L'INCAL アンカル (ShoPro Books)

  • 小学館集英社プロダクション
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796870832

作品紹介・あらすじ

R級ライセンスを持つさえない私立探偵ジョン・ディフールは、ひょんなことから宇宙の命運をつかさどると言われる謎の生命体"アンカル"を手に入れる。アンカルをめぐり、政府、ゲリラ組織、宇宙征服をたくらむ異星人など、さまざまな思惑が交錯し、ジョンは図らずも光と闇をめぐる壮大な宇宙抗争に巻き込まれていく。はたしてジョン・ディフールの運命は?カルト映画の巨匠ホドロフスキー原作!フランス発、衝撃のスペースオペラ・コミックがついに登場。

感想・レビュー・書評

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  • ホドロフスキーの原作をメビウス(ジャン・ジロー)が作画するという夢の顔合わせ。宇宙の秘密を握るアンカルを巡り、探偵、ギャング、メタ戦士、犬頭人間、帝国大統領、はては宇宙人までが入り乱れての宇宙規模の争奪戦。スケールの大きさ展開の奇抜さもさることながら、やはりメビウスの画が素晴らしい。キャラクターの造形、構図・コマ割り、色彩の豊かさ、どれをとっても日本の漫画文化にはないもの。大友克洋をはじめとする日本の漫画家(それから多くの映画作品の美術デザイン)に強く影響を与えたのも納得できる。特に大友への影響の強さはこのアンカル読んだだけでもはっきり見て取れる(アンカルはちょうどAKIRAとほぼ同時期に描かれている)。バンド・デシネにしろグラフィックノベルにしろ日本式の漫画にしろ、画と文字とコマ割による表現形式というのは、まだまだ豊饒な世界が広がってるね。
    一方で、やはり日本の漫画を読み慣れた身からすれば読みにくさは半端ない。行間(コマ間)の読み方、表現手法、感情表現、そうした"漫画の文法"とでもいうものが根本的に異なる。横書き左開きと縦書き右開きというフォーマットの差も大きいが、そこに含まれた文法の習得というのはさらに重要な要素だったりする。それは各国固有の知識の有無とは違う次元で、結構根の深い壁でもある。
    だから日本は世界有数の漫画大国を自称しながら、海外の傑作・名作を読む機会はなくて、ONE PIECEの2億部に匹敵あるいは凌駕する発行部数を誇るアステリックスやウォッチメンなんかがほとんど知られることなくきたわけで。
    で、そのあたりを克服する試みは、表現の面からもビジネスの面からもほそぼそと継続して行われてるんだけど、うまくいっているとは言い難い。それはそうで、ディストリの仕方や制度の整備でどうにかなるものではなく、さらに作品そのものの質にも強く影響するのだから、最適解はそう簡単には導けない。それでもなんとか漫画文長年の試行錯誤によって日本でも海外漫画の輸入・翻訳がようやく定着しつつあって、そのおかげでアンカルも読めるわけで、大変良い時代になったなあと。そうして世界中の漫画作品を気楽に読んで楽しめる環境になると、クールジャパン的なお話ももちっとはマシになるんじゃないかなと思うのです。

  • SFコミック史上に輝くスケールの大きな傑作との紹介どおりの美しく魅力的な作品。8年かけて完成されたという。

    私には初のバンドデシネ(フランス製コミック)。冒頭の「ようこそ、『アンカル』のめくるめく内奥世界へ」と題するINTRODUCTION、そして巻末のメビウスの略歴と主要作品、解説や対談、訳者あとがきがとても面白く、参考になった。この日本語版への関係者の情熱がひしひしと伝わってくる。メビウスが日本の数多くの漫画家に大きな影響を与えてきたを知ることができた。

    映画『ブレードランナー2049』で「メビウス」という日本語が出てくる。これをきっかけに興味を持ち、私は本書を手に取った。酸の海の上の高層ビルで構築された生活空間といった未来観など、本書にはブレードランナーの世界と何か相通じるものがあるように思う。本書の解説では、メビウスがリドリー・スコット監督からのオリジナルの『ブレードランナー』の製作への参加の要請を断わり深く後悔していたというエピソードが紹介されており興味深かった。

    宇宙空間を往来するような壮大な未来世界が展開される本書の中で、3Dテレビの中継のための大きなカメラや報道レポーターが出てくる。原作の『アンカル』が制作された1980年代と現代との違いが垣間見られるようで面白かった。

  • この本を一言で表すなら、「再帰」なのかも。

  • フレンチコミック界の巨匠メビウスの作品完訳版。1コマ1コマの絵が緻密で見入ってしまう。その後ストーリーのおもしろさ、複雑さに読み入ってしまう。読むたび違う所で感動し、わくわくする*
    アレサンドロ・ホドロフスキーの頭の中をメビウスの綺麗な色彩と緻密な描写で再現。80年代の作品なのに新しい。

  • 夢の様なドラッギーでトランシーでサイケデリックな漫画。AKIRAやナウシカなどの精細書き込み漫画の元祖。

  • 伝説のマンガ。複雑で夢のようで、どこか懐かしい。

  • バンド・デシネ、とくにメビウスを読んでみたくて手に取ったが、選択が良かったのか悪かったのか、難解なストーリーとやたらと情報量の多い吹き出しに四苦八苦。二回、三回と投げ出しながらもなんとなくSF映画っぽいな、というところまで分かったところでゲームオーバー。

  • <閲覧スタッフより>
    世界中に影響力のあるクリエイターコンビ。
    「アンカル」なくしてはナウシカもAKIRAも生まれなかったかも?
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    所在記号:726.1||メヒ
    資料番号:10214464
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  • マンガレビューはブログ「くさなぎたつみの大人マンガ夜話」に載せています。
    http://kusanagitatsumi.blog.fc2.com/

  • 2014/6/17購入

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著者プロフィール

1929年、チリでロシア系ユダヤ人の子として生まれる。映画監督、映画プロデューサー、芸術家、劇作家、俳優、詩人、作家、音楽家、漫画作家、タロット研究家、サイコセラピスト。『エル・トポ』(1970)、『ホーリー・マウンテン』(1973)など前衛的作風の映画がカウンターカルチャーを代表する人々に絶賛され、カルトムービーの鬼才として名を馳せる。2013年には〈実現しなかった映画〉として知られる『DUNE』を題材とするドキュメンタリー映画『ホドロフスキーのDUNE』が話題を集めた。タロット研究家、サイコセラピストとしての活動も長年おこなっており、フィリップ・カモワンとともに製作した〈カモワン・タロット〉によるリーディングセラピーで知られるほか、芸術によって魂を解放する独自のセラピー〈サイコマジック〉の取り組みをライフワークとしている。現在はパリを拠点に活動しており、自伝『リアリティのダンス』を原作とする映画2作『リアリティのダンス』(2013)『エンドレス・ポエトリー』(2016)に続く3作目、『エッセンシャル・ジャーニー』を2021年現在製作準備中である。

「2021年 『サイコマジック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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