ファン・ホーム ~ある家族の悲喜劇〈新装版〉~ (ShoPro Books)

制作 : 椎名 ゆかり 
  • 小学館集英社プロダクション
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本棚登録 : 16
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796877114

感想・レビュー・書評

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  • 2018年2月シアタークリエでの上演にて
    同名ミュージカルの原作として購入
    2017年の12月初版とな。これの上演に合わせて新装版出たんだろうな。

    父親ゲイ、主人公レズビアン、
    父親は自分がゲイなのを認めてない、
    レズビアンだってカミングアウトした娘に動揺、
    あんまり話し合えないまま、数ヶ月後に父親自殺

    あのときパパはなにを考えてたの??的な自叙伝コミック


    舞台版は短い分、細かい部分は削ぎ落とされて、
    クリアかつシンプルに、キャラクターが単純化されている
    吉原光夫さんの父親、めちゃ愛情深くて温かかった。
    ブロードウェイ版の演出がどうかは分からないけど、
    やっぱり親近感を持ちやすいように、分かりやすいように
    親しみやすいキャラになってた。
    陽属性だけど性的嗜好だけ倒錯してた、不器用な暖かい父親、というかんじ。

    原作のこの本では、父親はもっといかめしくて暗い。温かく父親らしい太陽のような笑顔、というのとは全く違う。
    もっとじめじめしていて、主人公である作者が苛立つような、女々しい趣味の父親、という印象。
    やはり舞台版でのキャラの印象操作は意図的ぽい。
    本にある、花が好きという描写は舞台版にはなかった。
    苗木を植えたシーンはあったけど、マッチョな吉原さんの体格と相まって、男らしさしか感じなかった。
    ある程度自分の容姿にも自信がある。やはり陽属性感。
    勝ち組感。「♪悪くない…」

    あと、欧米文学の引用、比喩がとても多い。コミックだけどとっても文学的だった。
    欧米文学の教養全くなくて全然ピンと来なかった。
    コミックって、マーベルとスヌーピーのイメージだったから、衝撃。

    舞台版は、「性的倒錯」を、あくまで「2人が共有する特殊なマイナーな性質」として、さらっと軽く描いている。描写はあれど、それにあまり深掘りはしない。
    物語の本質はあくまで、父娘の物語。

    マイノリティである自分との向き合い方、
    相手のそれとの向き合い方、
    親子関係、
    みたいな
    親も1人の人間だ、とか

    抽象度・普遍度を上げて、ポピュラーにした感じ。

    (Ring Of Key以降、飲み込まれていく。泣く。
    派手な演出はほぼない、音楽も派手ではない、
    その分、知らぬまに大きな波に呑み込まれるかんじ。
    最後の盛り上がりが素晴らしい。

    舞台は、原作はこれだけどやっぱり別モノかも。
    舞台としての完成度はすごく高い。そりゃトニー賞取るわ。
    舞台の壁紙が、この本(新装版じゃない方はわかんないけど)のカバーの花柄と一緒だった。)

    対して、コミックでは自身の嗜好性に気付いた時の戸惑いや感想が、すごく具体的に詳細まで書かれている。
    なるほど、これは革新的だ、というかんじ。
    ポピュラリティはないけど、すごく具体的。リアル。
    いろいろな出来事を結びつける描写がすごいし、ものすごく悩んでものすごく考えた感がすごく伝わる。

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