鶏のプラム煮 (ShoPro Books)

  • 小学館集英社プロダクション
4.19
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本棚登録 : 140
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (90ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796871068

作品紹介・あらすじ

イランの伝統弦楽器タールの奏者として活躍していたナーセル・アリはなによりも大切にしていたタールを妻に壊され、生きる望みを失った。死を決意してから8日後の彼の死まで、ナーセル・アリの最期の日々が始まる。はたしてタールの音色に秘められた想いとは…?『ペルセポリス』で激動のイラン現代史とともに自らの半生を描き切ったマルジャン・サトラピが、1958年のテヘランを舞台に綴る、可笑しくも、やがて哀しき人生の物語。2005年度アングレーム国際漫画祭最優秀作品賞。

感想・レビュー・書評

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  • 近所の本屋のコミック売り場に、無造作に差してあった。粋だねぇ。

    『刺繍』同様、『鶏のプラム煮』という書名が隠喩になっていて、読み終えてから改めて題を見ると沁みる。

    "知的で、精神がむき出しで、どこか現実離れしたところのある人" というのは、私達の身近にわりといる。そうした人の一人が、自分の人生にすっかり失望しきって死のうと決意する、これもよくある話だ。ただ、その一人が誰かではなく知人や友人だったなら、そしてその人が決心してから実際に死ぬまでの8日の間に、何を感じ考えていたか知ることが出来たなら、それはもう私に関係する出来事だ。
    そうして距離を縮め、けれど近過ぎず、他者ではあるけれど最早無関係ではない者として作品が迫って来る。明るい物語ではないけれど、どこか陽気で心地良い。

  • 繊細な身勝手さを持つ芸術家の不幸な話。実際に不幸なのは主人公の芸術家の男ではなく、彼の妻とその子供達だが。たった一ページ、文字だけで表現された七日目の話がすべてを物語っている。主人公が他のタールの音に満足できなかったのは楽器自身のせいではなかったのだろう。何度か読み返したい作品。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • イラン出身でフランスで活動している漫画家、マルジャン・サトラピの作品。親戚の演奏家をモチーフにしている。

    イランの伝統弦楽器タールの奏者の男が、妻に大切にしていたタールを壊され、生きる望みを失う。死を選んだ男の、最後の8日間が描かれた作品。

    濃厚に漂う死と絶望の雰囲気が、悲しくも心地よい。徐々に明らかになる彼の人生の空しさに、心を射抜かれました。家族とのギクシャクした関係も生々しくもリアル。

    モノクロで表現されるマルジャン・サトラピの絵の雰囲気が素晴らしい。自身が監督して実写映画化しているようだが、『ペルセポリス』のようにアニメ作品にしてほかった。

    今後の作品が楽しみな作家です。

  • なんか…全体的に新鮮ってーか…
    イラン人の人の感覚ってこんなんなんかな…????

  • 一人の音楽家が掛け替えのない愛用の楽器を壊され死を決意する。
    その後、8日間の物語。著者は女性BD作家の中でも特に有名なイラン出身のマルジャン・サトラピ。ヴァロットンの木版画を目標にしているという彼女のモノクロの絵は死に向かっていく物語の雰囲気によく合っている。
    味覚がなくなり身体が重くなる鬱で自殺する前の状態をよく表している。
    自殺が物語のメインだが読んで鬱になるような作品ではない。

    ちょいネタバレ↓
    読み終えると主人公が死を選んだのは楽器だけの所為ではないように思える楽器を壊したのは妻だけが悪いわけではない。

    世の中には好きなものを断って長生きしようとする人もいるが死を早めてでも好きな事をして

    できないならいっそ死を選ぶ人生観を持った人もいる。

  • イランの音楽家が生活に絶応して死ぬまでの一週間を描いた漫画。切り絵のような特徴のある絵柄が素敵。

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    所在記号:726.1||サト
    資料番号:10214379
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  • 2018年7月8日に紹介されました!

  • フランス式白黒マンガ。舞台は1958年のテヘラン。ある男が若い頃に封印した恋を思い出したことをきっかけに、死を決意してから死ぬまでの話。悲恋に死ぬという純粋さは深い淵であって、男の思いに圧倒される。
    ユーモアと日常のエピソードとアラビアン・ナイトの挿話などが言葉で解説できない男の心情を象徴的に描いていて、読後ずいぶんたってから「あれはなんだったんだろう?」とイメージが甦ってきます。
    映画化されているそうですがイラン色が薄められているそうで、少し残念。でも、映画のように読めるマンガです。

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