ある少女にまつわる殺人の告白 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 469
レビュー : 70
  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796688987

作品紹介・あらすじ

第9回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞作品。
長崎県南児童相談所の所長が語る、ある少女をめぐる忌まわしい事件。10年前にいったい何が起きたのか―。小学校教師や小児科医、家族らの証言が当時の状況を明らかにしていく。さらに、その裏に隠されたショッキングな真実も浮かび上がる。関係者に話を聞いて回る男の正体が明らかになるとき、哀しくも恐ろしいラストが待ち受ける。

感想・レビュー・書評

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  • 某児童相談所の所長と、
    その他の様々な人のモノローグのみで構成。

    何やら過去の痛ましい事件について述べているが、
    半ばまで読み進んでも、事件の全貌はおろか
    「誰が被害者なのか」すら分からない(^ ^;

    後半になって、やっと事件の概要が掴めるも、
    ちょっとしたモノローグの一言で、
    「え、それ話が違うじゃん」と不安にさせられる(^ ^;

    簡単に言ってしまうと、テーマは家庭内暴力。
    小学生の女の子が、母の内縁の夫に虐待されている。
    そのことに関しては(一応)間違いがない。

    が、この被害者の女の子も一筋縄では行かず(^ ^;
    どうやら「いじめたくなるオーラ」と
    「庇護したくなるオーラ」を同時に発生中で、
    この子の行く先々で新たなる加害者と被害者と、
    主人公を護るヒーローが生まれる。

    舞台となる長崎の方言をうまく活用して、独白のみで
    とてもふくよかな登場人物を描き出している。
    そして「巧みな」「周到な」ミスリードと相まって、
    重いテーマでありながらページを繰る手を止められない。

    いや、これがデビュー作とはクリビツテンギョー(^ ^;
    最初から最後まで「手のひらの上で踊らされた」感(^ ^;

    「消防女子」を気に入って買ってみたが、
    全くもって毛色が違う。何もかも違う(^ ^;
    この作者の懐の広さは、いったいどんだけなんだろう...

  • 最初は視点が変わるのが、あまり入り込めなくて読みづらかったけど、最後の最後は一気に読めた。
    結局、卵とにわとりどちらが最初かわからないけど、こういう環境に育った遺伝子は、結局そういう人とめぐり逢うのかな。
    私の周りにはいないし、そうまでして結婚続けなくても生きていける女性ばかり。
    児相の大変さは今まで考えてなかったけど、こういう事件がある度に、電話とかしないまでも、何とかできなかったもんかいなと思っちゃう方だったけど、考えさせられた。
    そして周りの勝手な想像が、より被害者を作ってる気がする。
    勝手に同情したり、人の罪をうやむやにすることで自分の罪ほろぼしをしたり。
    人って勝手だなと。

  • +++
    「亜紀ちゃんの話を、聞かせてください」10年前に起きた、少女をめぐる忌わしい事件。児童相談所の元所長や小学校教師、小児科医、家族らの証言を集める男の正体とは…。哀しくも恐ろしい結末が待ち受ける!2011年『このミス』大賞優秀賞受賞作。
    +++

    ジャーナリストを名乗り、亜紀ちゃんの過去のことを訊ねて回る男は一体誰なのか。幼いころから母の恋人に虐待されていた亜紀ちゃんはどんなふうに育ちどんな人生を送っているのか。さまざまな興味からページを繰る手は止まらない。虐待する親の身勝手に心が波立ち、児童相談所の力の及ばなさには地団太を踏みたくなるようなもどかしさを感じ、亜紀ちゃんの逞しさを応援したくなる。だが……。世間の目から隠された家庭の中で起こっていたことは、想像を超えることだった。そして、男の正体が判ったとき、何も解決されず、なんの光明も見えないラストが待っていて、胸に石をつめこまれたようなやりきれない思いに満たされるのである。深く深くため息をつきたくなる一冊である。

  • インタビュー形式で進んでいくストーリー。
    湊かなえの告白もたしかそんなんだったような。。。
    読み始めた時から
    「インタビュアーは誰か」
    「少女はどうなったか」
    「なにがあったのか」
    の3つがメインで気になってたこと。
    最後はうまいこと収まったなって感じ。

  • そうなりますか。。。希望があったのにラストに近付くと、ん?となる感じ。

  • 児童虐待を扱っているので、痛々しい内容だと思います。
    子供達が虐待死するニュースを見ては、「親は鬼畜」だの「行政や児相は何をやっているんだ」と騒ぎますが、大事なのは虐待される子供に逃げ道や受け入れる場所を作ることかもしれません。

    裏表紙や帯を先に見ると、面白さが半減します。
    ネタバレはしていませんが、オチが読めてしまいます。

    とある人物が、少女の虐待に纏わる事件を聞き回っています。
    その為、様々な語り手がめいめい喋っている形式になっています。
    時系列順にはなっていません。
    事件に深く関わっている児童相談所の所長の話がメインになっています。

    児相の所長・隈部の元に、旧友からの電話が来る。
    旧友は小児科の医師で、虐待された可能性のある少女が病院に運ばれてきたらしい。
    実際に少女・亜紀と会うと、聡明で卑屈なところは見られなかった。
    しかし、亜紀は「家に帰りたくない」と言ってくる。
    隈部は、亜紀を一時保護しようと考える。

    亜紀の母親に会うと、「娘を帰してくれ」の一点張りだった。
    虐待を認めるが、一時保護に関しては承諾してくれなかった。

    亜紀を入院先の病院から児童相談所に移動させる途中で、杉本が亜紀を連れ去った。
    杉本は母親の男で、籍は入れていない。
    当初、母親は「娘と暮らしている」としか言っていなかった。
    その理由は、児童扶養手当を貰う為だった。
    母親が「福祉事務所には黙っていろ」と言ってくる。
    隈部が一時保護のことを言うと、「じゃあ言えば?お手当が貰えなくて困るのは亜紀もですけど」と返してきた。

    亜紀を保護したいが、その場合、母子の再統合は難しいし、杉本が大人しくしている訳がない。
    しかし、亜紀と密かにコンタクトを取っていた少年からの電話によって、亜紀と接触することが出来た。
    亜紀を一時保護することに成功した隈部は、亜紀の母親に「杉本と亜紀のどちらを取るか」と問う。
    母親は「亜紀を取る」と答えた。

    母親は真面目に働いて、頻繁に亜紀と面会をする。
    母子の様子は悪くない感じだった。
    母子を逃がす先は、亜紀の祖母がいる東京に決める。
    「祖母の元に亜紀の妹を預けている」と母親が言っていたからだ。

    計画は順調に進んでいたが、母子を空港に送る途中で杉本と出くわす。
    「また亜紀を連れ戻すのか」と危ぶんでいたが、不気味なくらい何もしてこなかった。
    そのことを気にしながらも、無事、母子を空港の搭乗口まで送ることが出来た。

    隈部は「これで母子が再出発出来る」と胸を撫で下ろしていたが、旧友からの電話を受けて、とんでもない失敗をしたことに気付く。
    旧友が仕事で東京に向かった時、亜紀達の様子を見ようと思っていたが、母子は東京にいなかったらしい。

    亜紀の祖母がいるというのは嘘で、隈部と電話で話した相手は杉本の母親だった。
    しかも、亜紀の妹も預けられてはいない。

    「ちゃんと調べてよ」と行政や児相が責められそうですね。
    人員不足な上、本当の意味でのプロフェッショナルが仕事に携わっていないから無理だとのことですが。

    隈部は亜紀の家に向かうと、警察と一緒に立ち入り調査をする。
    中にいたのは、杉本、母親、亜紀、そして亡くなった妹だった。
    杉本と母親は逮捕されて、亜紀は施設行きになる。

    妹は充分な栄養を与えられていなかったらしく、虐待された形跡があった。
    杉本と母親が死なせたことになっているが、妹を殺したのは亜紀だった。
    隈部はそのことを知っていたが、そこまで追い詰めたのは大人達だと考える。

    成長した亜紀は、上京してデパートに勤めた。
    隈部に電話をしてくれた男のコ・入江と同棲していたが、入江は杉本を駅のホームで突き飛ばして殺した為、刑務所行きになる。

    亜紀は事件のショックを引きずっていて、病院でカウンセリングを受けていたが、そこの医者と結婚をしていた。
    亜紀をカウンセリングしていた医者が過去の事件を聞き回っていた。

    ラストで亜紀は幸せそうにしていますが、医者の連れ子を虐待している可能性があります。
    息子を救う手口を見つける為に、事件の関係者と接触していたのかな。

    亜紀には、残酷で醒めたところがあります。
    自分を助けてくれる相手には媚びて、用なしになると簡単に捨ててしまいます。
    酷いと思いますが、あんな環境にいたら歪みが生じるわ。
    それでも、明日香や入江くんは可哀想だよね。
    「隈部を好きではない」と言っていたことに悲しくなりました。
    何度もミスはしましたが、あんなにも頑張ってくれたのになあ。

    バッドエンドのような終わり方ですが、医者の取り組み方によっては亜紀の歪みが緩和されるかもしれません。
    ただ、離婚をするような男なので、大丈夫なのか心配ではありますが。

  • 読むうちになんとなく分かった。どちらかに大きく傾くか、と読み進めて行ったがちょっと中途半端。 自ら手を汚さず行くとこまで行く展開を期待したが違った。 従順な手下達が可愛そう。 そして、繰り返される悪夢。

  • ありがちな物語ではあるが、描写が鋭く、感情移入してしまう。
    伝聞形式の記述であるが、それを忘れるくらい。
    ちょっと、ラストは背筋が寒くなったのは私だけだろうか?

  • 少し読んでいくと少女の行く末がなんとなく想像出来て、暗い気持ちになっていく。物語は児相の所長をはじめ当時の少女の関係者へのインタビューというかたちで進んでいく。後半になると、そもそも事件とは?インタビュアーは誰?という疑問が出てきて、そして衝撃のラストを迎える。初めの想像以上の位気持ちになる。

  • 第9回『このミステリーがすごい!』大賞の優秀賞受賞作だそうです。同回の大賞受賞作は『完全なる首長竜の日』でした。『首長竜』を含め、このミス大賞受賞作の映画版には最近唖然とさせられることが多く、そのせいでこのミス受賞作品からも足が遠のいていましたが、友人から面白かったと聞いてほなら読んでみようかと。

    10年前に起きた長峰亜紀という美少女にまつわる忌まわしい事件について、当時の関係者に話を聞いて回る人物。その人物が誰であるのかは最後まで明かされないまま、インタビュー相手のモノローグ形式で進められます。亜紀は母親の内縁の夫から虐待を受け続けていました。インタビュアーの取材に応じたのは、彼女の保護に奔走した児童相談所の所長。何を考えているのかわからなくて彼女のことが苦手だったと告白する小学校の担任教師。近所の住人、母親の勤務していた店の雇い主、同僚、亜紀の同級生などなど。

    反則技的な叙述トリックなどはなく、ただ各人の証言が連なります。その様子は、一般人が話す状況描写としては比喩が上手すぎてリアリティには欠けます。「水に落とした絵の具が広がるように」なんて言い方、普通はスッとは出てこないでしょう。が、現実味はないとしても丁寧に書き上げられていることがわかり、話を盛り上げるのに一役買っています。ひとつひとつの証言にも興味を引かれ、頁をめくる指が止まりません。

    このさき若干ネタバレです。

    非常に面白くてあっというまに読み終わりましたが、ものすごく嫌な終わり方。叙述トリックではなかったけれど、死んだのはそっちかい!とツッコミ。ま、確かに、騙していたわけではありません。さらにインタビューの主と目的がわかったときには愕然。虐待の連鎖はこうして続く。

    嫌な終わり方だったという点で、★3。ただし、読み物としての面白さという点では★4です。

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著者プロフィール

佐藤 青南(さとう せいなん)
1975年生まれ。男性。
熊本大学法学部に入学するが途中で除籍し、上京してミュージシャン活動を行う。『ある少女にまつわる殺人の告白』で第9回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、2011年同作でデビュー。2016年、『白バイガール』(実業之日本社)で第2回神奈川本大賞を受賞。

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