いい男は「や行」でねぎらう いい女は「は行」で癒す (宝島社新書)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 92
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796698979

感想・レビュー・書評

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  • エッセイの連載で読むのが良いボリュームかも。初めて読んだが筆者はオープンな人ですね。

  • 面白かった。
    自分の名前も好きになれそうです。

  • 素敵な単語をたくさん覚えました。

  • 日本語の「かな」が音としてどのような効果を持つのかを知ることができる1冊。「語感」については、以前から興味があり、相手にとって常にベストフィットする言葉を選んで遣える人間になりたいと思っていた。音それぞれに魅力や影響がある。科学的というより、感覚的な説明。それでも、文字の力を言葉で表すのは難しいのに、とてもわかりやすい説明で、自分が持つ感覚と近くて「なるほど」と思うことが多かった。本書では、著者の嗜好?か、恋愛系の引用が多かったが、文字ひとつひとつが持つ特徴を理解しておけば、どんな場でも「ベストな言葉選び・言葉遣い」ができるはず。文字だけでなく、それを組み合わせた言葉にも相乗して様々な効果を持たせられることも興味深い。著者の「市場の気分」にも興味がある。語感については、もっと勉強を深めたい。

  • podcastで知ったことがきっかけで読んだ本です。
    コトバのもつ感覚について解説をしている本です。
    正直言って、一般的な解説の部分はちょっと退屈。
    一方「美人のくちびる」という単なる解説ではないコラムのようなものは楽しく読めました。

  • 言葉の音が表すイメージのようなものは、あまり同感だと思うことはなかった。
    途中途中で挟まれるコラムのようなものは、作家さんならではのロマンチックな切り口が新鮮で興味深く読めた。

  •  たとえば、「ブ」や「バ」といったB音は「むくむくと膨れ上がるイメージ」を持ち、「累々と重なる感じも彷彿とさせます」と黒川さんは述べている。そのために「薔薇は、あのふっくらと重たげな花弁が累々と重なるイメージにぴったりの語感」であり、「豚バラも、肉屋のトレイに並ぶ姿のイメージとぴったり」だという。そして、英語のバブル(泡)やダブル(重複)、バイ(乗除)にも「ふっくらと、累々と」を示すB音が使われている!
     このような黒川さんの考えは言語学的には音象徴論などと言われ、「ナンセンス」――黒川さんはこの「ナンセンス」という評価を誤解しているきらいもあるけれど――だと評される。日本語学史的にも、江戸時代の国学者による「音義派」というほぼ同じ考えが存在しているが、やはり否定されている。しかし、黒川さんはそれを認めない。この音象徴論を「ナンセンス」と評されたことを恨み(?)、「音象徴にまっこうから挑」む。それが本書にある背景である。

     そのような野心が本書には見えるわけだが、残念なことに、音象徴論の限界を示すのもまた本書である。それを示すために、やや恣意的に、本書の記述を拾ってみたい。
     黒川さんは「は」という音韻を「速くて儚い息の音」だと定義し、「『はつこい(初恋)』は、だから、切ないのかもしれませんね」という。しかし、「初恋」が「切ない」のは、「は」という音韻を用いているからなのか。疑問が残る。「初恋」は「初恋」だから切ないのであって、決してそれは「は」の力によるものではないのではないか。では「初挑戦」は「切ない」のか。「初商い」は「切ない」のか。
     黒川さんは「ひ」を「怖い音」だと言う。その「ひ」を冠する「ヒッチコック」は、「怖さを名前(ブランド)に持ってい」て、「まさに神が与えし名前だったに違いありません」。仮にここまでは許容しよう。だが、続いてこう述べる。「同じように、『ディズニーの』がつけば、どんなタイトルもファンタジーになってしまうし、『シャネルの』がつけば、どんなタイトルもオシャレになってしまいます」。ここがわからない。確かに「ディズニーの」が付いていれば、「ファンタジー」を感じるかもしれない。しかし、それは音韻の力によるものではなく、ディズニー社の企業努力による成果であろう。
     はたまた、黒川さんはこうも述べる。「名前を名乗るとき、『千恵といいます』より『千恵です』というこの方が、甘やかな印象を残します」。僕個人としては、「千恵といいます」の方が「甘やか」に感じるし、ここまでくると、ある種の禅問答のように感じてしまう。
     いくら本書を精読しても、どうしても納得のいかない箇所が現れる。どうにも科学的ではないのだ。これは音象徴論の限界を示していることに他ならない。

     なるほど、音象徴論の有用性を認めたい気持ちはわかる。たとえば、「ぬ」という音韻を使った語句を考えてみよう。「沼」、「ヌメヌメ」、「ヌルヌル」……。さらに拡大解釈し、ナ行音について見てみる。「糊」、「ナメクジ」、「ナメコ」、「ネトネト」……。見渡してみると、いずれもが何か粘性を持った語であることに気付かされる(なんと、「粘性」も「ネんせい」なのだ!)。とはいえ、ナ行音が粘性を表すのかといえば、必ずしもそうではなく、「成る」「夏」「猫」などなど、粘性を持たないナ行音の語句など山ほどある。どうしたって音象徴論だけでは説明がつかない(過激論者になれば、無理にでも「『成る』は変化を表し、変化には粘性を伴う!」とか「夏は汗をかいて、体に粘りが現れる!」とか「猫は体が柔らかく、粘性めいたものを感じる!」とかとでも言うのであろうが)。
     日本人の認知構造の中に、音象徴論的な要素が全く孕まれていないとは言わないが、それを言語学の一部として認めるのはまだまだ難しい。一種の自己啓発モノとして音象徴論を扱うというのであれば、それはどうぞご勝手に、といったところだろうが。


    【目次】
    序章 ことばの本当の力
    第1章 情を伝える、息の音たち
    第2章 心を惑わす、ゆらぎのことばたち
    第3章 親密感を作り出す、撫でることばたち
    第4章 オトナの余裕を作り出す、停滞の音たち
    第5章 執着をかわす、風の音たち
    第6章 素直さを伝える、母音たち
    終章 言葉は媚薬となりうるか

  • ほー、とは思うんだけど、なかなか頭に入ってこないから実際の会話で何も活かせない…。自分の言葉遣いが良くないからしっくりこないのか。明らかに世代が違う文章にまだ対応できるほど大人じゃないのか。

  • 近代言語学の父と呼ばれるソシュールにより否定されている音象徴論(言葉の音韻に感覚を関連づける学問)。
    しかしながら、著者黒川伊保子(くろかわいほこ)は、たしかに、音象徴にたしかな手応えを感じている。

    発音・音韻の体感がもたらすメージの効果について、今回は「は・ひ・ふ・へ・ほ」「や・ゆ・よ・わ」「な・に・ぬ・ね・の」「だ・で・ど」「さ・し・す・せ・そ」、そして「あ・い・う・え・お」のそれぞれの音韻について、それぞれが引き起こす感覚を丁寧にわかりやすく解説してある。

    個人的には、黒川伊保子さんが2007年に著した「日本語はなぜ美しいのか」が基本にあるように感じている。
    今回は、それをより分解して、さらに、より恋愛や男女の関係について解きほぐしている。

    毎度のことながら、「こじつけ」と思われなくもないが、音韻については、その発音に関わる生体運動学な解釈と脳内に生まれる感覚とを融合している点で、説得力がある。

    各節末にはエッセイが「美人のくちびる」として27も据えられているが、これがラブレターのようで、妙に官能的あったりもする。

    黒川伊保子さんの女性としての感性、そして、言葉フェチ(音象徴論の専門家)として、素晴らしい文章で綴られている。
    願わくば、小説にも挑戦してもらいたいものだ。

    やはり、インパクトとしては、2007年の「日本語はなぜ美しいのか」にはおよばないと思うが、その発展版としては、非常に良い仕上がりだと思う。

    女性の読者をターゲットとしているようだが、男性としては、彼女の魅力に取り付かれてしまう一冊だ。

    ----------------
    内容(「BOOK」データベースより)
    言葉を魔法の呪文のように使えたら、あなたは誰に、どう使いますか?その魔法とは、他でもないあなたが発する言葉の「音韻」に隠されているのです。どんなときにどういう音の言葉を選ぶべきか?を脳科学の見地から徹底的に解剖します。告白は「好き」と言うより「惚れている」と言ってみる、キスを誘う呪文の言葉、なぜ「し」はブランド名に多用されるのか、「おれ」か「ぼく」かの言葉の選択…など、相手の脳と心に作用する様々な語感の秘密を紹介します。また、これらの言葉をモチーフにした、書き下ろしの恋愛エッセイも収録。
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    【目次】
    序章 ことばの本当の力
     ことばとかたちを関連づける脳の力
     恋人の心を開くことば術

    第1章 情を伝える、息の音たち
     は──
      美人への道は「はい」に始まる
      「は」は儚い
      「は」は魔法的
      美人のくちびる(1) 儚げの呪文

     ひ──
      「ひな」は癒しを伝えることば
      「ひ」は情熱と冷酷を併せもつ
      美人のくちびる(2) 「ひみつ」の秘密

     ふ──
      「ふと」で会話のシフトチェンジをする
      美人のくちびる(3) 時間を止める呪文
     …ほか

    第2章 心を惑わす、ゆらぎのことばたち
     や──
      「や」で始まる名の女性は……
      美人のくちびる(6) 女ごころを解く呪文

     ゆ──
      人生の目標を「夢」と呼んではいけない
      「ゆ」はゆれて受け入れる音
      美人のくちびる(7) 逢いたい人に逢う呪文

     よ──
      「ようこそ」「よろしく」は境界線を消すことば
      美人のくちびる(8) 恋を永遠にする呪文
     …ほか

    第3章 親密感を作り出す、撫でることばたち
     な──
      「な」は後腐れがない親密感を作り出す
      「夏の日」はなぜ懐かしい感じがするのか
      美人のくちびる(10) この世でもっとも短い愛の告白

     に──
      親密なのに辛らつ、優しいのに厳しい「に」
      美人のくちびる(11) 男ごころを翻弄する呪文

     ぬ──
      得体の知れない、つかみどころのない「ぬ」
      「ぬるい」と「ゆるい」の違い
      美人のくちびる(12) 情愛の呪文
     …ほか

    第4章 オトナの余裕を作り出す、停滞の音たち
     だ──
      「だ」は豊かで、だらしない
      ことばのブレーキ
      美人のくちびる(15) キスを誘う呪文

     で──
      「で」は甘く切ない余韻をかもし出す
      なめらかな落ち着きがある
      美人のくちびる(16) 理系男子は「でも」が好き?

     ど──
      「ど」は甘く包み込み、安定感、重量感がある
      美人のくちびる(17) 不幸の呪文
     
    第5章 執着をかわす、風の音たち
     さ──
      「さぁ」は気分を一新する
      クールな印象の「さ」行音
      美人のくちびる(18) リセットの呪文

     し──
      光を感じさせる「し」はブランド名に多用される
      「し」は静かなのに刺激的
      美人のくちびる(19) 威嚇の呪文

     す──
      なぜ日本人は「す」が好きなのか
      美人のくちびる(20) まっすぐな呪文
     …ほか

    第6章 素直さを伝える、母音たち
     母音のことばは飾り気がない、素の気持ちを伝える
     イタリア人のキス、ドイツ人のキス
     日本の乳首、フランスの乳首
     アルデンテがわかるのはイタリア人と日本人だけ

     あ──
      潔さと開放感が「あ」の持ち味
      ことばと意識の関係は深く、プリミティブ
      古代日本人は「あ」で対話を始めた
      美人のくちびる(23) 宝のような女になれる呪文

     い──
      「イチロー」の効用
      美人のくちびる(24) 恋の呪文

     う──
      「う」は内にこもる、熟成を感じさせる
      「嬉しい」は願いが叶ったときに出ることば
      美人のくちびる(25) 思いの深さを伝える呪文
     …ほか

    終章 言葉は媚薬となりうるか
     言葉の飴玉
     ことばに惚れ直す
     上質な男はヤ行音を使う
     女を上げるくちびるの言葉
     官能と音韻
    ----------------

  • 嘘か本当か、言葉の音に関する見解。
    新たな視点でのコミュニケーション論といった感じ。

    破裂、摩擦、息、熱…様々な構成要素を考慮し、ひとつひとつの文字の持つニュアンスを考える興味深い内容。

    筆者が勧め男女の駆け引きに役立つかは定かではないが、音の纏う空気を意識してみるのもいいかもしれないと思いました。

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著者プロフィール

1959年長野県生まれ。人工知能研究者/脳科学コメンテーター。
奈良女子大学理学部物理学科卒。富士通ソーシアルサイエンスラボラトリにて、人工知能(AI)の研究開発に従事したのち、コンサルタント会社勤務、民間研究所勤務などを経て、2003年に株式会社感性リサーチを設立、代表取締役に就任する。脳機能論とAIの集大成による語感分析法を開発し、マーケティング分野に新境地を開拓した、感性分析の第一人者。その軽妙な語り口が好評を博し、年間100回を超える講演・セミナーを行っている。
著書に『成熟脳 脳の本番は56歳から始まる』(新潮文庫)、『母脳 母と子のための脳科学』(ポプラ社)、『女の機嫌の直し方』(集英社インターナショナル新書)、『「ぐずぐず脳」をきっぱり治す! 人生を変える7日間プログラム』(集英社)など。


「2018年 『前向きに生きるなんてばかばかしい 脳科学で心のコリをほぐす本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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