- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796686976
感想・レビュー・書評
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私立のカリキュラムは学習指導要領に依らなくても良いものなのかという疑問はあるものの、橋本先生と同じように生徒が関心を持つことができればそれは楽しい国語授業になることだろう。
そこまで生徒の興味関心を引き付けたものは何だったのだろうか。3年間を通して『銀の匙』を読み進めていくということだから、作品の良さだけでは引っ張れないと思う。
色々な寄り道が紹介されていたが、それらを教師が話すだけなら生徒はついてこないと思うし、生徒が時間内に調べるのは難しい。課題で調べる→授業で共有し、次へ読み進めて新たな疑問を見つける→課題とする、というサイクルだろうか。だとすれば文学ゼミみたいな進め方である詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
以前、書評で見てからいつか読みたいと思っていた1冊。
さくっと読めます。
久々に『銀の匙』をまた読んでみたいなと思いました。
作者の先生は、101歳でなくなられていたのですね。知りませんでした。
ご冥福をお祈り申し上げます。 -
この著者の国語の授業は素晴らしかったのだろうけど、この本はそれほどでも・・・といった感じ。
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2015/8/31bookoffで購入。
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「伝説」は少し言い過ぎの観があるが、一行一行に出てくる言葉へのこだわりと逸脱は、矢張り教育とは「教師の教養」如何でどうともなる、あるいは、それが一切の問題だということを思わせる。現在の教育の惨めな状況をもたらせたのは、教科書やシステムや政治の問題ではない、教師が徹底的に学問的にアホになった、或は、学問的な向上心に乏しいというに尽きる。まあ、労働者・サラリーマンにそんなことを求めても、と日教組は言うかもしれないが、世間のサラリーマンの方が(最低でも教師と同等の給料を得ているサラリーマンは)、その辺の教師よりずっと勉強しとるということはもう少し強調されてもよい。著者は、諸橋先生について大漢和辞典の編纂に関わった。矢張り、格が違うというしかない。もう一点、本著が示唆しているのは、著者の講義が、しょうもない道徳的な国語教育とは全く別次元のものであるということだ。つまりは、あほな教師ほどやわらかい道徳教育として国語を教えている(つもりになっている)ということだ。
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寄り道は楽しい。寄り道できる知識や経験がなければ寄り道はできない。
一番は子ども自身が寄り道できること。 -
一気に流行ってしまったので読みそびれていたが、職場に参考図書として届いたので早速読ませてもらった。はじめは灘中だからできることだろうと思っていた。しかし、どうやらそうでもなさそうだ。まだ、灘中が無名の私立校で、戦後やっと併設の高校ができたころからスタートした授業なのだから。「銀の匙」を題材にしたスローリーディング(寄り道三昧)の授業についてはずいぶん有名になったけれど、本書を読むとその雰囲気を味わうことができる。干支の話とか、節句のこと、虫がつくことば、国字や呉音・漢音・唐音のことなどなどおもしろい話題が満載だ。そして、その中でも一番自分として感動的だったのは連声の話。いま「れんじょう」と打って変換すると一発で「連声」と出てきたから、きっと「恋情」よりも一般的な言葉なのだろう。しかし、私はこの年までそれを知らなかった。「銀杏」はこれで「ぎんなん」と読むのだと単に暗記していた。それが「ぎん+あん」から来ているとは、ちょっと考えれば分かるはずなのに、まったく思いが及ばなかった。「反応」にしても「天皇」にしても同じこと。結局、どの段階でも一度も習わなかったということなのだと思う。反して、外国語ではそういう例があることをきちんと教わった記憶がある。「リエゾン」なんていうことばも知っている。「レゾンデートル」なんて典型的な例だって言える。理科の授業で「天王星」を「てんのうせい」と読むのか「てんおうせい」と言っておいた方がよいのかいつも迷いながらごまかしていた。漢字で書いてしまえば分からないし、ふりがなを打つこともまずない簡単な漢字だから何とかなっていた。しかし、これで「てんおうせい」は完全に間違いだと分かった。変換すると「天旺盛」となってしまうのだから。まことにお恥ずかしい限りです。
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実際に授業を受けてみたかった!
自分の心掛け次第なのかもしれませんが、これは本として読んでもなぁ、というのが正直な感想です。
スローリーディングの4つのポイントには文句なく同意できますので、その例が書かれた後半の2/3を、今後の読書に生かせればと思います。 -
きっとやってきた本人はそこまで大層なことをしてきたつもりはないのだろうが、結果必要な読解力・好奇心を養えるのであれば、効果が高いやり方なのだろう。
問題は、普通の学校ではここまで時間をかけて寄り道しつつ進むことが難しいということか。