにあちこちにヒントは散りばめられていたが、後になっての伏線だったと思うだけに自分が残念。
    大きなどんでん返しは無いが、さすがの中山氏のミステリーだった。作家には音楽経験が無いとの事だが、常に小説の中に音楽が流れているように思える。あっというまに気持ちよく読み終えた。

  • ピアニスト岬洋介シリーズ 第2作
    生活に困窮する音大生・城戸晶。尊敬するピアニストであり学長・拓殖影良と共演し、コンマスとなりストラディバリウスを弾くため、練習を重ねその座を手にする。
    幾つかの事件は起きるが、臨場感と密度が濃い演奏描写と、音大生達の実情を巧みに描いて、そちらに読み応えがあった。(のだめカンタービレ基礎知識をありがとう!)
    ミステリであることを忘れ気味に話は進む。
    そして、犯人は誰かということより、「音楽は生き方だ」とし、天才であった学長の音楽以外の感情を全て切り捨てたピアニストとしての生き方が、ちょっと衝撃。
    ドビュッシーからの繋がりや、前作同様に作品名の意味合いが、オシャレ。

  • 岬洋介シリーズ第2弾。

    ヴァイオリン奏者を目指す貧乏音大生の城戸晶は、幸運もあって学長(世界的な名ピアニスト)が出演する定期音楽会のバンマスに選ばれた。未納の学費が免除され、名器ストラディバリウスを使用することができ、同音楽会で注目されればプロへの道も開ける。希望の見えてきた晶だが、同音楽会にチェリストとして参加する初音(晶とは恋人未満の付かず離れずの関係)が使う予定のストラディバリウス(チェロ)が保管庫から消失。続いて、学長専用の特別なグランドピアノも水浸しにされてしまい、学長の身に危険が及ぶと警告する脅迫メッセージも書き込まれた。悪意ある学内関係者が、定期音楽会を中止させようと次々仕掛けているらしい。疑心暗鬼のオーケストラメンバーは練習に集中できず、空中分解寸前まで追い詰められたが、非常勤講師の岬洋介に救われる。岬は、オーケストラの指揮者として音楽会を成功に導くと共に、事件の謎を解明する。

    ラストのどんでん返しを含め、本作は途中で展開がある程度読めた。それでも、臨場感溢れる演奏の描写が秀逸で、最後までたっぷり楽しめた。

    本作のクライマックスは何といっても、台風で洪水が発生し避難住民で混乱する避難所で、晶と岬がチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調を演奏するシーンだ。演奏シーンは何と14頁にも及ぶ。YouTubeで曲を聴きながら読んで、鳥肌ものだった。定期音楽会でのラフマニノフのピアノ協奏曲2番の演奏シーンや、学長がラフマニノフの前奏曲嬰ハ短調を奏でるラストシーンも迫力はあったが、避難所の演奏シーンには及ばないかな。

    本書は、就職難に喘ぐ音大生の姿も描いている。プロの音楽家にれない多くの音大生は、卒業後どのような進路を歩むのだろう?

  • 面白かった
    「さよならドビュッシー」同様、音楽ミステリー
    音楽の描写シーンは前作同様圧巻です。
    音楽聞きながら、この文章で解説してほしい(笑)

    ストーリとしては、音大での物語。
    ヴァイオリン奏者の晶とチェロ奏者の初音は、秋の演奏会にてプロへの切符をつかむために練習に励んでいます。
    そんな中、完全密室で保管されている2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれ、学長のピアノも壊されます。さらには学長の殺害予告まで..
    犯人は誰?
    目的は何?
    メンバ間の疑心暗鬼が進む中、演奏会は開かれるのか?
    といった展開です。

    圧巻はやはり、音楽の描写シーン
    一つ目は、大雨で体育館に避難した人たちを落ち着かせるために岬と晶で演奏したチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲

    そして演奏会での岬が指揮したラフマニノフ のピアノ協奏曲

    どちらも熱くなります。
    映像化してほしい(笑)
    音楽にかける想いが伝わってきます。

    そして、ラスト明かされる驚愕の真実
    さらに、タイトルの「おやすみラフマニノフ」のエンディング

    楽しめました。
    お勧め!

  • 岬洋介シリーズの音楽小説第二弾。作者の他の作品の様に血生臭い事件は起きないが、それでもミステリーの要素は満タンな作品だった。

    前作以上に作品中で演奏される曲の描写が秀逸だった。今回もiTuneで音楽を聴きながら読んだが、クライマックスの曲であるラフマニノフの協奏曲第二は作者の筆運びに合わせて聞き進め、最後は思わず涙が出た。クラシックと言うのはこう言う風に聞くんだ、と本当に教えて貰えた。

    自分の様にクラシックを普段聴かない人には是非読んで貰いたい。きっと眼から鱗が落ちると思う。

  • 音大生の晶はヴァイオリンの主席奏者。学長の孫であり友達のチェロ奏者の初音とともに演奏会の練習に励む。そんな中、ストラディバリウスが盗まれ、学長のピアノも壊される。晶が犯人とされるが、講師の岬は謎を解いてゆく。
    衝撃的な展開はなかったものの、ラフマニノフの曲の描写がなんといっても素晴らしい。曲の流れだけでなく、晶の心情も織り交ぜ、あの豪雨の中のシーンではおもわず泣けてきた(と読み進めてたら晶も泣いていた)。深くのめりこめた。若い音楽家も素晴らしく書き上げていたが、謎解きの方は、どうかなと思えるものあり。

  • 岬先生シリーズを読み始めました。

    やっと、少し右腕が動かせるようになったので、読書を
    再開。

    この本を読むと、是非映像化してもらいたいと思う。
    音楽と字幕で音声はナシで見てみたい。

    そんな気分を高揚させ、想定外のコロナ禍にコンサートに行った。
    2年も待ったけど、コロナは収束しなかった。
    水際対策またもや失敗!
    飲食店・宿など辛いよね。

  • さよならドビュッシーを読んだ際、圧巻の音楽や演奏の描写が好みでした。
    今回は特にラストのラフマニノフのピアノ協奏曲2番、やっぱり名曲ですね!
    元々好きな曲だったけれど、1〜3楽章まで改めて聴いてみながら読了。柘植彰良、初音、城戸晶、各々の抱えるものがまるでラフマニノフの人生と重なっているようで、孤独さや儚さに思わず涙が出そうになった。

    岬洋介シリーズ、ミステリーの展開としてはややモヤモヤもありますが、やはり音楽エンタメ小説としては満足感ありました!

  • 「さよならドビュッシー」に続く音楽ミステリー第2弾

    音大秋の定期演奏会に向けて、学長選抜された55人はプロの音楽家への数少ないチャンスを掴むべく練習に励んでいたが、完全密室で保管される2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれる
    その後も、演奏会の妨害を狙ったかのような怪事件が続く

    前作にも増して、曲の分析や演奏描写には、恐れ入った

    集中豪雨により、避難してきた体育館の殺気だった状況の中、岬洋介のピアノ伴奏で主人公の城戸晶はヴァイオリンを演奏する

    科学や医学が人間を襲う理不尽と闘うために存在するのと同じように、音楽もまた人の心に巣食う怯懦や非情を滅ぼすためにある。確かにたかが指先一本で全ての人に安らぎを与えようなんて傲慢以外の何物でもない。でも、たった一人でも音楽を必要とする人がいるのなら、そして、自分に奏でる才能があるのなら奏でるべきだと僕は思う。それに音楽を奏でる才能は神様からの贈り物だからね。人と自分を幸せにするように使いたいじゃないか

    この演奏シーンの描写は何と15ページにも及んだ
    演奏が進むにつれ、体育館の雰囲気が変化し、一体化していく様子は感動的だった

    また、クライマックスのラフマニノフ 「ピアノ協奏曲」の演奏シーンは、心理描写や楽曲分析・演奏の様を織り交ぜながら16ページにも及んだ

    解説で、この小説は、まさに『バックグランド音楽付きミステリー』と言えるのではないかとあったが、まさにその通りだ

    中山さんの作品には、いつも意外性が隠されているそう、今回もやっぱり最後に、城戸晶と柘植初音は、そんな関係だったのかと驚かされた

    最後の一行で「おやすみラフマニノフ」の意味も明らかになった





  • 前作ほどのどんでん返しはないものの、胸に迫る、脳裏に焼き付く音楽描写はそのままに、散りばめられた伏線の回収はお見事! 避難所や定期演奏会での岬、晶らの演奏に胸を熱くする。音楽を愛する者すべてに読んで欲しい一冊。

  • 岬洋介シリーズ第2作。
    完全密室で保管されていたはずの2億円のチェロが盗まれ。
    他高価楽器の破壊、脅迫文。
    演奏会を前に様々な事件と人間模様。
    終盤にかけて謎が解き明かされ、複雑に絡み合った真相が明らかになるけど。
    多くの出来事が一気に押し寄せて、消化出来ないまま進んでいった感じでした。
    少し自分には難しすぎたかな。
    タイトルの「おやすみラフマニノフ」
    最後のページの締めくくりで納得しました。

  • ピアニストの岬洋介が登場する
    このシリーズを、
    「さよならドビュッシー」(2010)
    「どこかでベートーヴェン」(2016)、
    そして「おやすみラフマニノフ」(2010)
    という順番で読んできました。

    「どこかでベートーヴェン」は
    ピアニストの岬が高校生時代のお話です。
    そして本作「おやすみラフマニノフ」は
    岬が音大講師として登場します。

    いずれのお話も
    岬は主要キャストではありますが、
    主人公ではありません。

    本作ではところどころ
    「どこかでベートーヴェン」と似た雰囲気の
    話運びがあり、
    正直、既視感がぬぐえませんでした。

    しかしながら
    ミステリー作品でありながらも、
    その中に主人公やまわりの人の葛藤が
    見事にえがかれ、
    特に演奏についての描写は
    やはり圧巻でした。

    出てくるクラシック音楽が気になり、
    読みながらYouTubeで検索して聞きながら
    小説を読み進めたので、
    読み終わるまでに時間はかかりました。

    登場するクラシックを聞きながら
    演奏シーンを読むことで
    より想像が広がり、奥ゆきが増し、
    小説も音楽も楽しむことができました。

    冒頭からつながる謎は
    ラストになってようやく真相が語られます。

    そしてその中には
    予想もしなかった事実もプラスされ、
    ただただ驚きました。

    重苦しい話でありながら
    岬が持つふわっとした暖かな空気感と
    歩んできた人生から語られる言葉が
    しんどさを少し和らげてくれ、
    ありがたかったです。

    そしてお話の幕がおりたあと、
    「おやすみラフマニノフ」という
    タイトルが、じわじわと効いてくるのを
    感じました。

    わたしは岬の高校時代のお話
    「どこかでベートーヴェン」を
    先に読んでいたため、

    どうしても高校時代の事件や
    岬の生い立ちを思い出してしまいましたが、

    その分、
    岬が主人公に話す言葉の重みを
    より深く感じることができました。

    ですが
    「おやすみラフマニノフ」から
    「どこかでベートーヴェン」という順番で
    読んだとしても、

    「おやすみラフマニノフ」の岬の言葉は
    この過去があったからこそなんだ、と
    どちらの作品の味わいも
    やはり増していたでしょう。

    岬シリーズおそるべし、です。

  • 頂点を目指すということは孤独に向かって進むこと。わかっているのに逃れることが出来ない、わかっているのに進んでいく、例え何かを犠牲にしても。そんな音楽の神に選ばれた孤独な演奏家の音をわたしたち聴衆は求めるのでしょう。
    ミステリー小説でありながら音楽小説でもあるこのシリーズ。事件は音楽大学での時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが密室から盗まれたことから幕を開けます。次から次へとまるで学園祭の一大イベント定期演奏会を中止においこむように事件が起こります。
    犯人がこの中にいる。演奏会選抜メンバーの仲もギクシャクします。それでも、音楽は彼らをひとつの高嶺に連れて行きます。その演奏曲は大好きなラフマニノフピアノ協奏曲第二番。この曲が奏でられる定期演奏会での描写は圧巻。まるで音楽が聴こえるようで鳥肌ものでした。
    謎は臨時講師のピアニスト岬洋介によって明かされていきます。明かされていく真実は、え、そうなの?!ってものまであります。密室のトリックもあ、あれが伏線だったのー!なんて、もうびっくりでした。
    ラストの学長も孤高の音楽家らしい終わり方だったのではないでしょうか。とにかくもう、岬先生、カッコ良すぎ!

  • クラシックに疎いので、曲名が出て来るとYouT oubeでその曲を聴きながら読み進めた。密室でストラディバリウスのチェロが盗まれるという事件のトリックはもちろん、学長のピアノが水浸しになった事件、学長の殺害予告の犯人が誰なのか考えながら読み進めたがまさかの人物に驚いた。また、よほどの才能と運、そしてコネがなければ音楽で食べていくのは難しいことも改めて思い知った。避難所の体育館での岬先生と晶の演奏シーンと定期演奏会での演奏シーンが臨場感に溢れていていつまでも心に残った。

  • 私は昔クラリネットを吹いていたけど、もっとがむしゃらにやっていればよかった、そして辞めずにずっと続けていれば良かったと、読んでいてそんな気持ちが湧いてきました。
    音楽の描写がものすごくて、ステージに立つ緊張感や、みんなとハーモニーを合わせ、指揮者と呼吸を合わせる瞬間、そんなことを鮮明に思い出させられました。
    ミステリーなんだけど、それ以上に音楽家を目指す人たちの葛藤や成長がとても素晴らしく描かれていました。

  • 先日、「有川浩」改め「有川ひろ」さんのサイン会に行き、たっぷり有川さんの作品を購入したにも書かわらず、中山七里さんにハマってみた。

    「さよならドビュッシー」の続編がこちら。異色のピアニスト、岬洋介が指揮を務める物語。音楽のシーンは相変わらずの迫力。クラッシックはほぼ聴いたこともないのに前作と同様、不思議と音の波が目の前に迫ってくる様子が思い浮かぶ。時系列的には前作のコンクール後になる。

    構成としては前作と同じで、音楽青春物語にミステリ要素が加わっている。そして最後に意表を突く新事実が明らかにされるのも同じ。だからといって飽きたわけではない。岬先生の言葉が素晴らしい。勇気と希望を与えてくれるが、悪魔的な魅力も感じる。タイトルがまた、最後で胸に刺さる。

  • 2017年200冊目!
    岬シリーズ第2弾。
    前作の内容があまりに残酷で、続編を読むことに抵抗があったが、この1年、かなりの中山作品を読んで、免疫が出来た頃かと思い、読んでみた。
    物語はいきなり2億円のストラディバリウスのチェロが音大から盗まれることから始まる。
    そのまま、解決に向けた話が展開するのかと思いきや、ラストまでほぼ音楽の話。
    うーん…専門用語が多く、単純に中山作品にミステリーを求めている人には物足りないような気がする。
    おまけみたいに発生する事件も、脈絡がないし…
    でも、音楽の物語としてみても、技術的な説明はあっても、音の深みのようなものは伝わらない。
    岬の存在も、他のシリーズの主人公ほど、強烈ではなく、いろんな方向から見てみても、私には物足りない一冊。
    でも、協奏曲を全てのパートを字で表すのは、難しいと思う。楽器を知らない人には、かなり難解な作品かも。

  • 岬洋介シリーズの2作目。
    これが一作目と誤解して手に取ってしまった後で2作目と気付き、さよならドビュッシーは映画で見たからまぁ良いかと思い読み始めた。

    音大でヴァイオリンを学んでいる城戸晶が主人公だ。
    岬はその音大の講師という立場。
    大学は学園祭に向けて学長(希代のピアニスト)が参加するオーケストラの公演が開かれる予定だったが、ストラディバリウスのチェロの盗難、学長のピアノ浸水、学長への殺害予告…次々と事件が起こる。
    大学の判断で警察に届けることもしなかったため、この事件を真っ向から解決しようとする人間はラストまで現れない。なぁなぁに、みんな不安な気持ちを抱きながら日常を送っていく。
    私は、大学での事件より、晶の周囲で起きた、バイト先の定食屋での事件や、大雨被害による避難…という出来事の方が大きく感じてしまって、大学内での事件についてはあまり謎解きする気持ちにならなかったなぁ。

    音楽とは職業ではなく生き方だ、というのは良い言葉ですね。
    最後の最後で、おやすみラフマニノフというタイトルの意味が分かって、すごく腑に落ちました。
    失礼ながら、この岬洋介シリーズのタイトルは、「あいさつ」+「音楽家の名前」という形式的なタイトルなのかなぁと思っていた。
    こんなふうに一人の人間の生き様去り際を音楽になぞらえているのね…、と、妙にオシャレだなと感心してしまいました。

    音楽に疎い、クラシックの知識ゼロの私ですが、この本に登場した楽曲は一通り聞いてみました。
    本文でも言われている通り、ラフマニノフピアノ協奏曲第2番って有名な曲なのね。私ですら耳に覚えがあるメロディでした。

  • 岬洋介氏が活躍する音楽ミステリー、第2弾。
    他のシリーズも、音楽シーン満載ですが、本作もピアノやオーケストラなどの音楽シーンが満載です。

    第一バイオリンのコンマスである晶(あきら)と、学長の孫でもあるチェロ担当の初音(はつね)は、秋の定期演奏会のメンバーに選ばれ、プロへの道を進むべく、猛練習に励む。

    しかし、ある日、時価2億円と言われるチェロ、ストラディバリウスが忽然と盗まれた。完全なる密室の中、なぜ?、どの様に?

    続く学長のピアノの破損事件や、学長への脅迫状など、次々と事件が起こる。果たして、無事に定期演奏会は、開催されるのか?

    前作の『さよならドビュッシー』とのリンクも、数々の場面で登場し、嬉しくなります。

    最後のどんでん返しもピリッと効いて、物語は、静かに幕を閉じます。

  • 読書をしていると、時に登場人物から素敵な言葉を頂いたりします。この作品にも胸に残る言葉や思いがたくさんありました。
    ミステリーなんだけれど、自分の人生を振り返って考えさせられるような、そんな作品でした。
    しかし、岬洋介…。カッコいいな…。

  •  中山七里さんとの最初の出会い?は「御子柴礼司シリーズ」で3冊読んでから、原点に返って最初から読もう!という気になり、「さよならドビュッシー」を読んだのが今年の2月で、それからもう5ヶ月も経過してしまいました。
     「おやすみラフマニノフ」は「岬洋介シリーズ」の2作目ですね。
     今回もまた音楽に関する知識や演奏の表現が凄かったです。中山七里さんをWikipediaで検索すると『中山本人は音楽に関して素人であり、楽器も何も演奏できない』と書いてあります。ちょっと信じられませんね。読んでいるだけで音楽に関して全く素人の私でさえ演奏時の情景が浮かぶくらいなのに。
     私にとって一番印象に残ったのは、大雨で避難した体育館で、多くの避難者を前に2人で演奏したシーンです。こんな状況でも聴衆を引き付ける演奏はどんなに素晴らしかったのでしょうね。是非聴いてみたかったです。
     岬洋介シリーズ3作目を手にするのはいつになるのかな?今から楽しみです。

  • 前回と違って思った通りの結末でしたが、音大舞台の人間ドラマが楽しかったです。

    確かに実際音楽家は裕福な家庭が多いと思います。それに抗う情熱と愛情。応援したくなる。
    音楽の素晴らしさが熱量と分析を持って美しく描かれていました。
    好きなシーンはやはり避難所で、音楽を奏でる喜びがエネルギッシュに伝わるシーンです。
    羨ましい。

    それと今回の被害者は人間ではないという事は新鮮でした。

    あと、普段解説は読まないけれど、
    仲道郁代さんということで解説も読ませてもらいました。

  • 一作目が面白かったので、2作目を読んだ。
    自己模倣とまでは行かないにしても、一作目のインパクトには遠く及ばずか。

    チェロ(ストラディバリ)の盗難事件の真相は、「そんなん、あり?」と思うようなネタだった。

    体育館のシーンと、最後の血まみれ演奏のシーンは良かった。

  • 時価2億円のチェロ ストラディバリウスが盗まれる。
    事件は、そこから始まる。
    学長のピアノも水浸しとなって、使い物にならなくなる。
    ピアノを心得たものの仕業。
    岬洋介の遠くから徐々に近づいていく手法は、
    なるほどと思わせ、犯人も見つけ出してしまう。
    オーケストラを、オーケストラに仕上げていく。
    なるほど。そして ラフマニノフの名曲を文字で表していく。
    目で読みながら、耳で曲を聴いているような錯覚が起こる。
    この才能が、素晴らしい。

    愛知県や岐阜県が舞台になるというのも、いいなぁ。

  • 前作ほどの驚きはなかったかな。でも面白くてすらすら読めます。

  • ミステリであることを忘れるくらい音楽小説のようだけど、ラストになってミステリだったことを思い出した。

    演奏シーンはラフマニノフをかけながら読んでみたらめっちゃよかったー。

    解説にもありましたか、CD付きあったら嬉しいな。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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