【映画化】完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796687874

作品紹介・あらすじ

第9回『このミス』大賞受賞作品。植物状態になった患者とコミュニケートできる医療器具「SCインターフェース」が開発された。少女漫画家の淳美は、自殺未遂により意識不明の弟の浩市と対話を続ける。「なぜ自殺を図ったのか」という淳美の問いに、浩市は答えることなく月日は過ぎていた。弟の記憶を探るうち、淳美の周囲で不可思議な出来事が起こり-。衝撃の結末と静謐な余韻が胸を打つ。

感想・レビュー・書評

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  • SFサスペンス。
    これにアクションが加わればもうハリウッド映画みたいな設定。
    現実と夢の区分は当事者には難しい。
    誰もは一度は考えるテーマかもしれません。
    びゅんびゅん話は飛び、恐ろしいと思った。
    「この世界が現実かどうか試したくなった」
    っていうセリフが印象的でした。

  • 少女漫画家の和淳美は、昏睡状態の人間と対話できる「SCインターフェース」を通じて意識不明の弟と対話を続けるが、意識下での自殺を繰り返して淳美を拒絶する彼に傷ついている。

    力作の首長竜のイラストを粗暴な祖父に破り捨てられた記憶。幼い弟が溺れそうになった海の記憶。徐々に曖昧になる現実と思い出の境目。

    比較的早い段階で推測できる仕掛けですが、暗いのは変わらず・・・

    「アザーズ」と「パプリカ」を融合させたような・・・。
    映画だとふたりは恋人同士という設定のようですがどんな仕上がりになっているのかな。

  • 久しぶりに一気読みしました。気になってほんとに止まらない。色んな布石が繊細でリアルで(でもほんとのrealではなくて)…ナッツのように後引く話でした笑 そして最後がまた…終わり方が良いですコレは大賞とりますね。ぜひ読んでいただきたい作品です。メチャクチャ面白かった。

  • 理解していくのに必死だった。

    夢の世界、記憶の世界、現実の世界。
    どこからどこまでがどの世界なのか。

    人の脳とリンクできるようになって、それを記録できるようになったなら、それは面白いことかも知れない。

    アナグラム、好きです。

  • このミス大賞&映画化作品。
    映画化…難しかっただろうなぁ。これをどう表現したのか見てみたい気もする。

    センシングと呼ばれる特殊な機械を使って、自殺未遂を起こして昏睡状態となった弟の脳の中へ入り込み対話をしていくという、SFミステリ。

    現実と意識の中の世界が交錯し、そのどちらにいるのか分からなくなるような、ふわふわとした雰囲気が魅力。

    途中で展開が見えてしまったのと、結末は悲しい。

  • タイトルになんだか引っかかるものを感じると思ったら
    「バナナフィッシュにうってつけの日」を引き合いに出した話でした。
    なるほど。まあ、ちょっと寂しい解釈だけどなー。

    本筋はSF心理ものなんですけど、
    情景描写として奄美諸島の貧しい島の様子なんかが恐ろしく緻密に描かれていて、
    ちゃんとした重みと湿度のあるお話でした。

    ただ、身内に同様の状況がある身としては、
    昏睡患者と物理インターフェースを介して
    意思の疎通ができるという設定は、
    夢はあるものの現実味を感じにくかったな。

    自分の感覚としては人間の意識なんて物理現象にすぎないと思うので、
    魂みたいな話になるとうーんとなってしまう。

    それでもエンターテイメントとして全然楽しめます。

    現実が神の見ている夢ならば、
    僕たちはみんなフィロソフィカル・ゾンビだろう。

  • 発想は素晴らしいが、意識障害者とのコミュニケーションの部分の引用や比喩がオタクすぎる。
    弟も死んでいて、主人公も実世界にいない。じゃあ、だれがこの患者の運営管理をしているんだい??

  • 不思議な読後感。
    ミステリというよりはSF小説だと思う。
    SCインターフェースという架空の医療機械を通して夢と現実を行き来する。
    日常がいきなりグニャと非現実に変わる場面が何度もあるが村上春樹のような感覚。
    もう少し物語のスケールが大きければもっと面白かった気がするのだが、設定やアイデアなどがとても新鮮で新しい読書体験ができた。

  • 読み終わった瞬間、「面白かった~」と思わず、呟いた一冊です。数年前に映画化されていて、気にはなっていたのですが、未読のままでした。

    少女漫画家の和淳美が植物状態の弟と、ある方法で対話し、夢とも現ともつかない世界を幼いころの記憶を織り交ぜながらさまよい、いつしか自分自身をも信じられなくなっていく・・・といった不思議だけれど、実際にこんなことあるかも、と思ってしまう説得力に満ちた文章が魅力的な一冊です。

    図書館スタッフ(学園前):トゥーティッキ

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    帝塚山大学図書館OPAC
    https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/763948

  • タイトルに惹かれて購入。
    うわぁ、、、というのが読み終わった時の感想。謎?自体は半分も読めば予想できるものなのだが、ラストはちょっと遣り切れない感じ。
    サクサク読めたし自分好みの文体だと思うので、作者を覚えておこう。

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。小説家・劇作家。2010年『完全なる首長竜の日』(宝島社)で第9回「このミステリーがすごい!大賞」を、『忍び外伝』(朝日新聞出版)で第2回朝日時代小説大賞を受賞しデビュー。2013年『忍び秘伝』(文庫化タイトル『塞ノ巫女』)で第15回大藪春彦賞候補。近年は作品の英訳版が発売され、中国のSF雑誌にも掲載されるなど、海外での評価も高い。『機巧のイヴ』シリーズ(新潮社)、『見返り検校』(新潮社)、『僕たちのアラル』(KADOKAWA)、『ツキノネ』(祥伝社)、『ねなしぐさ 平賀源内の殺人』(宝島社)など、著書多数。

「2020年 『ドライドックNo.8 乾船渠八號』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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