灘校・伝説の国語授業 本物の思考力が身につくスロ-リ-ディング

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796686976

感想・レビュー・書評

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  • 私立のカリキュラムは学習指導要領に依らなくても良いものなのかという疑問はあるものの、橋本先生と同じように生徒が関心を持つことができればそれは楽しい国語授業になることだろう。
    そこまで生徒の興味関心を引き付けたものは何だったのだろうか。3年間を通して『銀の匙』を読み進めていくということだから、作品の良さだけでは引っ張れないと思う。

    色々な寄り道が紹介されていたが、それらを教師が話すだけなら生徒はついてこないと思うし、生徒が時間内に調べるのは難しい。課題で調べる→授業で共有し、次へ読み進めて新たな疑問を見つける→課題とする、というサイクルだろうか。だとすれば文学ゼミみたいな進め方である

  • 以前、書評で見てからいつか読みたいと思っていた1冊。
    さくっと読めます。
    久々に『銀の匙』をまた読んでみたいなと思いました。
    作者の先生は、101歳でなくなられていたのですね。知りませんでした。
    ご冥福をお祈り申し上げます。

  • この著者の国語の授業は素晴らしかったのだろうけど、この本はそれほどでも・・・といった感じ。

  • 2015/8/31bookoffで購入。

  • 「伝説」は少し言い過ぎの観があるが、一行一行に出てくる言葉へのこだわりと逸脱は、矢張り教育とは「教師の教養」如何でどうともなる、あるいは、それが一切の問題だということを思わせる。現在の教育の惨めな状況をもたらせたのは、教科書やシステムや政治の問題ではない、教師が徹底的に学問的にアホになった、或は、学問的な向上心に乏しいというに尽きる。まあ、労働者・サラリーマンにそんなことを求めても、と日教組は言うかもしれないが、世間のサラリーマンの方が(最低でも教師と同等の給料を得ているサラリーマンは)、その辺の教師よりずっと勉強しとるということはもう少し強調されてもよい。著者は、諸橋先生について大漢和辞典の編纂に関わった。矢張り、格が違うというしかない。もう一点、本著が示唆しているのは、著者の講義が、しょうもない道徳的な国語教育とは全く別次元のものであるということだ。つまりは、あほな教師ほどやわらかい道徳教育として国語を教えている(つもりになっている)ということだ。

  • 寄り道は楽しい。寄り道できる知識や経験がなければ寄り道はできない。
    一番は子ども自身が寄り道できること。

  • 一気に流行ってしまったので読みそびれていたが、職場に参考図書として届いたので早速読ませてもらった。はじめは灘中だからできることだろうと思っていた。しかし、どうやらそうでもなさそうだ。まだ、灘中が無名の私立校で、戦後やっと併設の高校ができたころからスタートした授業なのだから。「銀の匙」を題材にしたスローリーディング(寄り道三昧)の授業についてはずいぶん有名になったけれど、本書を読むとその雰囲気を味わうことができる。干支の話とか、節句のこと、虫がつくことば、国字や呉音・漢音・唐音のことなどなどおもしろい話題が満載だ。そして、その中でも一番自分として感動的だったのは連声の話。いま「れんじょう」と打って変換すると一発で「連声」と出てきたから、きっと「恋情」よりも一般的な言葉なのだろう。しかし、私はこの年までそれを知らなかった。「銀杏」はこれで「ぎんなん」と読むのだと単に暗記していた。それが「ぎん+あん」から来ているとは、ちょっと考えれば分かるはずなのに、まったく思いが及ばなかった。「反応」にしても「天皇」にしても同じこと。結局、どの段階でも一度も習わなかったということなのだと思う。反して、外国語ではそういう例があることをきちんと教わった記憶がある。「リエゾン」なんていうことばも知っている。「レゾンデートル」なんて典型的な例だって言える。理科の授業で「天王星」を「てんのうせい」と読むのか「てんおうせい」と言っておいた方がよいのかいつも迷いながらごまかしていた。漢字で書いてしまえば分からないし、ふりがなを打つこともまずない簡単な漢字だから何とかなっていた。しかし、これで「てんおうせい」は完全に間違いだと分かった。変換すると「天旺盛」となってしまうのだから。まことにお恥ずかしい限りです。

  • 実際に授業を受けてみたかった!
    自分の心掛け次第なのかもしれませんが、これは本として読んでもなぁ、というのが正直な感想です。
    スローリーディングの4つのポイントには文句なく同意できますので、その例が書かれた後半の2/3を、今後の読書に生かせればと思います。

  • きっとやってきた本人はそこまで大層なことをしてきたつもりはないのだろうが、結果必要な読解力・好奇心を養えるのであれば、効果が高いやり方なのだろう。
    問題は、普通の学校ではここまで時間をかけて寄り道しつつ進むことが難しいということか。

  • チェック項目3箇所。スローリーディングのポイント……寄り道する、追体験する、徹底的に調べる、自分で考える。1868年に起きた戊辰戦争も「戊辰」の年に起こった出来事なので、こう呼ばれているのです。平均寿命が50歳にも満たなかった時代、40歳をすでに「初老」と称した感覚からは、60歳は驚異的な長寿であったろうと思われます。長寿社会により行われるようになった長寿の賀で、新しく加えられたもの……茶寿(108歳)、「茶」を分解し、草かんむりは「十」が並んで、「二十」、その下が「八十八」となり、合わせて「百八」となります、皇寿(111歳)、「皇」の下部の「王」の上の「一」を「白」の上につけると「百」となり、あとに「十一」が残るから、大還暦(120歳)、2度目の還暦に当たる年です。
    「NEXT READING」
    (スローリーディングの効果は……?)語彙が増える、自分で考える力がつく、文章向上、記憶力アップ、調べる力がつく、言葉に敏感になる、読み解く力が強くなる、好奇心が刺激され学ぶことが楽しくなる。
    (スローリーディングとは……?)薄い文庫本を3年かけて読み解く、寄り道(キーワードを調べる)、追体験(本の中のことを実際にやる)、徹底的に調べる、自分で考える。
    (スローリーディングは1冊とどれ位で読むのか……?)「ぺんぺん草」について2週間費やすこともある(1ページ)。

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著者プロフィール

明治40年(1907年)生まれ。大正12年(1923年)、母の身上をご守護いただきお道を知る。14年、創設された天理外国語学校へ第1期生として入学。華南伝道庁長、宣教部海外課長、亜細亜文化研究所(後のおやさと研究所)主任、道友社長、にをいがけ委員会広報放送係主任など歴任。昭和30年(1955年)、本部准員。37年、斐山(ひざん)分教会長。46年、65歳で出直し。

「2021年 『出直しの教え 死の救い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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