援デリの少女たち

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 188
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796699648

作品紹介・あらすじ

少女たちは寝る間も惜しんでカラダを売り続けた-。売春組織「援デリ」密着取材6年半の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 売春組織「援デリ」の少女たちを追うルポ。
    ライターの鈴木さんや少女たちに感情移入してしまいながら、夢中になって読みました。
    あまり報じられていないことばかりだったと思います。知らないことばかりで、「そうなんだ」と気づきが多かったし、鈴木さんが長期に渡って人間関係を作っていて、とても丁寧に取材していると思いました。
    最終章に出てくる少女については、「哲学者か」というくらいよく考えているこで、そして生きることに懸命で強くて、涙流しながらページをめくりました。
    援デリの背景のおおきなひとつ、貧困問題を知る上でも、とても助けになる一冊だと思います。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「援デリの背景」
      貧困と言うより、遊ぶためには「金」が要る。「金」を遣うコトでしか遊べないような今の世の中の所為じゃないのですか?
      読んでも...
      「援デリの背景」
      貧困と言うより、遊ぶためには「金」が要る。「金」を遣うコトでしか遊べないような今の世の中の所為じゃないのですか?
      読んでもない本について、勝手にアレコレ言うのは間違ってると思いますが、、、
      2013/01/30
  • 貧困と、福祉でカバーできない層の問題。

  • 里奈は鈴木さん説=鈴木さんからのメッセージと解釈しました!

  • ▼「そりゃ金でっしゃろ。」同年代が学生時代を謳歌しているのに1日何回も脚を開くのは、稼がなければならない理由があるからだ。

    ▼援デリで働く女性が描かれている。訳ありの少女達が真っ当な稼ぎができる筈も無く社会の裏側で身体という資産を武器に奮闘する。売らせる男も社会から弾かれ、他に行き場の無い者が多い。

    ▼障害者も少なくない。マニア向けのAVに出演するのはほとんどがそうだという。身体を対価に自由と金を得る、過酷なセーフティネットだ。

    ▼援デリの仕組みはどんどん高度化している。ヤクザVS業者がしのぎを削り、官憲の目を盗み、地下にもぐり管理される。全寮制援デリのくだりは名門校の合宿を思わせ、シュールさに乾いた笑いが漏れた。

    ▼彼女達は支援されるべきというのが真っ当な社会人だろう。しかしこの社会の支援は自由は少なく、「かわいそうな人」というレッテルを貼られるように彼女達に受け止められる。

    ▼自力で勝ち抜けた女性もいる。まず容姿、それに幸運、そして強烈な意志がなければ難しい。彼女にとっては援デリは搾取されたのではなく、合理的に闘う為に利用したというのが言い分だ。

    ▼金が全てではない。でも金がなければ家族は守れない。金に綺麗も汚いもない。売れるなら稼げ、そして地獄に戻るな。寂しさに負けるな。寂しさを喰い物にするやつはいっぱいいる。寂しさに負けないで金稼げ。10代の女性がこんな風に言えるまでどれだけ辛酸を舐めたのだろうか。

  • 貧困の連鎖、家庭環境の連鎖…
    あまりに衝撃的な内容に思わず歌舞伎町を歩いてしまった。
    里奈の言葉が胸を撃つ
    「金に、綺麗も汚いもない。いま私、援デリと風俗で稼いだ金で、翔人のこと育ててるよ。恥ずかしいとか絶対思わねぇ。だから稼げ。カラダが売り物になるなら、金持ってる大人からカラダで金、奪い取れよ。メチャメチャ稼いで、もう二度と地獄に戻るな。自分の親と同じ親になるな。その金を遣わないで貯めろ。ホスト、いくな、歩ける場所行くのにタクシー使うな」
    里奈は作者の鈴木さんが出会った唯一の勝者であると。唯一というのが哀しいけど、一人でもこうやって脱出できた少女がいたのは、救われない深い闇の中で見た灯のように思えた。

    何ができるんだろうか。買う事?違うよね、なんだろう…

  • 裏風俗の世界、聞きなれぬ業界用語がポンポン出てくる。打ち子になってグループを取り仕切った少女の話を聞くと上昇志向の強い人間が成功を収めていくことが分かります。
    綺麗事ない実にリアルかつシビアな世界でもあるようです。

  • ○ルポライターの鈴木大介氏の著作。
    ○いわゆる”援デリ”を行う女性(少女)へのインタビューを中心に、その背景や実態を明らかにする作品。鈴木氏の『家のない少女たち 』の続編。
    ○前著に続き、丁寧かつ深い取材力で、援デリの実態はもちろん、その背景である、貧困、障害などの“裏側”を、生々しく描いている。
    ○登場する女性の生い立ちや経歴、仕事内容は、かなりグロい部分もあるが、それこそが、日常の社会生活の隣に存在しているという違和感を感じつつ、興味深く読めた。
    ○加害者、被害者が区別無く登場する本書は、読んでいると途中で倫理観を喪失してしまいそうになってしまうが、このような現状を徹底した取材で本にまとめている著者に賞賛をおくりたい。そして、自分に何が出来るのかという”重い”新たなる問題提起を行っている。
    ○特に、終章については、つい涙をながしてしまった・・・。

  • 300322724  368.4-スズ

  • 未成年売春の実態を、継続的に追い掛けた報告。
    慄然とさせられるが、貧困と密接だというのが一つの大きなポイント。
    裏社会の綿密な管理があり法令の変化に応じて警察もそれに対抗しているのだが、児童福祉関係者が掴めていなかった部分を明らかにしたものであった。
    問題の複雑さに、改善策を模索しつつも著者も途方に暮れている。解決策はまだないが、資料として重要。

  • 貧困の連鎖。家族から受けた経験が次の世代にもつながっていく。愛された人は次にも愛情を注ぐ。歪んだかたちは別のやり方で続いていく。
    若い女性を対象に男からの「しごと」「略奪」がセーフティーネットとして機能する世の中。
    知らない世界を教えてくれる一冊

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著者プロフィール

1973年千葉県生まれ。文筆業。子どもや女性、若者の貧困問題をテーマにした取材活動をし、代表作として『最貧困女子』(幻冬社新書)などのあるルポライターだったが、2015年、41歳のときに脳梗塞を発症し高次脳機能障害が残る。当事者としての自身を取材した闘病記『脳が壊れた』『脳は回復する』(ともに新潮新書)が話題に。他にも、夫婦での障害受容を描いた『されど愛しきお妻様』(講談社)『発達系女子とモラハラ男』(漫画いのうえさきこ。晶文社)、当事者視点からの実践的な援助ガイドを試みた『「脳コワさん」支援ガイド』(日本医学ジャーナリスト協会賞受賞。医学書院)、当事者と臨床心理士との対話を記録した『不自由な脳』(山口加代子氏との共著。金剛出版)などの著書がある。

「2021年 『壊れた脳と生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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