マルクス資本論の思考

著者 :
  • せりか書房
3.67
  • (0)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 47
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (739ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796703260

作品紹介・あらすじ

日本哲学界の第一人者がマルクスの高峰に挑む!マルクスを読むことは、世界の総体を読みとくことである。「全世界を獲得するために」マルクス「資本論」全三巻を読む。渾身の書き下ろし一五〇〇枚。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784796703260

  • 『資本論』の構成に沿って、その内容を読み解いている本です。レヴィナスやヘーゲルを論じ、カントやハイデガーを翻訳する哲学者・熊野純彦が、マルクスの『資本論』を改めて考察するに当たって、どのような角度をつけて読み解いているのか、関心を持って読み進めていったのですが、どちらかと言えば解説書的な叙述に終始しているような印象でした。

    とはいえ、そこかしこに著者独自の哲学的洞察が垣間見えます。流通過程論を扱っている箇所では、「可能性自体が現実化されている状態」というアリストテレスの「運動」理解にまで遡り、資本の運動過程の意味を考えなおすとともに、総資本の錯綜した運動体が内部化していく世界市場に批判的に斬り込もうとしているように感じました。また、マルクスの再生産表式とケネーの経済表との比較という古典的な問題を扱っている箇所では、マルクスの構想が静的な均衡の分析をめざしていたのではなく、資本の運動過程の把握を通じて均衡を破壊させる可能性の条件を明らかにするものであったという主張がなされています。

    そのほか、転形問題論争について分かりやすい解説がなされており、勉強になりました。置塩信雄と森嶋通夫の仕事の意義と、高橋洋児に代表されるマルクス主義陣営からの反論について、ざっくりした見通しを得ることができたように思います。

    それはそれとして、四六判で700ページ超という体裁は、どうにかならなかったのでしょうか。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1958年生まれ。東京大学文学部卒業。現在、東京大学文学部教授。専攻は、倫理学、哲学史。主な著書に、『レヴィナス 移ろいゆくものへの視線』(岩波書店)、『西洋哲学史 古代から中世へ』『西洋哲学史 近代から現代へ』(以上、岩波新書)、『ヘーゲル 〈他なるもの〉をめぐる思考』(筑摩書房)、『マルクス 資本論の思考』(せりか書房)、『埴谷雄高 夢みるカント』(講談社学術文庫)など、共編著に『西洋哲学史』(講談社選書メチエ)がある。また、訳書にカント『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』(以上、作品社)、ハイデガー『存在と時間』、ベルクソン『物質と記憶』(以上、岩波文庫)などがある。

「2017年 『カント 美と倫理とのはざまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

熊野純彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
トマ・ピケティ
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする