個人空間の誕生: 食卓・家屋・劇場・世界

  • せりか書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796701747

作品紹介・あらすじ

大騒ぎの粗野な食事から、用途別の食器とテーブルマナーが確立した食事へ。広間での雑居状態から、個室への引きこもりへ。観客と役者の一体化した劇から、純粋に見る劇へ。このような変化が近代の始まりとともにほぼ同時に起こったのである。変化の時期は、ヨーロッパにおいてテーブルマナーの影響が大きくなったのが16世紀、家族が個室へと引きこもり始めたのが16世紀末であり、劇が世俗化し観客と役者が完全に分離したのは17世紀、音や香りよりも視覚が重視されるようになったのも16世紀終り頃である。16世紀末以来のこうした空間の個別化にともない、ヨーロッパ近代人が誕生したのだ。それは、自分の食器で食べ、入門書によりさまざまなマナーを身につけ、私室で眠り、舞台上の人物の苦悩を眺め、風景を鑑賞し、本を黙読する人間の誕生だったのである。

感想・レビュー・書評

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  • 「都市と劇場」の中に見られる個人と集団の問題をテーマとしている章が気になり一気読みした。アナクロニックな共同体や集団主義はかえって現代社会を矮小化してしまう。では、個人的な自由を保持したままの統合化の道はあるのだろうか。残念ながら、この書にも書かれてはいない、しかし、考えてみる糸口だけは示されている。

  • 目次
    全体(分節化・意識・自己
    結合体)
    部分(飲食とマナー
    家屋と家庭
    劇場と社会
    環境と視覚)
    自己(自己と再構成された全体)

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著者プロフィール

1930年中国で生れる。中国系アメリカ人。オックスフォード大学で修士号、カリフォルニア大学バークレー校で博士号取得。現在、ウィスコンシン大学マディソン校名誉教授。70年代に現象学的地理学の旗手として颯爽と登場し、今日では、世界的な第一人者として知られている。本書のほか『空間の経験』『トポフィリア』『愛と支配の博物誌』『コスモポリタンの空間』『感覚の世界』『モラリティと想像力の文化史』などがある。

「2018年 『個人空間の誕生 食卓・家屋・劇場・世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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