さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 1890
レビュー : 211
  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796695626

作品紹介・あらすじ

完全密室の殺人、国会議員の毒殺事件など、5つの難事件に挑むのは……要介護探偵!

25万部突破『さよならドビュッシー』のエピソード・ゼロ!車椅子の玄太郎おじいちゃん&介護者・みち子さんコンビが大暴れ!玄太郎は下半身が不自由で「要介護」認定を受けている老人だが、頭の回転が早く、口が達者な不動産会社の社長。ある日、彼の分譲した土地で建築中の家の中(密室状態)から死体が発見された。お上や権威が大嫌いな玄太郎は、みち子を巻き込んで犯人捜しに乗り出す!ほか、リハビリ施設での怪事件や老人ばかりを狙う連続通り魔事件、銀行強盗犯との攻防、国会議員の毒殺事件など、5つの難事件に挑む!

本作は2011年に発売された『要介護探偵の事件簿』の文庫版です。

感想・レビュー・書評

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  • 安楽椅子探偵といえば、せこせこ現場を走り回ったり
    事件の関係者につきまとって、ねちっこく事情を問い詰めたりせずに
    ふかふかの椅子に腰かけたままで鮮やかに謎を解いてしまうイメージですが

    なんとこの本の探偵役は、半身不随のおじいちゃんでありながら
    車椅子を駆り、介護車両の運転者をアゴで使っては
    事件現場に乱入して、だらけた捜査に喝を入れつつ事件を解決してしまう
    元気いっぱいの「要介護探偵」!

    『さよならドビュッシー』の冒頭で、強烈な個性を垣間見せながらも
    あっけなく舞台を去る、あの玄太郎おじいちゃんが大活躍します。

    理屈に合わないと思ったら、老舗の料亭の女将だろうが警察のお偉方だろうが
    銀行襲撃中の強盗だろうが、完膚なきまで罵倒しまくり
    あろうことか「障害者レース」を企画して、オーダーメイド車椅子で疾走し
    介護車両を爆走させて、超危険物を載せた車を追跡する。
    と思えば、孫娘には目を細め、道を踏み外した若者たちを
    会社をつくって雇い入れ、更生させてしまったり。

    相性がいいのか悪いのか、なぜか中山七里さんのミステリはいつも、
    犯人もトリックも早い段階でわかってしまって、ちょっぴり残念なのですが
    そんなささやかな引っかかりなんか吹っ飛ばしてしまうくらい
    玄太郎おじいちゃんの破天荒な行状が小気味よくて♪
    他の中山さん作品では気になってしまう、四字熟語や硬い単語の羅列も、
    おじいちゃんが口から泡を飛ばしながら発すると、妙にしっくりくるような。

    遥とルシアのあどけない頃にも出会えるし、
    ペーパードライバーのくせに堂々と歩道に乗り上げながら
    介護車両で爆走する岬先生の勇姿も見られるし、
    『さよならドビュッシー』に愛着のある方なら、見逃せないシーン満載です。

    5つ収められた事件の、4つめまでを玄太郎おじいちゃんが解き
    5つめの事件をおじいちゃんと岬先生が協力して解決したあと、
    名探偵のバトンを渡すように、『さよならドビュッシー』の「あの夜」へと
    向かっていく車椅子の後ろ姿に、思わず駆け寄り引き止めたくなって。。。

    せつない余韻を残す前奏曲のような1冊です。

  • 「さよならドビュッシー」以前のおはなし。
    しかも冒頭の火事であっけなく死んでしまった玄太郎おじいちゃんが、要介護探偵として大活躍します。
    いやーでも、このおじいちゃん気持ちが良くてかっこいい。
    思っていてもまず口に出せないし、もはや不満を感じてもたいして疑問に思わず諦めてるってことをスパーンとぶった切ってくれる、この爽快さ。
    実際絡むのはとても大変そうだし、できれば絡みたくない存在かもしれないけど。
    介護ヘルパーのみち子さんがまた素敵です。

    音楽だけでなく、不動産や機械や模型や介護やリハビリや銀行強盗にまで造詣が深いのね。
    どの話もなかなか大胆な展開だけど面白かったです。
    岬洋介先生もちゃっかりおいしいところを持っていってくれました。
    もう一度「さよなら、ドビュッシー」読みたくなりますな。
    玄太郎おじいちゃんももう少し活躍してほしくなっちゃうなぁ。

  • 「さよならドビュッシー」のスピンオフで、おじいちゃんの玄太郎さんが主人公。とにかくパワフル。一度は半身麻痺で手も動かせず言葉も上手く喋れなくなったとは思えないパワフルさだった。
    色々な事を知っているからこそ書ける小説だなぁと、作者の中山七里さんに対して脱帽である。

  • 「さよならドビュッシー」の前日譚に当たる4編の短編集。時間の流れ的には「生還」「快走」「四つの署名」「冒険」「最後の挨拶」。
    「さよならドビュッシー」を先に読んでいたので達者な玄太郎の行動・言動、そしてそして香月家の面々を見てるとなんとなく切なくなる。
    「あぁ、この続きはないんだな。あの話に続いていくんだな」と。
    介護・父子関係など今の問題をモチーフにした事件が4編。
    「障害」に関して玄太郎の様な考え方は私はまだ辿りつかない。辿りつけるんだろうか?
    短編集で軽く読むつもりがいろいろ考えてしまった。
    (現実問題として他人事ではないから。自分も直面するかもしれないと考えてたら段々気持ちが重くなってきた。)

  • 人間の欲望や弱さみたいなものが色々な形で渦巻いていたように感じた。それに正面から体当たりで一喝していく玄太郎が清々しい。厳しい言葉を浴びせたり怒鳴っていても、相手を思っての言葉であることが多かった。けれども、少し寂しさの残るラストだった。

  • 玄太郎おじいちゃんの、抱腹絶倒の事件簿。

    岬シリーズがどちらかというとドリーミーな推理小説なら、
    こちらはお硬い社会派。
    主人公が車椅子に乗った、強健なおいじいちゃんだからね。

    トリック自体は難しくはないのだけど、
    読み手を飽きさせないテンポの良さ。

    各短編のタイトルがすべてシャーロックホームズシリーズに掛けてありますね。
    みち子さんは、さしずめワトソンかな。

    四作目までは楽しく読めていたんだけど、
    五作目ラストのシーンを読んだら、
    寂寥感がこみ上げてきた。

    あぁ、ちゃんと物語は続くのです。

  • 最後の最後まで楽しく読めたのに、ラスト2ページでこんなにも切なくなるとは思わなかった…!おススメ!

  • 「さよならドビュッシー」を先に読んでいたので、そこで序盤早々死んでしまう玄太郎が本作では探偵役ということにとまどいも。
    「さよなら・・・」や「おやすみラフマニノフ」の探偵役岬洋介も魅力だが、ユーモア小説っぽい本作も捨てがたく、ユニークな玄太郎探偵の活躍を、もっと見てみたいと思うのは、遊民子だけだろうか。

  • 今作は岬先生シリーズの『さよならドビュッシー』で初めの方に登場し、すぐ退場となった香月玄太郎氏のお話。
    『さよならドビュッシー』の方が先に発売されているが、時系列としてはこちらが先。
    玄太郎氏がなぜ車椅子生活になったかまで書かれています。
    シリーズでは岬先生と同じくらい大好きな方だったので、玄太郎氏が主役の今作はとても面白かったです。

    安楽椅子探偵、、ではなく車椅子探偵として車椅子に乗って暴れまわり、あちらこちらで啖呵をきる玄太郎氏のパワフルなこと!そんなおじいちゃん見たことない!
    玄太郎氏が不動産の社長ともあってか出てくる言葉が今回は音楽ではなく経済や建築などの専門用語が多く読みにくかったかも。
    しかし理不尽なことや無理やりなことも多々あるが、玄太郎氏の発言は筋が通っていて背筋が伸びる思いで読んでいました。
    私はきっと真っ先に怒鳴られるような人間なんだろうな~と。
    玄太郎氏の人間性も素敵だが、彼のお言葉は全て書き取って壁に貼り付けたくなりますね。

    収録されている「要介護探偵最後の挨拶」では岬先生がサプライズ登場。
    大好きな二人が共に事件を解決していく様はファンとしては嬉しいことこの上ない。
    普段は物腰柔らかく好青年な岬先生が、実はペーパードライバーで車道の混みように爪を噛む、そして苦渋の選択として人があふれる歩道を車で突っ走ろうとする。今まで見たことのない意外な一面が見れたようで思わず吹き出してしまいました。そんな岬先生も素敵です。
    そしてなにより、いつも元気で自分の信念は曲げず、頑固な玄太郎氏がこの最後の事件で自分の生き方や信念は間違っていたのではないかと困惑してしまうところに、同じくゆるぎない信念を持つ岬先生が現れたことにより少なからず救われたのではないだろうかと。
    『さよならドビュッシー』を読んでいればその後玄太郎氏がどうなるのかわかっているだけに、締めは切なくて胸が苦しくなってしまいます。
    本編も大好きですが、この前奏曲も大好きになりました。
    玄太郎氏に叱咤してもらいたいときにまた読みます。

  • 音楽探偵のシリーズの外伝的な作品。前の作品の背景が語られておりセットで読むとより楽し。登場するおじいさんの考え方/生き方がかっこいい。

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著者プロフィール

中山 七里 (なかやま しちり)
1961年生まれ、岐阜県出身。男性。幼少の頃から読書が趣味で、高校時代から執筆を開始。花園大学文学部国文学科在学中に江戸川乱歩賞に応募したこともあった。
就職後は執筆から離れていたが、島田荘司を生で見た体験から執筆活動を再開。2009年、第8回『このミステリーがすごい!』大賞で『さよならドビュッシー』と『災厄の季節』の2作が最終選考にダブルエントリーされ、前者で大賞を獲得して48歳で小説家デビュー。後者も、「読みたい!」との声が続出したため、『連続殺人鬼カエル男』と改題し、2011年に文庫本として出版される事となった。
代表作に『さよならドビュッシー』などの「岬洋介シリーズ」、『贖罪の奏鳴曲』にはじまる「御子柴礼司シリーズ」。多くの作品が映画・テレビドラマ化されている。

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